表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エクソシストは死神の夢を見るかforZERO  作者: サトウイツキ
彼女の影を追いかけて
33/82

3-10 突破口

悠輝の視点で開始します。

師匠に案内されて、学校の敷地から出る。

そのとき屋上の方から絶え間なく4発ずつの発砲音が聞こえてきた。


おそらくもう先頭状態に入っているのだろう。

なんの戦闘能力も持たない僕たちは足手まといになる。それどころかこの怪我ではこの結界から出ることができるかどうかすら怪しい。


時折中村さんに支えられながらも師匠についていくが、そんな僕たちを悪魔が逃すはずがなかった。

空を覆う悪魔のうち何匹かが、群れを作ってこちらに飛んできた。

動きの遅い僕たちはすぐに囲まれてしまう。

今の僕には抗う術はない。ああ、また僕のせいで誰かが傷つく。奥歯を噛み締めた時だった。


「諦めたらアカンで!」


大阪なまりの女性の声が聞こえてきた。

その声の主は僕たちの目の前に突然現れると、右手を軽く上げた。


すると屋上から聞こえてきたのとは別の発砲音がして、ちょうど目の前の悪魔が煙になって消えた。


「ヨキ、ようやったで。登場は完璧や。」


『お姉ちゃん!そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!』


現れたその人はモンファさんだった。

左耳につけた通信機器でヨキさんと会話している。


こういう時、自分は誰かに生かされているんだな、と感じる。


「ほな、ちょっと本気出すで。」


そう言ってモンファさんはロングスカートの裾に手をかけた。

そこにはファスナーがついていて、モンファさんはそれを一気に自分の腰まで持って行く。

全開にされたファスナーはスリットとなってそこに現れた。

大きくスリットの入ったロングスカートがひらりと風に舞うと、綺麗な足が露出する。モンファさんはそのまま大きく足を開き、流れるような動きで何か構えの体勢に入った。


小さく深呼吸すると、モンファさんは白い何かを纏った。

それはぼんやりとしていて、モンファさんから発せられているということだけが確かだった。


その気配に気づいたのか、悪魔たちはモンファさんを囲み、にじりよっていく。しかしモンファさんは構えを崩さない。


自分の距離だと判断したであろう悪魔がモンファさんに襲いかかる。

しかしモンファさんに手が届く、というところで、悪魔は煙になって消えてしまった。


悪魔のいた場所にはモンファさんの拳が。


モンファさんはそのまま目にも留まらぬ速さで周囲の悪魔を圧倒していく。


「応援を頼んだのですが、間に合って良かったです。」


隣にはジェシカさんがいた。

息を切らしていながら僕に説明してくれる。


「モンファはあれで中国拳法の達人です。私たちは普通、魔力を使って武器を生成します。」


ジェシカさんは自分の手の中に出会ったときに持っていたような洋風の剣を作って見せた。

黒い炎が現れたかと思うと、それは徐々に剣の形に変わっていった。


「ですがモンファは、自身の体に魔力を直接纏います。武器を生成する以上に繊細な作業を要しますが、モンファは簡単にやってのけますね。」


あのモンファさんが繊細な作業を、と考えると少し不思議だった。

それよりも、ジェシカさんはモンファさんのことを呼び捨てなんだな、と思った。悪魔祓い(エクソシスト)になった時からの知り合いだと言うし、当然かと思うけど、なんだか寂しいものを感じる。

そんなことを考えているうちに、辺りの悪魔は一掃されていた。


しかし今度はまた別の悪魔の群れがやってきて、僕たちを囲んだ。


「ウチが突破口を開く!ここは任せて、あんたらはゲートに向かいな!」


ジェシカさんは声無く頷くと、モンファさんが作ってくれた道を走った。

僕と中村さんもついて行く。


悪魔の群れを抜けたところでふと振り返る。

モンファさんはこちらに向かって笑顔でピースサインをしていた。


その笑顔はすぐに悪魔の群れによって見えなくなってしまった。


「心配はいらないです。急ぎますよ。」


僕の腕をひくジェシカさんの瞳はしっかりとモンファさんのいる方向を見据えていた。

しかしすぐに目を反らすと、「行きますよ。」と呟いた。


足の怪我の痛みは今はほとんど感じない。僕たち3人は師匠に案内され、ゲートに向かう。


向かう途中、ジェシカさんは険しい表情を浮かべていた。

この状況そのものに危機感を感じていたのかもしれないが、そうでは無かったように僕は思う。


悪魔の群れを通り過ぎるとき、ジェシカさんはすぐ近くの悪魔の声を聞いた。

その声は、はっきりと自分の名前を呼んでいたからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ