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エクソシストは死神の夢を見るかforZERO  作者: サトウイツキ
スクールライフと七つの大罪
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4-6 後方宙返り3回転ひねり

ホームルームの後質問責めになったのは言うまでもない。


ジェシカはホームステイで僕の家にいて、まだ日本語の意味をしっかりと理解していないということにして、その場は収まったが、今後が心配だ。あとできちんと謝っておこう。


さて、1時限目は体育だったのだが、指定のジャージに着替えてグラウンドに向かうと、体育教師の笹川先生は「転校生はまだよくわからないだろうから今日はドッジボールでもやるか!」と、ドッジボールをやることになった。


名簿順の前の方と後ろの方で分けられ、ゲームが開始される。僕とジェシカは同じチームで、カズと中村さんは相手チームになった。


開始15分、若干僕たちのチームが劣勢の時それは起こった。


中村さんの投げたボールが重力に逆らうようにひょろひょろと飛んできて、僕の手の中に収まる。投擲力に自信があるわけではないが、知り合い以外に当てたくないのでカズに向かってボールを投げた。足に当てようと下の方に投げたのだが、カズはそれを3回ほどリフティングすると、片手で軽々とキャッチした。


「パスサンキュー。」


別にパスしたわけじゃない。


カズは足を掲げ大きく振りかぶって、投げた。

ボールは電光石火の如く僕たちのチームめがけて飛んでくる。


しかしボールは誰にも当たらないだろう。

カズにボールが渡ったら、左右に避けろ、というのが鉄則だ。みんな知っている。


あれ?ジェシカ知らないじゃん。


ボールが手から離れた瞬間、ジェシカを除くすべての生徒がコートの両端に避ける。

取り残されたジェシカ目掛けて下回転のかかった豪速球が飛んでいくが、ジェシカの身長はボールの当たる位置に届いていなかった。ボールはジェシカの頭上をかすめて飛んでいこうとするが、ジェシカは万歳するようにボールを両手で抑えた。しかしボールの勢いが予想より強かったのか、そのままジェシカの体が斜めになる。

ここでそのまま「きゃー当たっちゃった。」くらいの結末になればよかったのだが、そうはいかなかった。

ジェシカはボールを抱えるように、バク宙、バク転、後方宙返り3回ひねりのコンボを見せて、外野のラインギリギリで着地した。息をつく間もなく一歩踏み込むと、ボールを投げた張本人、カズに向かってボールを放つ。ボールがジェシカの手から消えると、次の瞬間ボールはカズのさらに向こう側のフェンスにぶつかって勢いを消し、地面に落ちて軽く跳ねた。


静まり返るグラウンド。

しまったとばかりにこっちを見るジェシカ。


僕が口を開こうとした瞬間、歓声が上がった。


胴上げされるジェシカ。


まあ、変に思われなかっただけましかもしれないが、しつこい部活の勧誘が始まったのは、このことが原因だったと言わざるを得ないだろう。


ちなみにドッジボールは我がチームの勝利で幕を閉じた。


◇◇◇


それから1週間ほどは、部活の勧誘と新聞部のしつこい取材を除けば、特に問題なく学校生活を送っていた。ジェシカはすぐに打ち解けたし、ジェシカを通してか、僕に話しかけてくる人も増えた。

掃討作戦については、人数が多いからこっそり参加すれば多分バレない、ということで、あとは作戦の開始を待つのみとなった。日時はまだ決まっていないらしい。


ジェシカがうちの高校に通い始めて2回目の月曜日。


「この週末、考えていたことがあるのですが。」


教室までの廊下を歩いているとき、ジェシカが口を開いた。


「初めて私が学校に来たときとは、異なる気配を感じているんです。」


初めて学校に来たときというと、日本支部襲撃の悪魔がいたときか。その時とは異なる気配、それはつまり、別の悪魔がまた学校に現れた、という事なのか?


「まだわかりませんが、それはあるかもしれません。」


「調査してみます」というジェシカの言葉を受け取り、教室のドアを開ける。

教室にいた中村さんは、僕の姿を見るなり僕に駆け寄ってきた。


「佐滋君!大変なの!あれを見て!」


中村さんが指さしているのは授業に使う黒板。

そこには、白いチョークを使って


《Nos inique septem peccatis mortalibus》


と書かれていた。


ジェシカは目を見張り、黒板に近づくと、チョークで書かれている部分に触れ、指についたチョークをこすりあわせるようにした。


追いかけてきた僕と中村さんにジェシカは尋ねる。


「この落書きはこのクラスだけですか。」


「ううん。他のクラスにもあるみたい。朝教室に来たらこうなってて、2学年と1学年は全部確認したよ。3学年は今見に行っている人がいるんだけど。」


その時、教室のドアが乱暴に開けられたかと思うと、一人の生徒が中村さんに向かって言った。


「弥生!3年のクラスも全部あったよ!」


その報告を聞き、ジェシカの表情はよりいっそう険しくなる。


「魔力を行使した跡がみられます。おそらくこれを書いたのは《大罪級》でしょう。」


きょとんとする中村さんを置いて、ジェシカは説明を続ける。


「ここに書かれているのはラテン語です。意味は、


《私たちは、七つの大罪を犯す》です。」

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