こんにちは、キミ。
ボクとキミの話を、そこの
アナタも聞いていきますか?
「……あのさ」
ぽつり、呟いてみる。
答える声なんて聞こえないし、最初から
期待なんてしていない。
ただ、静寂が苦しかった。孤独がつらかった。
「ボクはなんでここにいるのかな……?」
ボク以外誰もいない部屋。
真っ白なはずなのに、暗くて何も見えない部屋。
小鳥のさえずりすらも聞こえないし
そもそも小鳥なんて生き物の形も忘れてしまった。
幼い頃知った、というか。気づいた、というか。
どうやら、ボクには他の人が見えないものが
はっきりと見えてしまうらしい。
見えてしまう、とはいっても、ボクはそれを
マイナスに考えたことなんてなかったけど。
みんなはボクを気味悪がった。
悪魔の子だ、なんて呼ばれた。
ボクの両親はボクのせいで周囲から虐げられ、
心がボロボロになっていた。
だからボクをこんなところに幽閉したんだろう。
目が覚めたらここにいて、気づくとご飯も出てくる。
ずっと心地いい温度だし、不自由はほとんどない。
でも、この1年ボクは青空を見ていない。
見ていたのは、白い部屋と黒い闇。それと……。
思い返してボクが目を閉じようとしたその時、
ほんの少し部屋が明るくなった。
「アナタ……可哀想ニ、ネ。見エルカラデショウ?」
響くような、消え入るような。
そんな声が無音の部屋に響いた。
「可哀想じゃないよ。こうしてキミたちと話せるし」
その女の人は、とても綺麗だった。
肩の下まで伸びる長い黒髪、雪のように白い肌。
そして……透き通った身体。
「アナタハ、変ワッテイルノネ。
驚カナイノ?『ゴースト』ナノヨ?」
「驚かないさ。ボクにとって、それは……
ううん、彼らは友達だからね」
そう。ボクが見ていたのは部屋と闇と……幽霊。
その幽霊の中には色々いた。
「友達、ネェ……モシ良カッタラダケド、
私ニモソノ、友達ノ話ヲ聞カセテクレナイ?」
「うん、いいよ。さて……誰から話そうか」
束の間の出来事。泡沫のように消えてしまうような
儚く、美しい僕の友達の話をしよう。
誰にも信じてもらうつもりはないし、
誰かに感動してもらうつもりもない。
だから、文学的じゃないと言われるかもしれない。
それでも、これはボクの物語なんだ。
ボクが書く『お話』なんだ。
かっこよくて、かわいくて、元気で、大人しくて。
見栄っ張りで、おどおどしてて、冷たくて、優しくて。
それと、ちょっと透けてるボクの友達の話を
キミだけに話すことにしよう。
どうも、タークモーゲンアーベント。
Euglenaと申します。
第0話……というと聞こえはいいですが
まぁプロローグみたいなものです。
楽しんでいただけましたか?
不定期の連載にはなると思いますが
みなさんが生きていく上での娯楽のひとつに
なれたら嬉しいな、と考えています。
どうぞ、頭の部屋の片隅にでも置いて
気が向いたら手に取ってください。
ボクもキミも、そして私も待ってますから。