では、その【聖剣】をそげぶする。
社長「では、エクスカリバーの形状について議論する」
歴史家「当時のブリテンは、ローマ式集団戦法が主流だったから、グラディウス型だったのでは?」
戦史研究家「だよね、騎馬戦術なんて、当時は流行ってなかったし。ガリア本土ならいざ知らず・・・」
芸術家「いやいや、アーサーは騎馬兵さ。そうなればしごく当然、槍がエクスカリバーに決まっている。【カムランの戦い】の絵を見てみなさい。持っているのは槍じゃないか」
小説家「そうですね、当時の英雄装備の標準といえば、槍ですよねえ。クーフーリンのゲイボルグもあるし。馬に乗っていてもいなくても、槍が主流武器だったしさ」
神学家「いやいや、噂によるとそのゲイボルグとカレドブルフが同一って説も・・・」
武器屋「ちょっとまてや。槍ってだけでスピアもランスもジャベリンもごちゃ混ぜにしてないか?」
神官「それ以前の問題じゃ! エクスカリバーは唯一絶対の神によって祝福された。得体のしれない海獣の骨が原料なんかじゃないわい!」
司教「まさにその通り。神の祝福、キリストの剣といえば十字を摸したロングソードに決まっている!」
神学家「そうそう。さらにつけくわえるなら、ジャンヌダルクに神が贈られた剣もロングソードだったっけ??(教会の裏からさび1つなく出土した、恐怖の逸品である)」
武器屋「いや、だからさ。そのロングソードの定義を明快にしてよ。形状から何から、定義があいまいで実態がつかめないんだけど?」
歴史好き「だいたい、アーサーっていうとあれだろ? カドク司祭によく罰を食らっていた、盗賊の親玉のことじゃないか。定期的に略奪とか、暴行をして、地面に埋められたり、つるされたり。アーサーを何回懲らしめたぜ、ヒャッホー的文献も出たっていうし。記録も絵画もあるし、そのカドクは聖人の列にいるし・・・」
小説家「ローマ系神話、サクソン系神話、キリスト教。その他いろいろが乱れる宗教混在の状態ですべての宗教の敵となった人物がアーサー。という話をイギリス人が書いて、イギリスでベストセラーになってしまったっていうし。さらに、映画化までされたらしいぜ? ミレニアムセコンド(二千年)周辺にね」
・約500年 アーサー
・約1000年 十字軍
・約1500年 レコンキスタ・ピルグリムファーザーズ
*500年周期は、キリスト教における重要なサイクルである。
一般人「だいたい、異教徒丸出しの魔法使い、ドルイドのマーリンが師匠で、アーサーに与えたって剣って時点で・・・どうなのさ? 異教の品物じゃないか」
アイルランド人嫌い「それに、ブリテン出身のアーサーが金髪って変だわな。当時侵入者だったサクソン人の外見そのまんじゃないか。少なくとも、純血のブリテン人じゃないぜ。アイルランド人が怒るんじゃないか?(アイルランドは、ローマに占領をされていない。独自の自負がある)」
一般人「つまり、アーサー王の実在、エクスカリバーの存在そのものがフィクションの可能性が大ですな」
社長「うーん。それは言わない約束だったんじゃあ・・・」
各専門分野から人物を招き、学術的・神学的・歴史的考察を行い吟味に吟味を重ねた。
かくして、イギリスの有名【おもちゃ】会社は、エクスカリバーの形状を決定したのであった。それは、21世紀現代、映画などでよく見るあの形状である。
フィクションが入りますが、イギリスのおもちゃ会社が、エクスカリバーの模造刀を売り出すときに物議を読んだのは事実です。