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第8話「アイツの姉貴はセクシー美女(4)」

 王宮の執務室で待たされているルーファスたち。

 腹痛やあの異質な顔色は治まったが、ルーファスの顔色はまだ悪い。

 ディーナは穏やかな表情をしているが、先ほどから目を閉じ指を組んで祈りを捧げている。

 苛立つリファリスは部屋を行ったり来たり落ち着かない様子だ。

「ったく、どれだけ待たせれば気が済むんだい。わっちらは家族なんだ、それなのになにもわからないなんて!(もっと早くわっちが動けていれば)」

 あのとき、リファリスはレストランからローザを追いかけたが、見失ってしまいなにもできなかった。自分を責め、悔やむ気持ちが強い。

 しばらくしてルーベルが部屋に入ってきた。表情は読めず、その顔を見た途端にリファリスが襟首をつかんで飛び掛かった。

「ローザは!」

「犯人からの要求があった。ローザはまだ無事だ」

 淡々とした口調。自分の娘が人質にされているとは思えないほど、事務的に固い言葉を響かせた。

 それに腹を立てるリファリス。

「自分の娘がさらわれたんだ、もっと心配したらどうだ!(クソ野郎め、ローザにも冷たい態度を取りやがるのか!)」

「心配はしている。だがな、わしはローザの父である前に、政府の人間なのだ。職務を果たす義務がある」

「なにが職務だ、娘のことが1番に決まってるだろ!」

「国民が第一だ」

「ならその国民の中にローザも入ってるはずだろ!」

「国民とは個人のことをいうのではない。我らは国民全体、そして国のためになることを決断して遂行するのだ」

「まさか……いざとなったらローザを見捨てる気じゃないだろうな!」

 憎悪が胸の底から沸き立ってくる。今にもリファリスはその手でルーベルの首を絞めそうだった。

 静かにルーベルは口にする。

「テロには屈しない」

 揺るぎなさがその言葉からは伝わってきた。

 ついにリファリスの怒りは頂点に達し、ルーベルの首に手をかけた。

「この野郎!」

「わしを殺しても無用な痛みが増えるだけだぞ。痛みは最小限に留めなくてはならない。そのためであれば、最低限の犠牲者も已む得ぬ」

 ルーベルは動じない。首を絞められるまま動かない。そのまま殺される覚悟もしていた。

 それを止めたのは暖かな手だった。

「やめなさいリファリス」

 リファリスの腕を握ったのはディーナの手だった。

 静かな眼差しでディーナはリファリスの瞳の奥まで見つめた。

「パパは冷酷無情なひとではありませんよ。ローザにもしものことがあったとき、誰よりも傷つくのはパパでしょう。家族として傷つき、犠牲を決断したことで傷つき、さらに多くの批判でも傷つくでしょう。パパはその覚悟をした上で揺るがないのよ」

 ディーナの言葉を聞いてもリファリスは納得できなかった。

「そんな決断をしなきゃいけない職なんて捨ててしまえばいい! なにがあってもローザを助けることを考えろよ!」

 襟首を直してルーベルは無慈悲の仮面を被った。

「嫌な役目だろうと誰かがやらねばならんのだ。綺麗事が通用しない道を選ばなくてはならないときがある。そのときに揺らいではならないのだ、たとえ傷つく者がいようとも心を鬼にして決断しなくてはならないのだ。そうしなければ、さらなる犠牲者が出ることになるのだ」

 リファリスは髪の毛を掻き毟り、床を叩くように蹴った。

「クソッ!(言いたいことはわかるよ、でもそういう問題じゃないだろ)」

 国としての大義名分なら、多くを救うため多少の犠牲もやむを得ない。

 しかし、傷つき苦しむ何の罪のないひとを自分の間近で見たら、世界を救うためだとしても見殺しにすることができるだろうか。

 リファリスにはそれができない。ルーベルにはそれができる。

 部屋の中にはいつの間にか第三者が立っていた。

「38年前のカルッタ事件のことを言っておるのだろ、アルハザード?」

 その姿を確認してルーベルやほかの者は畏まった。

 この場に姿を見せたのは第10代アステア国王クラウス・アステアであった。

「畏まらないでくれたまえ、今の僕はルーファスの一友人として様子を見に来ただけなのだから。家族のみなさんの心中はお察しします、国王としての立場から全力でご家族を救えるように務めます」

 リファリスはその言葉を聞いて安堵した。ウソだとしても、前向きな言葉が聞けて良かった。

 クラウスはルーベルの前に立った。

「カルッタ事件の際、猛抗議の末に出世の道から一時外れたそうだな?」

「はい、仰せの通りです(国王陛下からまさかその話が出るとは)」

「貴公の助言を聞かなかった当時の役人たちは、テロの威しに屈して拘留中のメンバーを解放し、さらには金まで渡したそうだ。のちに解放されたメンバーたちはいくつもの事件を起こし、多くの尊い人命が失われることになった」

「(その犠牲者の中に父がいたのだ)」

 だからルーベルはテロには屈しない。気持ちが揺らぐことで、なにが起きるか誰よりも痛感しているからだ。

 なにを思ったのか、リファリスは椅子に座っているルーファスの首根っこをつかんだ。

「塞ぎ込んでんじゃないよ、行くよ!」

「えっ?」

「そこのクソ野郎がテロには屈しないってほざいてやがるなら、わっちらはわっちらのできることをすればいいだけさ」

「え? え、えっ!?」

「いいから、わっちらでローザを助けに行くんだよ!」

 ルーファスを引きずりながらリファリスは部屋を出て行ってしまった。

 祈りを捧げるディーナ。

 出て行った二人と入れ替わりで役人が飛び込んできた。

「大変です!」

 クラウスは口を閉ざし役人の次の言葉に耳を傾け、ルーベルは眉間にしわを寄せながら促した。

「なにがあったというのだ!」

 萎縮する役人だったがすぐに言葉を発する。

「そ、それが……拘置所からアルドラシルのライガス・レイドネスが連れ去られました」

 それはアルドラシルのナンバー3の名前。教団員が釈放を求めていた男の名だ。

 クラウスもルーベルも驚きを隠せなかった。

 鬼のような表情でルーベルは役人に詰め寄った。

「どういうことだ! アルドラシルの仕業なのか!!」

「それが……どうやら違うようで」

「違うだと?(ほかの者がなんの目的で?)」

「レイドネスを連れ去ったのは、マスクをした赤髪の女で……」

「馬鹿な……(いや、今出て行ったばかりだ。わしとしたことが取り乱してしまった)」

 ルーベルの頭に真っ先に浮かんだのはリファリスだった。だが、リファリスに犯行が不可能なことは明らかだ。

 クラウスは深く頷いた。

「噂の義賊か……薔薇仮面という通称で呼ばれていたな。しかし、なぜ彼女がアルドラシルのメンバーを手助けするような真似をする?」

 その問いには答えず、ルーベルは別の言葉をクラウスに投げかける。

「本物の薔薇仮面であろうと、そうでなかろうと、さらに義賊であろうと犯罪者は犯罪者です国王陛下。どんな理由があろうと、投獄を手助けすれば罪」

「どんな理由があろうと自国の民を見殺しにすれば非難されるのと同じか?」

「わしは自分の信じた道を揺るがず歩き続けておるだけです」

「そうやって貴公は私が被るべき泥も代わりに被ってくれている」

「希望の光は一点のくすみすら許されない故」

 国王の高潔を守るためにもルーベルは揺るがない。


 王宮を飛び出したリファリスは行く当てがなかった。防衛のトップであるルーベルすら手をこまねいているというのに、なんの情報も持たないリファリスに解決の手立てがあるはずがない。

 冷静に考えれば、リファリスが動くことでローザに危害が及ぶかも知れない。そんなことにも頭が回らず、ただリファリスはローザを救いたい一心で後先考えずに飛び出したのだ。

 それに巻き込まれたルーファス。

「これからどうする気なの? ねえ聞いてるリファリス姉さん?(僕たち二人になにができるっていうんだろう。でも姉さんの気持ちもわかるよ、僕だってローザ姉さんを助けたい……でも)」

「ちゃんと聞いてる、作戦も考えてある」

「えっ、ホントに!?」

 政府が対応に紛糾しているというのに、リファリスはいったいどんなことを思い付いたのか?

「ほんとに決まってんだろ。わっちをだれだと思ってんだい?」

「私の姉だけど?」

「そうじゃないよ、世界で一番出来の良いおねーちゃんだろ?」

「あ、はぁ……(その自信はどこから来るんだろう)」

 いつも自信のないルーファスは、ほんの少しくらい見習った方がいい。

 自信満々にリファリスは語りはじめる。

「作戦はこうだ。いいかい、今からアルドラシルのナンバー2だかなんだかを刑務所から連れ出す」

「ええっ!?(というか、ナンバー3だし、たぶんたしかまだ刑務所じゃないと思うけど)」

「つまりだ、クソ野郎はテロには屈しないし交渉もしないとか抜かしやがるなら、わっちらが材料を手に入れてテロリストどもと交渉する」

「ええーっ!!」

「でもクソ野郎の言ってることもわかる。易々テロリストにメンバーを返してやるようなことはしない。ローザを取り戻したら、ちゃんとナンバー2を刑務所に送り返してやんよ」

 テロに屈しない姿勢を見せている以上、作戦であろうと一時的に犯罪者を釈放することは政府にはできない。だからと言ってそれをリファリスが……。

 たとえローザを救い出すためだとしても、それは犯罪であり、自分が罪を負うだけではなく、周りも迷惑をかけることになる。

 ルーファスは首を横に振った。

「ダメだよ、そんなことしたら私たち捕まるよ。それに父さんだって職を失うことに」

「クソ野郎が無職になろうとわっちの知ったこっちゃないね。わっちはなにがあろうとローザを助けるよ」

「その気持ちは私だって同じだけど、他に方法が……っ!?(スカート!?)」

 空をふと見上げたルーファスの目に飛び込んできた靴の裏。

「フガッ!」

 鼻血ブー!!

 大輪の花のような真紅のドレスを着た謎の人物が、ルーファスの顔面を踏み台にして飛んでいった。

 リファリスはその瞬間を間近で見ていた。

 弟の顔面を踏んづけた謎の人物は、赤髪を靡かせ、顔を蝶のマスカレードマスクで隠し、大きな袋を担いでいた。その袋から飛び出していたのは人間の顔だったのだ。

「あの顔……見覚えが……思い出した!」

 リファリスは気絶しているルーファスを文字通り叩き起こして、その襟首を持ち上げながら叫ぶ。

「ニュースで見たことあるぞ、あいつがアルドラシルの野郎だ!!」

「ううっ……(頭がクラクラする)」

「ルーファスも見たろ!」

「えっと、スカートの中はふわふわの白いやつで見えなかったけど」

 ふわふわのやつとは、おそらくスカートのボリューム出すために穿くパニエかなにかだろう。

 ……そうじゃなくって!!

「パンツの話してんじゃないよ! 今の赤い女が連れてたのがローザを救う切り札なんだよ!」

「……え?」

 ルーファスたちは知らなかったが、アルドラシル教団のライガス・レイドネスは、薔薇仮面と思しき人物に脱獄されているのだ。

 リファリスは突然ルーファスを脇に担いだ。

「間違いない、追いかけるよ!」

「え、え、えーっ!!」

 パニック状態のルーファスを抱えて走り出したリファリス。

 すでに袋抱えた影はどこにもない。

「ルーファス! あんたも魔導士の端くれなんだから、追尾魔法とかそんなの使えないのかい!」

「ええっと、なんだろう……ごめん、思い付かない」

「へっぽこ魔導士!!」

「ご、ごめん……ええと、足を早くする魔法ならあるよ!」

「だったら早く使え。こっちは足の遅いあんたの分も走ってんだよ!」

「怒鳴らないでよ、すぐ使うから。マギクイック!」

 風の支援によりリファリスの足が急激に速くなって、思わずつまずきそうになってしまった。

「おっと、いきなり使うんじゃないよ!」

「早く使えて言ったじゃないか!」

「かけ声くらいかけろ!」

「ご、ごめんなさい(なんで僕を怒られなきゃいけないんだろ)」

 心ではそう思っていても、やっぱり謝ってしまうルーファスクオリティ。

 リファリスの眼に映った真紅の影。

「いたっ!」

 影は細い路地を曲がった。

 すぐにリファリスが同じ角を曲がると、真紅の影はマンホールから落ちていく瞬間だった。

「地下に潜った!」

 リファリスはルーファスを放り投げてマンホールの中に飛び込んだ。

 見事に腹から地面に激突していたルーファスは、

「ううっ(痛い)。リファリス姉さん待ってよ〜!」

 手を伸ばすがリファリスの姿はもうない。

 ルーファスは自力で立ち上がり、急いでマンホールを下りた。

 地下は暗かった。水が流れる音がする。

 リファリスが囁く。

「ルーファス明かり」

「うん。ピコライトボール」

 ゴルフボールくらいの小さな光の玉を出したルーファスは、それを手のひらの上で安定させた。ルーファスは失敗を恐れてやらなかったが、この光の玉は体の回りに漂わせることもできる。

 アステアの下水道。比較的広いこの下水道を通る浄化された下水は、やがてシーマス運河まで流れ着く。

 下水の流れる脇の小道を歩く。

「本当にこっちで合ってるの?」

 心配そうに尋ねたルーファスの口をリファリスは急いで塞いだ。

 そして耳元で、

「あの先に光が見える。明かりを消せ」

 言われたとおりライトボールを消して、ルーファスは道の先を見た。

 横からの光が漏れている。おそらく先の道から、脇に逸れる道か何かあるのだろう

 足音を殺しながら二人はその光に近付いた。

 すると声が聞こえてきた。

「約束の金はここにある」

 男の声だ。

 次にしたの声ではなく、まるで文章が頭の中に流れ込んでくる感覚。おそらくテレパシーだ。

《足手まといになると困るから、彼には少し眠ってもらってるけど、心身共になんら異常はないよ》

「レイドネスを我々に渡したら、さっさと金を持ってこの場を去れ」

 脱獄させたライガス・レイドネスと金を交換というわけか。

 ルーファスが無言のまま下水の方を指差してリファリスに見せた。

 そこには小型のボートが停められていた。これが敵の足であることは間違いない。

 角を曲がった先の様子を探りたいが、迂闊に顔を出せば見つかってしまう。今は声を頼りに想像するしかない。

 また頭の中に言葉が流れ込んできた。

《ところで、そこにいる人質はどうするんだい?》

「貴殿のおかげでレイドネスは我々の元へ戻り目的は達せられた」

 それを聞いたリファリスは心臓が激しく打った。

「(まさか殺される!)」

「新たな要求に使う人質にする予定だ」

「(よかった)」

 安堵の溜息をリファリスは吐いた。

 今の会話でローザがすぐ近くにいることがわかった。それは好機だったが、それと同時に不安要素にもなる。ここで下手な真似をすれば、ローザの身に危険が及ぶ可能性が高いからだ。

 すぐ近くにローザがいるのがわかっていながら、今はまだリファリスもルーファスも身を潜めることしかできない。せめて向う側の様子がわかれば状況も変わるかもしれないのだが。

 苛立ちが募るリファリスは勢いだけで今にも飛び出しそうだった。それを制しているのは、リファリスの腕をつかんでいるルーファスの手だ。姉が飛び出したいのをルーファスもわかっている。

 しかし、事態は急激に変化した!

「な、なにをする!」

「俺たちを売るのか薔薇仮面!」

「きゃっ!」

 焦り入り乱れる男女の声が聞こえてきた。

 ライガスを背負った男がボートに向かおうと角から飛び出してきた。

「行かせないよ!」

 叫んだリファリスの回し蹴りが男の腹に食い込み、背負ったライガスに潰されながら男は倒れた。

 身を潜めていられなくなった。

 ルーファスも慌ててリファリスを追って姿を晒した。

 やはりそこにいたのは教団員。レストランで見た男女だ。新たに現れた二人に驚きを隠せないようだった。

 教団員の女が叫んだ。

「わたしたちを売ったのね薔薇仮面!」

《たまたま付けられていたらしいよ》

 薔薇仮面の手から放たれたチェーンが女教団員を雁字搦[ガンジガラ]めにした。

 ここにいた教団員の数は十人余り。その半数はすでに気絶しているか、拘束されていた。

 薔薇仮面と武器や魔法で抗戦する教団員の中にローザがいた。

 周りの敵に構わずリファリスはローザの元へ駆け寄る。だが、敵の放った炎がリファリスを呑み込もうとしていた。

「ウォーター!!」

 叫んだルーファスの放った水の塊が炎を呑み込んだ。

 びしょ濡れになりながらリファリスはローザの手を取った。

「だいじょぶかいローザ!」

「はい、あのお方がわたしにだけテレパシーで合図を送って助けてくれたの」

 ローザが指差したのは薔薇仮面だった――はずだった。

 しかし、そこには薔薇仮面の姿はなく、取引に使われた大金も消えていた。

 先ほどまで飛び交っていた攻撃魔法のレイラも治まり、辺りはわめき声だけが響き渡っていた。

「くそっ、我々の拘束を解け!」

 教団員たちは壊滅させられていた。立っている者は誰一人としていない。気絶しているか、魔法のチェーンで拘束されているかだ。

 すぐに王宮の兵士たちや治安官たちが現場に駆けつけてきた。

 その中にはルーベルもいた。

「ローザ大丈夫か!」

 ルーベルは両手を広げローザを抱きしめた。

 それを見た静かにつぶいた。

「……親父」

 父と娘が抱き合う姿。リファリスにとっては感慨深いものだった。

 ルーベルはローザの体を離し、ルーファスとリファリスに顔を向けた。

「おまえたちがやったのか?」

「わっちがやったのは2、3人だよ」

 その言葉を受けたルーベルに顔を見つめられたルーファスは焦った。

「いやっ、わ、私は……(逃げ回るので精一杯だったんだけど)」

 教団員のほとんどを片づけたのは薔薇仮面だ。

 ローザは微笑んだ。

「お父様、わたしと姉が敵の炎で焼かれそうになったとき、それを救ってくれたのはルーファスです。ルーファスはわたしたちの命の恩人です」

「……そうか」

 ルーベルは深く頷きそれ以上言わなかった。

 きっとルーベルは勘違いをしているに違いない!

 リファリスはルーファスの肩を出して無理矢理歩き出した。

「さーって、運動のあとは酒、酒!(たまにはかわいい弟に花を持たせてやらないとな)」

「え、私はだから……ちょっと(逃げ回ってただけなのに!)」

 でも、それをはっきり口に出せないところがルーファスクオリティ。

 のちに本当のことを言い出せないまま、感謝状まで贈られることになるルーファスだった。


 第8話_アイツの姉貴はセクシー美女 おしまい

カーシャさん日記

「飲み友達」997/09/24(アンダイン)

ニュースでルーファスの姉がテロリストに拉致されたことを知った。

実につまらん、妾の知らんところでそんなおもしろい事件が起きていようとは。

悔しいから酒場に行ったらルーファスがいたではないか!

一滴も酒が飲めんクセに酒場に来るなんてアホだと思っていたら、リファリスに連れて来られたようだ。

久しぶりにリファリスと会ったが、相変わらず酒が強いな。

妾のほうが強いがな!

ただ胸はここ1年で負けた気がする。

リファリスが海賊王になるとか言い出して、妾のヴィーング時代の話を聞かせてやったら、おもしろがって聞いていたな。

あの席では言わなかったが、ヴィーング時代も大航海時代も何百年前に終わってるぞ。

今さら海賊王なんて目指してどうする?

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