第参話 なつとの喧嘩
妖物語
教室に行くと、女子からは心配の声、男子からは賞賛の声は聞こえた。
「「「いったいだいじょうぶなの?」」」
「「「「一日で治るなんてスゲーな!」」」」
適当にごまかしながら、席に着いた。
隣の席は、台所 なつと言って小学三年生からの付き合いだ。美人で珍しい苗字だったので、たちまち人気者になった。が、その対応の冷たさから避けられるようになった。いまだにいじめられないのはなぜかと思うくらい避けられているのだ。そして、ハヤトはこの隣の席のなつが大の苦手だった。勉強で二人組になったとき、ろくにしゃべらないし、いつもいつもハヤトのせいにするのだ。
今日も、そうだった。その日、二人組で作ったレポートを提出するのだが、なつが手伝わないせいで完成しなかったのだ。そのせいで、行間休みの間外へ行けずにずっとレポートを書いていたのだ。いくつにも積み重なり、ハヤトのかんにん袋が切れた。
「なんでお前はいつもいつも手伝わないんだよ!」
「心外。ハヤトが遅いだけ。」
ぐぬぬ、それはそうだけど。言い返せない。
「大体、わかる、でしょ。」
「あーもういいよ!お前とは絶交してやる!」
「‼」
俺は絶交を言い渡した。夏は驚いた顔を見せ、その次に悲しそうな顔をしたが、俺は怒りのままにその場を去った。
「あやつ、四神の一柱の白虎の妖人じゃよ。しかし、どうなったもんかのう。」
えっと思うと同時に、やばいことをしてしてしまったという絶望感が襲った。
妖物語
「は?マジ?」
「まじ?ってなんじゃ。」
タマモが変なことを言った。
思わず声に出してしまったが、みんな気づいてないみたいだ。
「マジって言うのは、たぶん本気かどうか確かめる言葉だよ!」
「そうか。さっきの問いじゃが、本当、じゃなくてマジじゃ。さてうべなふすればいかんな。」
「うべなふ?」
「うべなふは、令和でいえば謝罪するということじゃ。なぜ、このような『古典ことば』もわからんのじゃ。」
「普通はわかんねえんだよ!」
うべなふ?こてんことば?わかんねえし。
「わしも其方の目を通し、令和の知己を得ていたと思ゆが、それもまだまだ迷信であったか。
って、其方とあやつことはどうなった。」
おぼゆってなんだよ…と思ったが、いちいち言われるのはめんどくさいし、覚えられないので黙ることにした。しかし、
「そうだった、なつのことがあるんだった。」
タマモの言葉ばかり興味が言ってしまっていたので、本題であるなつとの仲直りを忘れてしまっていた。
それに、いちいち話していない内容に目がいってしまう悪い癖があるので、気を付けようと思った。
今、地域班と一緒に下校しているところだ。って考えてしまうことも悪い癖なのだろう。
「でもよ、今日絶交って言ったばっかりだしさ、明日突然許すってのも、俺のプライドが…。」
「便よしではないか。其方は思しわづらふではないによって、ちょおせん?することも思はしによって。」
「意味は分からねえけど、すればいいんだろ?」
「?そうじゃ。よし、とりあえず明日言うてこい。」
「は?はああああああ!?」




