3-9 無数の悪魔
空を埋め尽くす無数の悪魔。
僕と中村さんはただ見上げていることしかできなかった。
そのうち、悪魔の何匹かがこちらに向かって急降下してきた。
「危ない!」
僕は足が動かないなりに中村さんを庇おうとしたのだが、悪魔はやってこず、ドスの利いた声が響いてきた。
「вникать!」
急降下してきた悪魔は屋上の床から延びてきたコンクリートの柱に貫かれた。貫かれた悪魔はすぐに煙になって消えてしまった。
「とりあえず、あれをなんとかしないことには、ここから出る訳にはいきませんね。」
すると、野球のボールくらいの大きさの黒い球体がジェシカさん目掛けてぶつかってきた。
「わっ!師匠。・・・うん、わかった。」
ジェシカさんは僕たちの方に向き直ると言った。
「私たちの使う結界には、現実と結界の中を繋いでいる、《ゲート》と呼ばれるものがあります。それを使えば、結界を解除せずに現実に戻ることができます。どこに出現するかはランダムですが、さっき師匠が見つけてきてくれました。ここはなんとかするので逃げて下さい。・・・中村さん、悠輝さんのことお願い出来ますか。」
ジェシカさんは話の途中で僕の足に目をやって、中村さんに僕のことを託した。
同級生の女の子に肩を担がれてしまうのは男子として情けない気がしたので、中村さんには悪いが「大丈夫だよ。」と一言声をかけ、少しよろけながら歩き出す。
「あ、トラップはもう解除してあるから、安心してねぇ♡」
小次郎さんがクネクネしながら僕に声をかけた。
屋上のトラップも先に解除しておいてくれれば良かったのだが。
☆☆☆
師匠に案内され悠輝さんと中村さんが屋上から出て行ったのを確認した私は再び悪魔に目をやる。
私のエクソシスト人生の中でもこんな数の悪魔を一度に相手するのは初めてです。でも今は小次郎がいます。なんとかなるでしょう。
私は魔力を使って二丁の拳銃を生成する。
黒い炎のようなものが手の中に現れ、そのうちに拳銃の形となって私の手元に落ちてくる。
撃ち出すのは普通の弾丸ではなく、魔力でできた弾丸を撃ち出すため、リロードという概念はない。
2つの銃口を無数の悪魔に向け、引き金をひく。
軽い衝撃とともに弾丸が放たれ、悪魔に命中する。
命中した悪魔は煙になって消えるが、2匹消えたところで雀の涙。
絶え間なく弾丸を放つと、次々と悪魔が煙になっていく。
しかし悪魔の数が減る様子はなく、それどこか消える度に増えていくような気さえする。
「数が多すぎます!」
「いつ見ても鮮やかねぇ。でも、なかなか減らないわねぇ。」
小次郎はクネクネしながら言ってくる。
彼は優秀なトラッパーですが、もちろんトラップだけでは悪魔を祓うことはできません。ある程度の技術は持っているとおもっていたのですが。
「手伝って下さいよ!」
「できるけどぉ、ちょっと危ないわねぇ・・・」
どういう訳だか悪魔はその数を増しているようで、私の攻撃なんか利いているのか怪しいですね。
増え続ける悪魔の群れは、50匹くらいの群れを作ると悠輝さんの方に飛んでいく。
追いかけようとすると別の悪魔がやってきて、私の行く手を拒む。
しかし悪魔は屋上に降り立とうかというところで、煙になって消えた。悪魔が降り立とうとしていた場所には、ついさっき発動したと思われるトラバサミが。
「行きなさい。大切なお友達なんでしょう?あら、それ以上かしらねぇ?」
魔力の弾丸が小次郎の頬をかすめる。
もちろん私が撃った。
「次は当てます。」
「やだぁ、こわーい♡」
別にそんなんじゃないし!
ともかく悠輝さんたちが心配です。
どこまで行けたかわかりませんが、とりあえず後を追いましょう。
私はそう言って、屋上から飛び降りた。




