第壱話 タマモの封印とハヤトの日常
「遅いなー。」
緑で生い茂る森の中。
俺はとある人物を機にもたれかかって待っていた。
俺ーーーーハヤトは、幼馴染の少年、海と虫取りをする約束をしていた。
約束の時間を30分過ぎても来ないので、勝手に虫取りを始めることにした。
この山、尾張山は何十年か前にこの土地の持ち主が失踪したみたいで、俺たちにとっては取り放題だ。
5匹ぐらい捕まえて、家に帰ろうとしたとき、尾張山の奥で何か光ったような気がした。
「光った?」
奥に行ってみると、そこにあったのは古びて----何か書いてあったようだがーーーー 読めない祠らしきものが立っていた。おそらく、光っていたのはこれだろう。俺は興味本位で触ってみることにした。
「なんだろ、これ…。」
べたべた触っていると、祠をくくっていた縄?みたいなものを誤って外してしまった。
「やっべ…。」
直後に、祠から黒い靄のようなものが出てきた。その靄が次第にはっきりしていき、狐のような姿になってきた。
「妾の封印を解いたのはお前か?」
それは、恐ろしい声だった。王にふさわしいすさまじい威圧感で、俺は座り込んでしまった。怖い。
「ひぃ。」
「おや、この覇気に耐えられるか。耐えられるということことは、其方は我の末裔じゃな。」
そういわれると、覇気という名の威圧感がなくなった。
「ふぇ?」
さっきとは違ったからか、俺の口から情けない声が出た。
「さて、おびえる必要になったこともあり、妾の名を教えてやろう。『妖』の九尾族の、タマモじゃ。人呼んで最凶最悪の妖怪じゃ。」
知らない単語が多すぎてハヤトは試行放棄したが、タマモは気にしない。
「今日方お前は『妖人』になる。其方に宿らせてもらうゆえ、覚悟するのじゃ。」
そういうと、タマモは霧のように消えてしまった。
タマモがいないので、わからないので、家に帰ることにした。
親に何をしたかと聞かれたが、何故か適当にごまかしてしまった。
その後寝るまでは特に日常の変化は訪れなかった。




