6-2-B 第8訓練場
私は、広い部屋の中で、ぽつんと置かれたイスに座っていました。
目隠しと耳栓をされ、外部からの感覚をほぼすべてシャットアウトしています。
口につけられたら酸素マスクは酸素を供給するためのものではなく、生存ラインギリギリまで酸素をカットするためのもので、意識が遠のいて行くのがわかります。
それから数分後、私はそれを外しました。室内のうえに地下なので空気が美味しい、ということはありませんが、自分の身体が酸素を求めているのが、全身を伝わってわかります。私は何度も深呼吸をしました。
辺りには、バラバラになったテニスボールが無数に散らばっていて、足の踏み場がないほどでした。私の目の前には、刃がボロボロになった剣が5本、コンクリートの床に突き刺さっていて、私はそのうちの1本を手に取りました。
その時、私めがけてテニスボールが飛んできました。
しかし私がその剣を振ることはありません。
私の目の前に突き刺さっていた4本の剣はいつの間にか私の背後にまわっていて、飛んできたテニスボールを粉々に切り刻んでいました。
魔力によって操作された剣は自らの意思を持ち、主に害をなすものを徹底的に排除する。
私が剣に順番に触れていくと、剣は柄の部分を残して灰のようになって床に崩れてしまいました。
魔力による物体の操作は、操作する側にも、操作される側にも大きな負担を与えます。量産された剣では、この程度ということでしょう。
「ごめーん。ジェシー!一発だけ残ってたみたいで!ほんま寛仁な!」
両手を振りながらこちらに駆け寄ってくるのは、治療を終えたモンファ。しかし右腕は薄く包帯が巻かれています。包帯で隠しているのです。人に造られた、新しい右腕を
モンファはタオルと水をこちらによこしてくれました。そこで初めて、私は自分が玉のような汗をかいていることに気がつきました。
「いい加減、休憩にしようや」
「……わかりました。そうします」
私は汗を拭きながら広い部屋の出口に向かったのですが、モンファがついてきません。
「どうかしました?」
「あ、いや、なんでもあらへん。片付けはうちがやっとく……」
いつになく歯切れが悪かったのですが、私もそれなりに疲れていたので気にしないことにして《第8訓練場》と書かれたドアを押しました。




