昼休み
「休めてねぇよっ!!」
私は叫・・・・・・び、たかった。
昼休み――――――やること多すぎないか?
12:10から始まった昼休み。委員会の集まりが12:30からある。
現在の時刻は12:25。――――昼食は、まだ摂ってない。
「3時限目が終わったらすぐに来い。」と、先公に呼ばれていたからだ。
呼ばれて行った職員室。私を呼んだのは『雑談好き』で有名な先公。嫌な予感はびんびんしていたのだが、果たしてそれは的中した。
――――――本題は5分で終わったのに、雑談で10分も潰しやがった・・・・・・。
そんなこんなで、昼飯を食べる余裕など無く、とにもかくにも委員会に遅れないよう、私は今、廊下を走っている。
次の角を曲がれば教室はすぐそこだ。私は一層、勢いをつけて、ターンを決めた。
――――――瞬間、目の前に黒が広がった。黒服、金ボタン、学ラン・・・・・・認識できたのは、そこまでだった。
ドンッ
「うわったっ!」
「うおっ!」
向こうは向こうで急いでいたらしく、互いの勢いが互いを突き飛ばした。尻餅を突く。バサバサと、向こうが持っていたプリントが廊下に散らばった。
「あー・・・・・・ごめんなさい。」
「いや、こっちこそ・・・。」
互いに言いつつ、プリントを拾い集める。
全部を回収し、私はその束を相手に渡した。その時、初めて相手の顔をまともに見た。
――――――・・・・・・わあ。
隣のクラスで"イケメン"と大評判の男子だった。つか、同級生か。敬語使った意味ねぇな。
「あ、えーと、サンキュー。悪かった、前 見てなくて。」
向こうも同級生だと気付いたらしい。敬語が消えている。
「いや、こっちこそ、申し訳ない。何にも見てなかった。怪我とかは・・・?」
「あぁ、俺は全然。大丈夫。そっちは?」
「私も無傷だよ。」
そこまで会話して・・・・・・・・・・・・話が、途切れた。互いに何も言えなくなって、立ち去るタイミングも逃して、手持ち無沙汰に立ち竦む。
――――――どうしよう、この空気。ってか、なんで向こうは立ち去らないの?
私は心底 不思議に思ったのだが、さすがに、『なんでまだ居るの?』とは言えない。
さぁて、どうしたものか・・・・・・・・・って、
「あ。」
「――――どしたの?」
「忘れてた。委員会が始まる。ホントに、ごめんね!じゃあ、」
いい逃げ口上が見つかった。というか、実際この騒ぎで残り時間は僅かに1分となってしまった。
私は最後にもう一度謝って、その場を後に
「なぁ、お前、何組?」
「へ?」
通り過ぎかけた私をそいつはひき止めた。立ち止まる。顔を見上げる。あぁ、やっぱりイケメンだな。私の好みじゃないけど。女子どもが騒ぐのもわかる。
――――――で、今、何と?
「・・・何組?」
「あ、ええと、8組・・・。」
「名前は?」
「藍川ゆかり。」
「そか。じゃあな。」
「え?」
彼は、一方的に聞くだけ聞いて、あっさりと立ち去った。・・・・・・何だあいつ。人に名前を聞いといて、自分は名乗らないとか、何様だ。
・・・・・・とか、思ってる場合じゃ無かった。
「ヤッベェ、時間。委員会!」
私は再び走り出した。教室に滑り込む。アウト?セーフ?よよいのよい!
席に着いて、腕時計を見る。12:29・・・・・・いや、今、12:30になった。
―――――― セーーフっ。
ふうっ。私は大きく息を吐いた。
(「ギリギリだったね。」)
(「おう。間に合ってよかったよ。」)
隣の席にいる同じクラスの子と、ヒソヒソ話していたら、号令がかかり、委員会が始まった。
その時、私の脳内につい先程出会った彼のことは、すっかり消えていた。
――――――――――それが、私の輝かしい青春になるとは知らず。
さて、これは現実でしょうか?それとも、妄想でしょうか?
知るのは当人ばかり・・・。




