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エクソシストは死神の夢を見るかforZERO  作者: サトウイツキ
2人の願い
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6-8-B 再会の瞬間

ペルガモンに向けて歩む攻略組は、ゆっくりと、確実にその足を進めていました。

これから起きるであろう大規模な戦闘に対して、攻略組は意気揚々としているようでした。


「俺さーこの作戦が終わったら休み貰って、実家に顔だそうと思ってさー」


「マジか。俺親父に勘当されてっからな。今度ちゃんと話し合ってみよっかな……」


そういう話をしてると帰れなくなるらしいですよ。昔リュネットが言ってました。


私のグループは5人編成で、ミーティングで顔を合わせたのがはじめましての4人です。


頭の悪そうな男性2人と、真面目な女性が1人、それから男性よりもさらに頭の悪そうな女性が1人。戦力としては申し分ないですが、一見すると非常に心もとないです。一緒にいると尚心もとないです。


「あれなんでしょう……」


真面目な女性が足を止め、進行方向を指さします。

この集団の中で立ち止まるのは難しいですが、実はこの時、先頭にいたグループを筆頭に攻略組全体の足が止まっていました。


前を歩く人の背中を見上げるようにして歩いていた私ですが、事態はすぐに把握できました。


私たちの上空をおびただしい数の悪魔が飛んでいきます。見たところ《傲慢》と会った時に大量に現れた悪魔に似ているようでした。


そして悪魔たちは上空で旋回するように固まった後、私たち目掛けて急降下してきます。


「なんでここに悪魔がでるんだよおぉぉっ!」


動揺と共に各々が戦闘態勢をとると、悪魔に応戦していきます。


「急げ!扉までは直に着く!応戦しつつ扉へ向かえ!」


アルバートのかけ声で、攻略組は武器を取り扉の方向に駆けていきます。

この時点で私のグループは解散していました。単独行動をしたい私にとっては好都合です。


攻略組全体の何百倍といる悪魔の群れを通り抜け、私たちはペルガモンに続く巨大な扉にたどり着くことができました。


扉は重い音をたてて開き、その向こうに城のような建物が見えてきました。


「気づかれる前に入れるやつだけ入れ!」


アルバートが扉の前で私たちを誘導します。

ラッシュ時の駅のホームのように扉になだれ込んでいきます。


しかしアルバートは、私たちから見て扉の向こう、つまり扉渡りの空間側に残っています。


「俺はこいつを始末してから向かう!通常の作戦通りの行動を行ってくれ!」


アルバートはそう叫ぶと、扉を閉めてしまいました。

扉は開けたときと同じ音をたてて閉まると、下の方から淡い光を放って消えてしまいました。


突然の事態に、指揮系統を失った攻略組は唖然としています。


広がる鼠色の空に、空を穿つ黒と紫色の城塞。

ただその城塞は明らかに以上で、今視界に入れているだけで、幾つ塔が増えたでしょうか。

城塞は常にその姿を変え、まるで生きているかのごとく胎動しているようでした。


「みんな!アルバートの想いを無駄にしてはいけない!このメンバーだけで突入するぞ!」


声を上げたのは私のグループにいた頭の悪そうな男性の1人。やるときはやるんですね。後で謝っておきましょう。

一瞬動揺していた攻略組のメンバーでしたが、すぐにやる気を出し、続々と城に向かっていきます。


いち早く扉に向かっていた私は、入り口であろうと思われる扉に触れました。


扉は私の触れた部分からグニャリと曲がり、まるで招いているかのようにその向こうまでの道を作り上げました。


私は攻略組のメンバーの誰よりも先に城内に侵入し、リュネットを探すべく駆け出しました。


◇◇◇


私は先の見えないほどに長く伸びた廊下で、手前側から順番に部屋を見て回ります。


探索していて感じたのは、思ったよりも悪魔がいないということです。


ここまでで、S級が2体、A級5体、B級以下が10体ほどで、根城にしている、という割にはどう考えても数が少ないです。可能性は低いですが、作戦が漏洩して逃げられたのでしょうか。


私が3つ目の部屋の扉を閉めて次の部屋に向かおうとした時、城全体が大きく胎動したように感じました。辺りを見渡すと、さっきまであったはずの長い廊下はなく、突き当たりの壁がすぐそこにあり、他よりも少し豪華な扉がついていました。


私は導かれるようにその扉を開けると、そこはドーム状の天井のとても広い部屋で、中央に一本の大木が立っていました。


そしてその大木に張り付けられるようにしてうなだれていたのはリュネット。


「リュネット!!」


「来ちゃ、だめ……」


リュネットは私の声に気づきゆっくりと視線をあげると、今にも消えそうな声で言いました。


私はその言葉を無視し、リュネットに駆け寄ろうとしますが、触手のようななにかに弾き飛ばされてしまいます。


床を引っ掻くようにして受け身をとり、体勢を整えますが、息をつく間もなく触手の攻撃が迫ってきます。


攻撃が落ち着いたタイミングで、私は気づきました。

その触手のようななにかは、木の根であり、その根元はリュネットのいる木に繋がっているということ。


「……もう、抑えられないの……お願い逃げて!私が私じゃなくなる前に!」


リュネットが叫ぶのを拒むように、周りの木がリュネットを取り込んで、リュネットの姿はおろか、声も聞こえなくなってしまいました。


リュネットを救い出すには一体どうすればいいんですか。自分に問います。


基本的には悪魔を祓えばいいはずです。でも、リュネットはおそらく悪魔と一体化してしまっています。単純に悪魔を祓ってしまえば、リュネットが危ない目にあってしまうかもしれません。


今の私には、何もできない?


その考えがよぎった途端、全身に力が入らなくなってしまいました。


今までずっと助けたかった人が、目の前にいる。

それなのに、助けられない。

私ひとりでは、どうにもならない。


視界がぼやけて、リュネットを取り込んだ悪魔の姿がよくわからなくなります。


「ごめんね。リュネット……」


攻撃を中断していた悪魔は、もう一度私に狙いを定め、触手の一本を伸ばし、攻撃してきました。


その時です。


突然現れた人影が触手を踏み潰し、しばらく眺めた後、いかにもとりあえずという風に切断しました。


切断された触手の上に乗ったままのその人は、見たことのある制服を着ていて、鈴のついた不思議な黒い刀を持っていました。


夏祭りの夜に出逢った、桁外れの魔力を持つ、死神の少年。


「久しぶり。ジェシカ」

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