エピローグ
「好きです。付き合って下さい。」
それは突然だった。
目の前の少年は淡々と告げる。
私は驚きのあまり呆然としていた。
「ひとつ、とばしたね。」
そう言って少年はふわりと笑う。
「はじめまして。ソラ。」
おかしなシチュエーションなのは分かっている。
確かにこの少年とは初めて会う。
でも、どこか違う。
―ずっと一緒だった様な気がした。
そこまで思考を巡らし、思った。
この少年が『彼の最期の愛』なのだろうか。
ふっと私は微笑み、言った。
「宜しくお願いします。」
―
似ている様で違う。対になっている二人の少年。
彼らは孤独だった。
一方は自ら人と関わる事を拒み、もう一方はある少女の手によって孤独へと導かれた。
一方の少年は自ら犯した過ちに苛まれていた。そして、他人を拒むようになった。
しかし、その考えは他者の手によって変えられた。
彼は孤独ではなくなった。
そして、有限の時間の中で今を大切にする事を決意した。
もう一方の少年は理不尽な運命を突き付けられ孤独へと放り出された。
彼は理不尽な運命に翻弄されながらも自身の人格を保ち続けた。
そして最後まで自分の意思を保ち続け、朽ち果てた。
狂気に憑かれた少女は自らの人格をも支配され、全てを破滅へと導き消えていく。
壊れていく世界の中で、それでも彼らは何を守ろうとしたのだろうか。
果たすべき役目を終えた時、全てを見届けた少年も光となり消えていくのだろう。
『時の旅日記』より
ここまで読んで頂いた方、ありがとうございます。
孤独ノシリーズ第二談、『箱庭世界と孤独の少年』がやっと終わりました。
書き終わった私は今泣きそうです(笑)
一応シリーズはこの二つで成り立っています。
ただもうひとつ、番外編みたいな話を出す予定です。
この二つの話の裏設定的なのがわかるかもしれないですね。
改めて、孤独ノシリーズ第二談、『箱庭世界と孤独の少年』を最後まで読んで下さった方に感謝します。
ありがとうございました!