6-1-B 死神について
深手を負った私たちは、駆けつけた協会の構成員によって、協会の息のかかった病院に搬送されました。
片腕を失ったモンファは集中治療室に運び込まれ、協会の技術の随を尽くした治療が行われています。
私は、といえば、傷の手当てを早々に切り上げて、報告書と始末書の製作に取りかかっていました。応援を待たずに大罪級の悪魔と対峙し、その上に一般人を巻き込んだ。そして、予期せぬ死神の出現。
死神の存在なんて信じるかはわかりませんが、そうでもしないと説明がつかなかったので、しっかりと死神のことを記述したうえで提出しました。
数日後、議会室に呼び出されました。今度こそ記憶を消されてしまうことを覚悟していたのですが、今回の件に関しては一切のお咎め無し。そればかりか、前回の規定違反についても、その一切を帳消しにするという話で、内心驚くばかりでした。
その後、協会の保管しているデータベースにハッキングを仕掛け、死神に関するデータを幾つか見つけました。
もしかしたら協会は、死神の存在に気づいていたのかもしれません。
調べていてわかったのは、悠輝があの時行ったのは魂への直接干渉だということ。
魂に直接干渉し、破壊する。
死神の中でも、禁忌とされる業らしいということは、読みとらずともわかりました。
私にだって魂はありますから、当然怖くなってしまいました。
もし悪魔が、死神のような力を持っていたら、世界はどうなってしまっていたのだろうと考えると、震えが止まりません。
しかし、その考えが、悠輝を遠ざけてしまいました。
私がまだ小さい頃夢に見た、両親の死の直前に現れ、両親と話をしていた男性。あれはきっと死神でしょう。悠輝はそれに気づいていたはずです。
悠輝は私と同じで、過去に傷を背負っています。
私の過去を見せたとき、悠輝の過去も断片的に見てしまいました。断片的だったうえに流れが速く、何かあった。ということしかわからなかったのですが。
そんな中、悠輝は私に手を差し伸べてくれました。
それなのに私は、もし悠輝が悪魔だったら、などと。
私の心が弱いばかりに、悠輝を遠ざけてしまった。
もう会う事は叶わないかもしれない。
たとえ悠輝が死神でも、私では到底及ばない力を持っていたとしても、悠輝は私にとって大切な……
もし、また会うことができたのなら、もう恐れることなんて無いようにしなくてはいけません。
もっと強く、もっと速く。
誰よりも、悠輝の側に居られるように。
「じゃまするでぇ」
その時、聞き慣れた関西弁で、ドアをノックする音が聞こえました。




