第6話「未知との遭遇(4)」
料理対決がはじまる寸前、ルーファスの言葉でエルザは我に返った。
「……危ない女狐の謀略に乗せられるところだった」
もう少しで任務も忘れて意味不明な展開になるところだった。
ルーファスの言葉ならちゃんと聞くディーも正気を取り戻していた。
「ルーファス君の言うとおりだ。料理対決など関係なくこの怪物を処理せねばらん」
2人がまともな思考を取り戻したというのに、桃色と空色はまだバカなことをやろうとしていた。
ビビは大鎌で触手をスライスしようと奮闘し、ローゼンクロイツは日傘に魔導を宿した光の剣で華麗な包丁(?)捌きを魅せる。
果たしてどんな料理ができあがるのか!
それを見守っているのは、胸の谷間から緑茶のペットボトルを取り出して飲んでいるカーシャ。あんたの胸は四次元ポケットかっ!
ローゼンクロイツによって捌かれていく触手。だが、まるで単細胞生物のなみの再生力で、次から次へと新たな触手に生え変わる。これじゃあ、食べても食べてもなくならない!
そして、ついに料理が完成したらしい。
近くの民家から運び出したテーブルとイス、そこに座るのはルーファス。強引に審査員にされてしまった。
まず、運ばれてきたのはローゼンクロイツの料理。
ルーファスの前でフタを開けられた皿に乗っていたのは……お刺身だ!
切って皿に乗せただけ。いや、しかしシンプルなだけに、奥の深い料理なのだ。
ここでローゼンクロイツの口から衝撃のひと言が!
「よく考えてみたら、こんな場所で料理できるわけないよね(ふにふに)」
――で、お刺身になったというわけだ。
キッチンもなにもない場所で、料理対決をするなど最初から無謀だったのだ。
ルーファスはナイフとフォークを握ったまま、皿の上の物体エックスと睨めっこをしまった。
この物体は生で食べていいものなのだろうか?
見た目はナマコをスライスしたみたいというか、真っ黒なゴムを輪切りにしたみたいというか、口の中に入れてはイケナイ雰囲気が漂っている。
が、ルーファスの真後ろではカーシャが無言のプレッシャーをかけている。
ルーファスは物体エックスをフォークで突き刺し、目を瞑って口の中に放り込んだ。
もぐもぐ。
一瞬にしてルーファスの顔を真っ青に変わった。
頬を丸くして、今にも××しそうなルーファスが物陰に駆け出した。
――しばらくして、ゲッソリ頬の痩せたルーファスが帰って来た。雪山で遭難して食料も底を付き、数週間ぶりに発見されたかのような衰弱ぶりだ。
「まるで生ゴミを食べてるみたいだった……(あんなの食べたら廃人になるよ、実際なりかけたし)」
無表情の顔のままローゼンクロイツは首をかしげた。
「そうかな?(ふあふあ)。美味しいと思うんだけどなぁ(ふにふに)」
ローゼンクロイツは自分で捌いた刺身を指で摘んで、口の中にあむっと放り込んだ。
もぐもぐ、もぐもぐ。
「美味しいよ(ふあふあ)」
表情一つ変えないローゼンクロイツ。
ビビはローゼンクロイツの言葉を信じて、お刺身をつまみ食いした。
「う゛っ!」
ビビは顔を真っ青にして物陰に消えた。
やっぱりローゼンクロイツは首をかしげている。
「う〜ん、味が薄いのかな?(ふにふに)」
そう言ってハンドバッグから取り出したのは、なんと七味唐辛子。常備持ち歩いてるのだろうか?
フタを開け、中のフタも開け、一気にドサッと刺身に山盛り。七味唐辛子が1瓶丸ごとお刺身に振りかけられ……じゃなくて盛られた。
ローゼンクロイツにお皿ごと差し出されて、ルーファスは両手を胸の前に突き出し首を横に振った。
「いらないっていうか、食べ物じゃないから!(……ローゼンクロイツが味覚音痴だったの忘れてた)」
実はローゼンクロイツ、大の辛党で味音痴なのだ。ついでにしょっちゅう鼻炎らしい。
もはや七味唐辛子の塊を化したお刺身を食べながら、まだ首を傾げてローゼンクロイツはフェードアウトしていった。微かに『美味しいのになぁ』と呟く声が聴こえてくる。
さて、気を取り直して次はビビの料理だ。
再びテーブルに座らせれたルーファスの前に運ばれてくる料理。お皿にはフタがされてまだ中は見えない。
が、ガタガタっとフタが動いた。
思わず顔を引きつらせるルーファス。とっても嫌な予感がする。
ビビはニコニコ顔でフタを持ち上げた。
オープン・ザ・地獄への片道切符!
フタを開けた瞬間、生きたまま触手がルーファスの顔に飛び掛った。
「ぎゃあ!(く、苦しい……)」
触手に付いた吸盤がルーファスの舌にへばりついた。しかも、触手はルーファスの咽喉の奥に入ろうとしている。このままでは窒息死は免れない!
ルーファスが暴れまわるのを見て、ビビは凄まじい勘違いをした。
「ルーちゃんそんなに喜んで食べてくれて嬉しいっ♪」
「うがっ(違っ)、うががだばばば!(早く助けて……)」
「やっぱりアタシ料理の才能あるのかなぁ」
暴れ狂うルーファスの姿をビビのフィルターを通すと、歓喜の舞を踊っているように見えるらしい。
カーシャがビビの頭をパコーンと叩いた。
「アホか、ルーファスが死に掛けておるだろう」
すぐにカーシャはルーファスの口からはみ出す触手を掴み引っ張った。だが、触手はなかなか剥がれない。
「ビビ、手伝え!(舌まで引っこ抜きそうだな)」
「うん!(ルーちゃん死に掛けてたんだ……きゃは)」
今度はビビも手伝い、綱引きの要領で引っ張った。そしたら今度は、力が強すぎてルーファスが踏ん張りきれず、地面の上をズルズル身体ごと移動するだけだった。
「あがぐだずげで!(早く助けて!)」
泣きそうな顔を必死に訴えるルーファス。だが、ハッキリ言ってなにを言ってるのわからない。
ルーファスの口から伸びる触手を引っ張る光景は、なにも知らない人が見たら舌が伸びちゃった人みたいだ。そして、この光景はもう一つなにかの光景に似ていた。
引っ張っても引っ張っても取れないので、諦めてカーシャとビビは手を放してしまった。次の瞬間、触手がゴムのように収縮してルーファスの顔にバチン!!
これぞ伝説の芸――ゴムパッチンだ!
顔を抑えて床に転がり回るルーファス。さそがし痛かったことだろう。
真っ赤に顔を腫らしてルーファスが立ち上がった。
「痛いじゃないか!!」
と、叫んだ口から触手が消えていた。地面を見ると取れた触手が痙攣している。
満足そうにカーシャが頷いた。
「うむ、計算どおりだ」
絶対にウソだ!
たとえ偶然だとしても、これで一件落着だ。
めでたし、めでたし……じゃな〜い!
そうだ、料理対決なんてバカなことしていて、エロダコ本体のことを忘れていた。
辺りにエロダコの姿はなかった。
ルーファスは近くで騎士の手当てをしていた病院スタッフに尋ねた。
「あの、あのタコはどこに行きました?」
「シモーヌ川に向かって再び進みはじめましたよ」
料理対決なんかしてる間に、エロダコは再び町をぶっ壊しながら爆進していたのだ。
すでにカーシャはエロダコを追おうと走り出していた。
「ルーファス早く行くぞ!」
「早く行くぞって……(カーシャが料理対決なんかけしかけたんじゃんか)」
ビビもカーシャを追って走り出していた。少し遅れてルーファスも後を追った。
ついにエロダコは運河まで来てしまった。
物資を運ぶ作業がストップして、港は一時閉鎖に陥った。
魔導騎兵を引き連れてエルザが再びエロダコの前に立ちはだかった。
「全ての責任は私が取る、生け捕りは中止だ。総攻撃の体制を整えろ!」
魔力を増幅させる剣を魔導騎士たちが構えた。
各々の魔力が共鳴して、辺りにマナフレアが浮かびはじめた。大量のマナがこの場に集まってきている。
そして、魔導騎士の集めたマナが天に翳されたエルザの大剣に集められた。
「ギガサンダーソード!」
レイラが唱えられた瞬間、エルザの持つ剣が閃光を放ち、自分の身体の4、5倍はある雷光の剣に変化した。
歯を食いしばりながらエルザは、天を突くほどの雷光剣を振り下ろした。
稲妻が轟き閃光がエロダコを焼き斬った。
ギョギャァァァァッ!!
ヒトとも獣とも付かない断末魔が木霊して、真っ二つにされたエロダコが燃え上がった。
辺りにタコを焼いたような匂いが立ち込める。お醤油が欲しくなる香りだ。
その匂いもすぐに焦げ臭い悪臭に変わって、エロダコは完全に灰となってしまった。
エルザは剣を鞘に閉まって前髪をかき上げた。その額には汗が滲んでいる。
魔導騎士が集めたマナを一点に集中して解き放つ。攻撃力は絶大だが、全てのマナを引き受けたときの負荷は想像を超える。心身ともにハイクラスの魔導騎士であるエルザだからこそできる技なのだ。
やっとこれで王都アステアにも平和が戻る……と思ったのも束の間、エルザは言い知れない殺気を感じた。
灰になったハズのエロダコが再生をはじめている。なんてこったい!
アンビリバボーなタフさで、エロダコが元の姿――いや、それ以上の姿になろうとしていた。
触手の長さは数十メートルに及び、体長は15メートル以上の大きさ、頭はまるでアフロヘアーのようにパンパンだ。
エルザが叫ぶ。
「一時退避だ!」
触手が縦横無尽に暴れ周り、魔導騎士たちは散り散りに逃げ出した。
エルザが倉庫の物陰に身を潜めると、そこには先客がいた――ディーだ。
「厄介なことになったなエルザ大佐?」
「こんなところに隠れていないでさっさと退避しろ」
「隠れていたのではないよ、日陰で休憩していただけだ」
やっぱりディーは陽光の下が苦手らしい。
2人が隠れる倉庫の陰に、触手が獲物を探して現れた。
エルザの聖剣が触手を一刀両断した。
斬られた触手は緑色の液体をばら撒きながら逃げて行った。すぐにエルザは追おうとしたが、その腕をディーが掴んだ。
「待て」
「なにをする放せ!」
エルザは腕を振り払おうとしたが、それを許さないディー。
「灰から蘇る敵とどう戦うというのだね?」
「構うかそんなこと、全力を尽くすのみだ!」
「そんな猪突猛進な性格では、これ以上の出世は望めんな。さらに出世の道を歩みたいなら、頭を使いたまえ」
「……くっ(たしかに今の私にはあれを倒す術はない)」
生半可な攻撃では傷一つ負わせることはできず、傷を負わせてもすぐに再生する。そんな敵をどうやって倒すのか?
ディーはこう助言をする。
「どんな生物にも弱点はある、それを探すことだな」
「そんな弱点いったい……?」
「私が研究中の細菌兵器があるのだが、使ってみるかね?」
「バカなことを言うな、水源の近くでそんな恐ろしい細菌をバラまけるか!」
「……残念だ(良い披見体が見つかったと思ったのだが)」
細菌兵器が万が一、近くの川に流れてしまったら、ここから下流はそりゃー大変なことになってしまう。
どこからか叫び声が聴こえた。女の子の叫び声だ。
エルザはすぐさま倉庫の影から飛び出した。
触手が蠢く中にビビの姿があった。どうやらまた懲りずに捕まったらしい。
ビビを助けようとルーファスが必死になって魔導を繰り出す。
「ウィンドカッター!」
風の刃が触手を切り刻む。だが、いくら切っても切がない。
エルザは聖剣に稲妻を宿して助太刀に入った。
「ルーファス大丈夫か!」
「ダメ余裕ない!」
ものすごく正直だった。
触手に捕まったビビはまたくすぐり地獄を味わされていた。
「きゃははは……ちぬぅ〜……」
全身をくすぐられて身悶えるビビの姿を真下から見て、ルーファスは顔を一気に沸騰した。
鼻血ブー!
真っ赤な鮮血が触手にぶっ掛かった。すると、やっぱり触手はヒドク暴れてビビを解放した。
それを見ていたディーは呟く。
「もしかしたら、この生物にとってヒトの血は毒なのかもしれん(ヒトの血ほど甘美なものはないというのに)」
これまでの経由を見ても、エロダコが血を恐れていることは明らかだ。ただ単にルーファスの鼻血がばっちぃと思ってるだけかもしれないが。
しかし、これに賭けてみる価値はあるかもしれない。
エルザは即座に判断を下した。
「ディー、病院に連絡して至急輸血用の血液を持ってこさせろ!」
「断る」
ザ・断言!!
思わぬ答えにエルザは苛立った。
「どうしてだ、事は一刻を争うんだぞ!」
「輸血用の血液は常に不足している。そんな大事な血液を下賤な生物を殺すために使えるか」
「ここでこの怪物を殺さなくては、怪我人が出るかもしれないんだぞ!」
「なら、これを代わりに使え」
ディーはある物をエルザに投げた。それを受け取ったエルザは呆気に取られた。
トマトジュースだった。
「バカかっ、こんな物が代用品になるか、この藪医者めっ!(非常事態にこんなギャグをかますなんて、いったいどういう神経をしているのだ)」
そんなミニコントをしている間にも、エロダコは暴れ周りながら港の物資を破壊していく。
触手に破壊されそうな積荷を見てビビが叫ぶ。
「ラアマレ・ア・カピス!!」
ビビの大好きな果物の積荷が木っ端微塵に破壊され、ピンク色の果汁がそこら中に散らばった。
食べ物の恨みは怖い。
大鎌を構えたビビがエロダコの本体に立ち向かう。そして、捕まる。懲りないリピートだ。
「きゃーっ! ルーちゃん助けて!」
ルーファスに助けを呼ぶビビ。しかし、ビビを救ったのは別の人物だった。
切れ味鋭い鉄扇で触手を切り刻み、ビビの身体を抱きかかえてカーシャが地面に下りた。
あの利己主義で有名なカーシャが人助けをするなんて、明日は絶対にハリケーンと大雪と雷雨と地震がまとめてくる。
抱きかかえられながらビビはカーシャを見つめた。
「カーシャありがとぉ(まさかカーシャに助けられるなんて)」
「これは貸しだからな、絶対に返すのだぞ、ふふっ」
邪悪な笑みを浮かべるカーシャ。やっぱりこの人に慈善活動って言葉はない。
ビビを無事に救ったカーシャだったが、2人のすぐ背後にはエロダコの本体が!
『ハリセンボンのーます♪』くらいの勢いで触手が2人に襲い掛かる。
誰よりも早くルーファスが動いていた。だが、間に合いそうもない。
ビビとカーシャが眼の前で襲われる寸前、ルーファスの目に飛び込んできたモノは!
なんと、カーシャがビビの上着を全て剥ぎ取ったぁぁぁっ!!
おっぱいポロリン♪
「キャーッ!」
鼻血ブッハーッ!!
これまでにないほどの鼻血がルーファスの鼻から放たれた。それは止まることなく噴き続け、エロダコをペンキで塗りたくったように真っ赤に染めた。
鼻血ブッハー!
鼻血ブッハー!!
鼻血がブッハーっ!!
体内の血液を全部出す勢いでルーファスは鼻血を噴き続けた。
そして、驚くべきことに、鼻血を浴びたエロダコが見る見るうちに縮んでいくではないか!
エロダコは子供ほどの大きさまで縮んでしまった。今がチャンスだ!
エルザの手から光の鎖が飛ぶ。
「エナジーチェーン!」
鎖でグルグル巻きにされたエロダコは身動き一つできない。
やった、ついにエロダコを封じることに成功した!
鼻血を浴びたのはエロダコだけではなかった。
ビビは真っ赤になった身体から蒸気を昇らせていた。そして、渾身の力を込めて拳を握った。
「ルーちゃんのばかーっ!!」
グーパンチはルーファスの顔面ど真ん中にヒットして、力なくルーファスがぶっ飛んだ。しかし、鼻を殴られたというのに、もう一滴も血は流れなかった。
突然、空が眩い光で包まれた。
何事かと空を見上げたカーシャがいち早く発見した。
「UFOか?(そんなまさか……)」
円盤型の空飛ぶ物体が上空から地上近くまで下りてくる。まさしくこれは未確認飛行物体、略してUFOだ。
UFOは目が眩むほどの閃光を放った。
この場にいた全員が強く目を瞑った。これってまさかキャトル・ミューティレーションの前フリなのか?
キャトル・ミューティレーションとは、強い光もしくはUFOを見た直後に気を失い、目が覚めたら身体のどこかに金属片を埋められているっていうアレだ。
だが、そんなことにはならなかった。
閃光が治まって、視界が元通りに戻ると……。
「エロダコがいない!」
ビビが叫んだ。
みんなで辺りを探し回ったが、やっぱりエロダコの姿はなかった。
あのUFOがエロダコを連れ去ったに違いなかった。
この事件は今夜のニュース番組でさっそく特集が組まれることになり、クラウス王国のみならず、近隣の国でも高視聴率を記録した。
――そして、鼻血ブーで入院を余儀なくされたルーファスの元に、ローゼンクロイツがお土産を持って遊びに来た。
「鼻血で入院なんて聞いたことがないよ(ふあふあ)」
「悪かったね(出したくて出してるわけじゃないんだ)」
「体調のほうはどうだい?(ふにふに)」
「まだちょっと頭がボーっとしてるかな……」
ルーファスの鼻の穴から赤い液体がツーッと流れた。また鼻血だ。
ザ・おっぱい!
ルーファスの脳裏にアノおっぱいが焼きついてしまっていた。思い出すたびに鼻血が出てしまう。やっぱり免疫なさすぎである。
ローゼンクロイツは思い出したように、ハンドバッグからお弁当箱を取り出した。
「お土産を持って来たよ(ふあふあ)」
「なにこれ?(お弁当箱って……なんか嫌な予感)」
お弁当箱を受け取ってフタを開けてみると、中に入っていたのはタコヤキだった。
「食えるかっ!」
あんな事件があったあとで、タコヤキを食べれるほどルーファスの神経は図太くない。
「美味しいから食べてみてよ、ほら、あ〜ん(ふあふあ)」
ローゼンクロイツは爪楊枝でタコヤキを差して、それをルーファスの口に近づけた。
ここまでされたら食べるしかない。しぶしぶルーファスはタコヤキを一気に口の中に入れた。
もぐ……っ!?
「うぇっ!」
顔を真っ青にしてルーファスは気絶した。
それを見てローゼンクロイツは首をかしげた。
「おかしいなぁ、美味しいのに(ふにふに)」
ローゼンクロイツはタコヤキを口の中に放り込んだ。
実はこのタコヤキの原料は『アノ触手』だった。しかも、生地はホットケーキミックス、マヨネーズとソーズの代わりに、カスタードクリームとチョコのトッピング。
隠し味は……七味唐辛子だった。
「美味しいのになぁ(ふにふに)」
いつまでもその呟きが病室に木霊したのだった。
第6話_未知との遭遇 おしまい
カーシャさん日記
「料理対決!」997/09/22(ガイア)
酷い目にも遭ったが、今日は実に有意義だったな。
町に現れたエロダコ騒動……ふふっ。
本当はあの場にいた全員に参加して欲しかったが、クリスちゃんとビビだけでも十分に面白かった。
今後、第2弾、第3弾と回を重ねたいものだ。
次はどんなゲテモノ料理が……ふふっ。
ルーファスの反応が楽しみだ。