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第5話「凍える記憶(4)」

 煙の中で焦るルーファス。

「なんか不味いことしちゃったぁ?!」

 慌てて伸ばした手が、なにかに触れた。

 ふにふにするゼリーのような感触。

 白い煙の中でルーファスは目を凝らした。

 その手が触れていたのは女性の胸――じゃなくて、もっとズボッとめり込んでいた。胸を触っていることにはかわりないが、まるでゼリーに手を突っ込んだように、手が埋没しているのだ。

「ぎゃー!(な、なんで手が!?)」

 すぐに手を抜こうとしたが抜けない。それどころかルーファスの手に流れ込んで来る強烈なマナ。

 女性のマナがルーファスの手を通して流れ込んでくる。

 突然、女性が蒼い眼をカッと見開いた。

 そして、驚いた顔をしてルーファスの襟首に掴みかかった。

「貴様、なにをしておるのだ!!」

 貴方様の胸に手を突っ込んでます。

「あ、あの、その手が抜けないんですけど……?」

「妾の寝込みを襲うとは許せんぞ!」

「ご、ごめんなさい。悪気があったわけじゃないんだけど、そのなんていうか」

 不可抗力!!

「とにかく妾の胸から手を……手を……」

 急に女性の顔から生気が失われはじめた。ルーファスに体内マナを吸われ、急激に衰弱しているのだ。

 慌ててルーファスは手を抜こうと頑張った。

「ごめんなさい今抜きますから!」

 力を込めるとズボッと手が抜けて、ルーファスは反動で尻餅をついた。

 しかし、女性の衰弱は収まらない。

 柩から這い降りた女性の下半身は、ドロドロに溶けはじめていた。

「妾のマナ……返して……もらうぞ!」

 ルーファスに襲い掛かる――全裸の女性!

 鼻血ブー!

 ルーファスの鼻血が女性にかかり、ドロドロの身体に混ざり合ってしまった。

「妾の身体に……不純物が……(ダメだ……余計に力が出ん)」

 女性はそのまま倒れこむようにルーファスと重なった。

 そして、ブチュ〜っとキッス!

 ルーファスと女性の唇が重なった。

 急激にルーファスの身体から体内マナが吸われていく。女性は口移してマナを取り戻そうとしているのだ。

 しかし、女性は途中で口を離した。

「ダメだ……接吻だけでは完全ではない」

 それでも多少は取り戻したようで、ドロドロだった身体は固形化していた。しかし、鋭く力の宿っていた瞳は、蒼から黒に色あせていた。

 キスをされたルーファスは放心状態。

 免疫ゼロ!

 放心しているルーファスの頬を女性が引っぱたいた。

「おい、目を覚まさんか!」

「うっ!(クリティカル)。覚ましましたから、もう手とか構えないでください」

 女性の手は2発目を構えていた。

「うむ、目を覚ましたならよかろう。さて、妾の裸を見た代金を払ってもらおうか、接吻はサービスだ」

「はぁ?」

「ウソだ(ふふ……久しぶりに人をからかった)」

「あのぉ、とにかく服を着てもらえませんか?」

「ダメだ」

「はぁ!?」

 ルーファスの目はいろんなところを行ったり来たり。目のやり場に困る。なのに相手は服を着ることを拒否。

 なぜ?

「貴様が妾から奪ったマナを取り戻すため、今からセックスをする」

「はぁ?」

「聞こえんかったか? 今から妾は貴様とセックs(ry」

「あーあーあーあー!! 聞こえましたからそれ以上は言わなくていいですから!」

「なら話は早い。ヤルぞ」

「ちょ、待った!」

 明らかにルーファスは腰が引けていた。

 全裸の女性は巨乳を揺らしてルーファスに近づいてくる。

「なにを待てと言うのだ? 元はと言えば、貴様が妾の眠りを覚ましたのが悪いのだぞ?」

「あの、私たち知り合ったばかりですしー(そ、そんなボディで迫られても困るし)」

「妾の名前はカーシャだ。以上自己紹介終わり。これでいいな?」

「よくないし!」

 声を張って抵抗。

「ならば仕方ない。妾の名前はカーシャ、この城の主だ。過去の大戦で敗北し、この柩で静養していた。おそらく100年……いや、1000年か、よくわからんが、貴様が妾の眠りを覚ますまで、妾は気持ちよく眠りに落ちていたのだ……わかる安眠を妨害された妾の気持ちが?」

「わかります、人に起こされると寝覚めが悪いですよねー」

「ならば、ヤルぞ?」

「だ、だからそれは……」

「まさか……童貞か!(童貞……ふふっ)」

「そ、そーゆーことじゃなくて、知り合ったばかりの女性とそういう関係を持つのは、従順なガイア聖教の信者としては……ダメかなぁって」

「うるさい、とにかく妾のマナを返してもらうぞ」

「ちょちょちょ、やっぱりダメですってば!」

 ルーファス逃亡。

 なんかこうなったら逃げるしかない。

「こら待て!(妾じゃ不満か! これでも肉体は人間でいうと20代そこらだぞ!)」

「待てません!」

 必死に逃げるルーファス。なんか肉食獣に言われる草食動物。

 カーシャは体内マナを服に変化させて身に纏った。マナを有形にする魔導はかなりの高等魔導だ。

 逃げるルーファスは王の間改め女王の間までやって来て、赤絨毯の上をダッシュした。その先に待ち受けている巨大な扉。

 押して開こうとしたが開かない。引いて開こうとしたが、やっぱり開かない。

「開けよ!」

 ガン!

 ルーファスは扉を蹴っ飛ばした。

「イッツァーッ!」

 かなりの激痛がルーファスの足に走った。

 骨折していた右足だ。

 ここでルーファスは気付いた。

 骨折していたハズの足が治ってる?

 もしかしてカーシャのマナを吸ったときに治ったのか?

 だとすると、本当に相手のマナをもらったことになるけど、返すに返せない。

 今は逃げるしかない。

 すぐそこまでカーシャが迫っていた。

「待たんか泥棒!」

「待てませんってば、エアプレッシャー!」

 ルーファスの手から放たれた風の塊が扉を吹き飛ばした。

 吹き飛ばしたルーファスは唖然。

 いつもよりも術の威力が高い。

 壊したドアから逃げようとしたルーファスは悪寒を感じた。そのまま瞬時の判断で床に這いつくばった。

 潰れたカエルのように地面に伏したルーファスの上を、巨大なツララが飛んでいった。

「チッ……外したか(寝ている間に腕が鈍ったか)」

 カーシャの放った攻撃魔導だった。

 捕まえるというか、コロス気満々?

「私のこと殺す気ですか!!」

 ビシッと立ち上がったルーファスにカーシャはアッサリと。

「そうだ。貴様が逃げるなら、殺して肉と血を喰らうだけだ」

「マジですかー!」

「ウソだ。ツララが刺さればとりあえず動けなくなるだろうと、なんとなく飛ばしてみた(死んだら死んだでそのときだな……ふふ)」

 殺すのメインじゃなくて、ツララを刺して相手の動きを鈍らすのがメイン。

 やることが大雑把すぎ!

 カーシャはハッとした。

「貴様人間か! ならばあんなツララ刺さったら即死だな」

 今さら気付くなよ!

「即死じゃすまないから!(絶対身体が吹っ飛ぶし)」

「ならば小さいのなら平気だな」

 カーシャの手から放たれる標準サイズのツララ。

 って、そーゆー問題じゃないから!

 刺さり所が悪かったらやっぱり即死だし!

 連続して放たれるツララを避ける。

 まずは――。

「ワッ!」

 の形をしてルーファスはツララをかわした。

「ワッ、イッ!」

 次は『Y』の形でかわした。

「ギャ!」

 この叫びじゃ避けれなかった。

 見事にルーファスの魔導衣を抜けたツララ。けれど幸運なことに、ツララはわきの下の布が余った部分を抜けて行った。

「殺す気かー!!」

 普段弱気のルーファスがマジでキレた。

「安心しろ、脚を狙ってる(寝起きでどこに飛ぶか知らんがな)」

 安心できないし!

「脚でも当たったら痛いだろバカじゃないの!」

「妾を前にしてバカとなんだ!(親父にはバカって言われたことないのに! 妾に親父はいないがな……ふふ)」

「バカだからバカって言っただけじゃないかバカ!」

「バカバカと、貴様は知らぬようだか妾はこの辺り一帯では恐れられていた氷の魔女王なのだぞ!」

「そんなの知らないよバーカ!」

「おのれ小僧!(あ〜んなことやこ〜んなことをして、コテンパンにしてくれる)」

 急激にカーシャの周りにマナが集まりはじめた。それは目にも見えるマナフレアと呼ばれるエネルギーだった。

 通常のマナはこの世の全てに宿っていると言われるが、目で見ることはできず感じることしかできない。けれど、マナの力が多く集まることよって、目に見えるまえの大きさになったものをマナフレアというのだ。

 カーシャの周りに集まっていたのは蒼いマナフレアだった。

 マナフレアの色によって、だいたいのマナ属性が判別できる。蒼いマナはおそらく水か氷系のマナだ。たぶん自称氷の魔女王と言っていたので、氷のマナだと思われる。

 グラーシュ山脈は極寒の雪山。氷属性の魔導を使うにはもってこいだ。

 集まるマナに合わせてカーシャが詩を唱える。

「ライララライラ、神々の母にして氷の女王ウラクァよ……」

「うはっ、ライラ!?」

 ライラとは古代魔導の総称だ。

 今ある魔導はライラから派生し簡略したものだ。それはレイラ・アイラ・マイラと分かれ、呪文の名を唱えれば簡単に使える。もっと簡略化されたものは、なにも唱えなくても使えるものもある。

 が、派生した魔導はライラに比べて質が落ちる。つまり威力が落ちる。

 ライラこそ真の魔導。別名を〈神の詩〉と呼ばれている。

 しかも!

 ライラは詩を詠めば読むほど、完全な詩を詠めばそれだけ威力が増す。

 例えば『ライララライラ、(呪文の名前)!』よりも、『ライララライラ、なんたらかんたら(呪文の名前)!』のほうが強い。

 でも、そんな完全な詩を詠める者は、この世界に一握りしか残っていない。

 そんな1人がルーファスの目の前にした。

「……魂をも凍れる息吹……」

 まだカーシャは詩を謳っていた。

 魔導マニアがいたらこの瞬間に大喜びだ。

 でも、ルーファスは魔導マニアじゃなかった。

 滅多に見れない魔導なんかよりも、命のほうが断然大事だ。

 逃げろルーファス!

 逃げたルーファス!

 が、遅かった。

「ホワイトブレス!」

 ホワイトブレスは簡略化されたレイラにもあるが、そんなもの比べもにならない威力だった。

 ハリケーンのように猛烈な吹雪がカーシャの両手から放たれる。

 が、ここでカーシャがボソッと。

「……しまった(力が出ないせいで操りきれん)」

 自ら放った魔導の圧力に押され、カーシャはバランスを崩した。

 そして、手まで滑った。

 グォォォォゴゴォォゴオッゴゴゴゴゴォッ!!

 吹雪は天井を吹き飛ばし、上のフロアを突き抜けて空の彼方に消えた。

 この日、どっかの観測台では、地上から天に昇る☆彡が観測されたらしい。

 天井から崩れ落ちた細かい破片を浴びながら、ルーファスは腰が抜けて地面に這いつくばったままだった。

 服を着たまま水に飛び込んだみたいに汗がぐっしょり。

 天井から吹き込む本物の吹雪が汗を掻いた身体を凍らす。

 シャレにならない巨大な穴が天井には開いていた。開いていたというか、10メートル以上吹っ飛んでる。けっこう大きな部屋だが、その部屋の天井のほとんどをふっ飛ばしていた。

 カーシャが完全な力だったら、もしかして城ごと吹っ飛ばせるかもしれない。

 そんなカーシャはまだまだヤル気満々だった。

「次は外さんから安心しろ」

 ここでなんか言い返してやりたかったが、もうルーファスは顎まで外れてチビりそうだった。

 起こしてはいけない魔女を起こしてしまった。

 まあ、後悔先に立たずだけどね!

 カーシャの周りに再びマナフレアが集まる。天井が抜けたことによって、さっきよりもマナが集まっているような気がする。

「ライララライラ……」

 再び謳われる〈神の詩〉。

 ルーファスは逃げたかったが、逃げようにも腰まで抜けていた。

 てゆーか、なんかもう逃げても逃げ切れる自信がない。

 てゆーか、捕まえる趣旨を忘れてませんかカーシャさーん!!

「ホワイトブレス!」

 先ほどよりも強大な、地上にあるもの全てを凍らすような吹雪。

 ここでカーシャがボソッと。

「やっぱりムリだ」

 ならやるなよ!

 アフォかッ!

 抑えきれない圧力に耐えかね、根負けしたカーシャは床に向けてホワイトブレスを放った。

 グァォォォォガガッゴゴゴゴォォォォォォン!!

 巨大な邪龍が吼えるような雄叫び。

 床は衝撃で大爆発して、城全体が大地震に見舞われたように揺れた。

 砕けた壁や床が散乱して空から降り注ぐ、そして煙が辺りから視界を奪った。

 揺れている最中、ルーファスはまったく動けなかった。目すら開けれなかった。

 揺れはどうにか治まったようだが、震えでルーファスの身体はまだブルブル揺れていた。

「……ワタシ生キテマスカ?」

 カタコトで自問。

 城が大きく揺れた。揺れは治まったハズなのに、これはヤバイ兆しかもしれない。

 ルーファスは立ち上がろうとしたが、足は床についていなかった。足の先からずーっと先まで床が消失していた。

 また城が大きく揺れた。その反動でルーファスは開いた床に落ちてしまった。

 最初のフロアを落ち、次のフロアも落ちて、地下室のフロアから、ないはずのそのまた下に落ちそうになった。

 ここでルーファスはガシッと壁を掴んだ。

 どうにか踏ん張って地下室のフロアに這い上がった。そこから下を覗くと、巨大な穴がずーっと下まで、黒い口を開いているではないか。

 ホワイトブレスに当たっても死んでたし、ここから落ちてても死んでたし、どーにか生き延びたようだ。

 辺りを見回したがカーシャの姿はなかった。

 きっと自分の放った魔導に巻き込まれて……。

 そのとき、何者かがルーファスの足首を掴んだ。

「ふふふっ……捕まえたぞ」

 ルーファスの足を掴んでいたのは、床で半分以上溶けてしまっているカーシャだった。

具現化していた服はなくなり、下半身はもうすでになくなっている。ルーファスの手を掴んでいる手も、すでにドロドロだった。

 痛ましい姿を見てルーファスは心痛んだ。

 でも、もしかして逃げるチャンス?

 相手が弱っている今なら余裕に逃げられるかもしれない。

 ルーファスの足首を掴んでいた手が完全に溶けた。

 そんなカーシャを目の前にして、ルーファスが後ろを向いて逃げられるはずがなかった。

「ごめん……僕のせいで……」

 ルーファスはカーシャの上半身を抱きかかえ、自らカーシャの唇に唇を重ねた。

 濁流のように体内マナが流れ、受け取るカーシャは残った片手でルーファスの背を強く抱いた。

 かなーり濃厚なキッスだった。

 キスの最中でカーシャは笑いはじめた、

「ふふふっ、力が戻ってくるぞ」

 ルーファスの身体を突き放し、みなぎる体内マナを解放するカーシャ。

 その瞳は黒から蒼へ。

 が、瞳の色は急速に色あせていった。

「やはりダメか」

 カーシャは壁にもたれ掛かり座り込んだ。

 口付けだけでは、やはりダメなのだ。

 ルーファスは心を決めていた。

「僕で良かったら……その、あのぉ……」

「もういい」

「えっ?」

 あれれ、なんだか拒否されましたよ?

「もういい、妾の気が変わる前にさっさと立ち去れ」

「でも……それじゃあなたが……」

「うるさい、テクもない童貞に妾を満足させられると思ってるのか。気が変わる前に姿を消さんと、殺すぞ」

 童貞かどうかは置いといて、殺されるのは困る。

 腰が引けたルーファスは一歩下がり手を小さく振った。

「それじゃあ、さよならお元気で〜」

 さっさと逃げようとしたルーファスの足が止まった。

 このまま城の外に出たら死ぬし。

 ここで死ななくても、寒くて死ぬし!

「あ、あのぉ〜」

「なんだ、消えんと殺すと言っただろう?」

「こんな状況で頼むのも悪いと思うんですけど、実は私遭難しちゃって。山の頂上に行けばみんなが待ってたりするんですよねー」

「(……こいつアホだな)。城にワープ装置がある。その1つが頂上付近に繋がっている」

「あの、その装置はどこに?」

「自分で探せたわけがっ!」

 カーシャの手からツララか放たれ、ルーファスは紙一重で避けた。

「ご、ごめんなさい、自分で探します。すぐに消えますから!」

 猛ダッシュでルーファスは逃げたのだった。

 その後、ルーファスは城の中で小1時間ほど迷い、どーにかこーにかワープ装置によって頂上付近に到着。たまたま出会ったほかのクラスの人に泣いて頼んで、どーにかこーにかゴールにたどり着くことができた。出会った生徒が好戦的じゃなくてラッキーだった。

 そんなこんなで魔導学院入学初の『遠足』は幕を閉じた。


 が、そんな雪山での出来事なんて無理やり忘れていた日のこと。

 いつのもように魔導学院に登校して、いつものようにはじまりのベルが鳴った。

 そして、何時ものように1時間目の講師が教室に入ってくるハズだった。

 しかし、教室に入ってきたのは黒髪の妖艶な美女。

 金髪ではなくなっているが、その顔にルーファスは見覚えがあった。

「カ、カカカカカカーシャーん!!」

「久しぶりだなお前。だかな母さんではなく、カーシャだ」

 カーシャは妖しく微笑んだ。

 切りたくても切れない腐れ縁がはじまった瞬間だった。


 第5話_凍える記憶 おしまい

カーシャさん日記

「おはよう」994/10/03(アンダイン)

寝込みを襲われた。マジありえん。

そもそも今何年だ?

あいつの名前は何だったか、そもそも名前を聞き忘れたか?

駄目だ、まだ頭が働かん。

茶でも飲もうと思ったが、食料品はすべて賞味期限が切れている。当たり前だ。

半永久エネルギー炉は稼動しているらしく、城は妾が眠りについた時から変わっていない。

否、いなかった。

城はあいつを殺そうとした時にぶっ壊してしまった。寝室が無事だったのがせめてもの救いだ。

まずは城の普及からせねばならんな。

城が元通りに戻ったあとはどうするか?

再び眠りに就くか?

しかし、妾のマナは大量に流れ出し、多くをあの男に持っていかれてしまった。

再び眠りについても完全体にはならぬだろう。

やはり、あの男からマナを返して貰うしかないのか……帰すんじゃなかった。

それに眠ることにも飽きた。

妾が眠っている間に世界はどのように変わったのだろうか?

少し躰が回復したら、世俗見物でもするか……ふふっ。

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