表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エクソシストは死神の夢を見るかforZERO  作者: サトウイツキ
2人の願い
66/82

6-3-A 鳴神一茂

どんなに夜が暗くても、必ず太陽は昇る。


「……あっ!佐滋くん、おはよう!」


校門の少し前、僕を見つけて駆け寄ってきたのは中村さん。


「もうすぐ文化祭だね!うちのクラスはなにやるのかなぁ。喫茶店とか面白そうだよね!あとお化け屋敷!……でも、私怖いのダメだからなぁ」


確かに文化祭はあと1ヶ月ほどまでに迫ってきている。しかし、昨日の今日であまりに呑気すぎないだろうか。クラスの出し物がすでに決まっているクラスもあり、学校全体が浮ついた雰囲気になっているのはわかるが……


その時、嫌な考えが僕の頭をよぎった。


「ねぇ中村さん、ジェシカのこと、どう思う?」


「ジェシカさん?そうだなぁ、転校してきてからあんまり経ってないけど、ちゃんとクラスに馴染めてると思うんだ!でもあの子いつも敬語だから、ちょっと距離感じちゃうよね。もっと砕けた感じでもいいと思うんだけどなぁ」


まさか、そんな!?


「……昨日、何かあった?」


「え、昨日?うーん、あっ!非常ベルの誤作動があったよね。みんな慌てちゃって、全員校庭に避難してた。避難訓練のたまものだよね。佐滋くん、覚えてないの?」


「いや、ちょっと気になっただけ、気にしないで」


「そっか。じゃあ私、先行ってるねー」


中村さんは僕に手を振りながら、駆け足で前を歩いていた女子生徒を追いかけていった。


悪い予感ほど、よく当たるという。


記憶が、改ざんされている。

非常ベルを作動させたのは中村さんだし、僕も中村さんも避難はしていない。


協会の仕業だろう。


しかしよく考えれば、当然の判断だ。むしろこれまでそうされていなかったのが不思議なくらいだ。


協会の規定として、一般人を巻き込んではいけないというのがある。

ジェシカもその規定違反で協会から追われていたはずだ。


……追われて


違う。今でも追われているのは変わらないはずだ。それに加えて、今回の一件もある。


それならば、きっとジェシカやモンファさんも同じ状況にあるに違いない。


日本支部を襲撃した悪魔は何者かによって討伐され、リュネットは死んでしまったと思いこんでいる。


僕の記憶も、いずれ消されてしまうのだろうか。


なら、何も気にすることはない。何もかも忘れて、今までと何一つ変わらない日常。そうすることが、誰にとっても良い選択なのだ。


なぜか全身が、沸騰するように熱くなる感じたが、僕はむりやりそう思い込む事にして、下駄箱の扉を開けた。


『8時30分、特別棟3階階段にて待つ』そう書かれた紙が、ひらりと床に落ちた。


差出人は《鳴神一茂》僕の数少ない友人の1人だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ