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5-1 2人の少女
「ーーそうして、かぐや姫は月へ帰って行ってしまったのでした」
僕は絵本のページを閉じる。
厚い紙でできたそのページは、パタンと軽い音をたてる。
「おぉー」
「おぉー」
僕の音読を聞いていた2人の少女が同時に声をあげる。
そのうち、耳の下あたりで二つ結びにした少女が「次はこれ!」と言って《赤ずきんちゃん》と書かれた絵本を持ってくる。
「読んで!読んで!」
もう一人の少女が僕に向かって催促してくる。
「読んで」と言う度に左右に揺れるせいで、少し長めのポニーテールがまさしく尻尾のようにゆらゆらと揺れている。
その少女には、黒いモヤのようなものがかかって見える。
でもこれは、僕以外にはみることができない
この少女は、もうすぐ死ぬ。




