休み時間
暇人は二人になっても暇人です。
テストが返ってくるらしい。クラスの中は、その話題で持ちきりだ。
「あー・・・返ってくんのかぁ。やだなぁ。」
「やだねぇ。出来た気しないよ。このまま返って来なければいいのに。」
「だよねー。」
斜め前の席の友達と話す。この子は、私と趣味が合う、珍しく貴重な人材だ。いや、人"財"だ。ちなみに、名前は鴫野 音子という。イントネーションを間違えると、(当然ながら)マジで怒られるので要注意だ。ニックネームで呼べば何の問題もないが。ニックネームは“ねこ”ちゃん。初めて会った時に、私が読み間違えたのが由来である。
私は、机にぐだりと覆い被さりながら、ねこちゃんに向かって言った。
「ねこちゃーん。」
「なぁにー?」
「ちょっと、先生 闇討ちしてきてよ。」
「えぇっ?」
私の唐突な発言に、ねこちゃんは少なからず驚いたようだったが、すぐに、
「いいねぇそれ。ちょっと行ってくるか~。」
と言った。ねこちゃんのそういうところが、私は大好きです。
私は突っ伏したまま言った。
「うん、行ってきてよ。こう・・・後ろからブスリと。」
「うんうん、いいねぇ。こう、ね。――――あ、やっぱ、袈裟懸けに斬るのがいいかなぁ。」
抜刀の真似事をしながらねこちゃんが言った。私は少しだけ考えて、
「・・・いや、袈裟懸けだと、殺りきれない可能性があるから・・・喉の辺りを突いたほうがいいんじゃない?」
「あぁ、そっかぁ。そうだねぇ。じゃあ、盆の窪あたりを狙ったほうがいいかなぁ。」
「うん。頸動脈あたりを狙うべきだよ。」
「だねぇ。」
私は起き上がった。本当に、ねこちゃんとは話が合う。
「証拠も残さないようにしないと。」
「あぁーそうだねぇ。じゃあ、マフラーでも顔に巻いていくか。」
「あとは指紋とか。」
「手袋もしないとね~。」
「アリバイは任せて!ねこちゃんはずっとここで私と話してました、って言ってあげるから。」
「おぉ~ありがとう~。」
話がまとまったところで、私はねこちゃんに敬礼をした。
「よし、じゃあ、行ってらっしゃい!」
「はいっ、行ってきます!」
ねこちゃんも返礼してくれる。左利きのねこちゃんは、一回左手で敬礼をして、「あ、間違えた。」と、右手でやり直した。
チャイムが鳴った。
先公が入ってくる。その脇に抱えられたテスト用紙サイズの封筒を見て、
(「早く行けば良かったね。」)
と、ねこちゃんが囁いた。
軽くノンフィクションでお送りしました(笑)




