未来日記 その1
ある日、わたしは未来へとやって来た。そこで最近はやっている、ある未来の買物をした。
それは自分と同じ姿をしたロボットだ。すなわち、誰もがこのロボットを兄妹のように・・・
いや、分身のように使う事が出来るのだ。
ある日、私は分身ロボットに言った。
「ちょっと今日は熱っぽいから、わたしの代りに仕事に行って来て」
「ハイ、かしこまりました」分身ロボットは丁寧に答えた。
「絶対にロボットだって、バレないようにしてね。頼んだよ!」
「ハイ、かしこまりました」
分身ロボットはそう言うと、くるっと背中を見せてわたしの代りに会社へと出かけて行った。
「大丈夫かな」
わたしは熱にうなされながら、そのまま深い眠りについてしまった。
一方で、私の分身ロボットはわたしの命令に忠実に、仕事をこなし、素直で愛想のよい「私」を
演じてれていた。
プログラムはあらかじめインプットされているので、お客さまの質問にはハッチリ答えられるのだ。
疲れ知らずなので、お客さまの重い荷物もたくさん抱えてお家まで、お運びすることだって出来るのだ。
「わたしがお持ち致します!」
「まあ、ありがとう。」
普通ならエレベーターまで運び、お渡しするだけで良いところが、お客様の家まで運んでしまっている。
「まあ、こんなところまで、なんて親切なの。ありがとう。」
「いいえ、お仕事ですから」
マラソンしながら帰って来た分身ロボットは、今度はケーキを作る人手が足らないとかで借り出された。
両方の手に泡立て器を持ち、高速で生クリームを泡立ている。甘い香りと共になめらかな生クリームが
出来上がった。
ロボットなので分量も時間も正確なのだ。クリームひと塗りで、あっという間にホールケーキの出来上がりだ。
イチゴを手裏剣のように、シュッ!シュッ!シュッ!
あっという間に、おいしいイチゴケーキが、100個も作れてしまったのだった。
「助かったよ。君がこんなにケーキづくり上手だなんて、知らなかったな」
「いえいえ、お仕事ですから」
今度はサロンで赤ちゃんが泣いている。とっさにロボットの「私」は走り寄った。
「私が、抱っこしましょう」
火がついたように泣き叫ぶ赤ちゃんに、ロボットの「わたし」は・・・。
「たかい、たかーい。いないない。ばぁ!」
ロボットの「私」には赤ちゃんを完璧にあやすママ機能が備わっているのだった。
「キャハハ」
赤ちゃんは、もう笑いだしている。
「ほんとうにありがとうございます」
「いえいえ、可愛いですね」
やがて、熱が下がった私は、久しぶりに会社に行った。
「お客様からお礼状が届いているわよ。遠い所まで荷物を運んでくれて、ありがとうですって」
「えー、いえ、まぁ」
「この間はありがとう!ケーキの納入、間に合ったよ。いや、本当に助かった!」
「はぁ」
こんな風に、道を歩くたびにみんなが私に御礼の言葉を言って行くのだった。
「ああ、ありがとう。ロボットの「私」、一生懸命に働いてくれたんだね」
忙しくて忘れかけていた「まごころ」を、プログラムされているだけのロボットから教えてもらった私だった。
ありがとう、未来の私のロボット。




