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アンガスの居場所

 一旦、パーティーメンバーを全員集めた。

 あれは、皆が俺を信頼し預けてくれたパーティーの資金だ。

 誠心誠意謝らなくてはならない。


「本当に、申し訳ない……。俺の不注意だ」


「い、いえ。そ、そんなに頭を下げないでく、ください……」


「悪いのはアンガスです」


「シオナ……、アンユ……」


 二人はまともで助かった……。

 アンガスだけだ、追放しなくちゃいけないのは。

 あともう一つ言わないといけないことがあるな。


「サイジャークと会った」


「え!? さ、サイジャークと!?」


「……」


「ああ。奴とは夢の中で会った。奴は俺に奴自身の封印を解かせようとしている。俺の先祖がした封印を、だ。しかし、恐らくこの街を出れば干渉ができない」


「で、でも、路銀がありませんよね……」


「ああ、一刻も早く稼ぐか、アンガスを見つけるかをしたい。王都まで戻れば奴を倒す手がかりがあるかもしれない」


「か、稼いだ方がいいです、かね……」


「その方が堅実だな」


「……いえ、アンガスを見つけましょう」


 アンユがそう提案する。何か考えあってのものだろう。


 仲間を信じ、提案を聞き入れるのもまた勇者として重要な要素である。


「借金取りがこの街にいる以上、アンガスであってもここに立ち往生するしかありません」


「なるほど。そこを捕まえる、と」


「そ、そういえば、徒歩でここから逃げるというのは……」


「いい提案だが、あまり現実的ではないな。なんせ、俺が夢で見た光景は、現実世界を夢へ投影している可能性が高いからな」


 あの野原は恐らく、フェルベースの外にある野原のどこかなのだろう。


 サイジャークの力が封印されてからそうとうの時が経過しているはずだ。


 当時の地形からだって随分と変わっているだろうし、一見して分かるようなものでもないだろう。


 分かるのならとっくの昔に誰かが見つけているはずだ。


「そういうわけで、徒歩でここから脱出するのは危険が多すぎる」


「そ、そうでしたか……。す、すみません……」


「謝ることはない。意見してくれて嬉しいよ」


「は、はぃ……」


 シオナが下を向く。自分に恥じているのか耳が赤い。


 もっと自分に自信を持ってもいいだろうに。


「それじゃ、最優先事項はアンガスを見つけることだ」


「で、でも、どこにいるんでしょうか」


「アンガスはきっと、借金取りの所に行く」


「え!?」


 シオナが驚く。その拍子で机にぶつかり、コップが倒れた。


 またもシオナは俯く。可哀想に。


「なんせ、アンガスは借金を返済できるんだからな」


「……あ、お金を盗んだからです、ね?」


「ああ、そうだ」


 だが、根回しはしてある。


 借金取りと言うと聞こえが悪いが、あくまで彼らは金貸し屋であり、少し法外な金利ということ以外は一般市民となんら変わらない。


 少し脅したら素直に言うことを聞いてもらえた。


「まあ普通に信用できないから金貸し屋の近くを張るぞ」


「わ、分かりました!」


「……ええ」


 そんな俺たちを意味ありげに見るアンユの視線に気が付かないまま、アンガスを探しに行くのであった。

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