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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第11章:人類発祥の地・アフリカ【2029年11月20日】
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第91話:二重護衛

挿絵(By みてみん)


「ピラミッドからわたしたちを監視してるって、どういうことですか? まさか、ピラミッドの中に、秘密の監視部屋があるとか……」


 梨沙さんは楽しそうに笑う。

「アイディアとしては面白いな。ただ、ピラミッド内部は今なお完全には調査が終わってないんだ。そんな部屋を勝手に作ったら、さすがにエジプトの古代遺跡省が激怒するよ]


 ――”古代遺跡省”なんて省庁があるなんて……。さすが人類最古の文明の一つ、エジプト文明が生まれた国だ。


「ピラミッドの外壁には、盗掘や不法侵入なんかを防止するために、監視カメラが至るところに仕掛けられているんだ。それを使えば、周辺の監視なんて一発だよ」


「でも、その映像を見られるとなると、相当特別な人達なんじゃ……?」

 星の問いに、梨沙さんが頷く。


「ああ、普通は見られない。だから逆に言えば、わたし達を見張っているヤツらは、それだけの地位にあるってわけだろう」


 涼しい顔で、サラっという梨沙さん。

 元自衛官という職業柄、こういったことに慣れているんだろうか?


「ど、どのタイミングで、監視されていることに気づいたんですか?」

空港(初め)からだよ」


 そう言って彼女は、意味あり気にわたしたちを見つめ返す。

「今や世界から注目を浴びているリンと星(二人)の護衛が、あたしだけかと思ってたのか?」


「え!?じゃ、わたし達を二重で護衛してたってわけですか?」

「ああ、空港からずっと、別動隊にあたし達のことを尾行(フォロー)してもらっていたんだ。内調と連携してね。シュマッグの一団を発見したのも、その別動隊(そいつら)だ」


 ――内閣調査室(ないちょう)という言葉には聞き覚えがある。

 確か、以前説明してもらった、日本版CIAってやつだ。


 つまり、彼らが、わたし達の尾行者を、二重に見張っていたということか。


「でも、こんなただっぴろい砂漠の中で、どうやって相手を監視するんですか?簡単にバレちゃう気が……」

「リンもよく知っているやり方だよ」


 そう言って、梨沙さんはわたしにスマホを見せてくれる。


 それは、上空からのリアルタイムの録画映像だった。

 ピラミッドから数百メートル離れた場所で、ラクダに乗っているわたしたちが点のように映っている。


 ――まるで、鳥からの目線のような……。

 そこで、わたしはようやく気付く。


「え、まさか、ドローンで!?」

 思わず頭上を見上げる。


 わたしは、おじいちゃんたちとの山籠もり修行での出来事を思い出す。

 何者かが上空に鷹型ドローンを飛ばし、わたし達を監視していたところを、アレクが弓で撃墜したのだ。


「この改良版の鳩型の脳波ドローンを、二重護衛中の別動隊が操作しているんだ」


「え、じゃあ、わたし達を見張っている人たちも、この映像に映っているんですか?」

「ああ。それらしき一団は映ってはいた。ただ、みんな頭布をかぶっていたから、上空からの映像じゃ顔までは識別できないけどな」


「それにしても、鳥の視点って、こんな感じなんですね……」

 空から俯瞰する砂漠は新鮮で、思わずドローンからの映像に見入ってしまう。


 その鳩型ドローンが、ピラミッドの反対側まで飛んで行ったとき。

 不意に、”ざざっ”という雑音が鳴り、映像がぷつんと途切れた。


「ちっ、やられたか……」

 梨沙さんが、舌打ちする。


「逆監視用の鳩型ドローンが、何らかの方法で撃墜、もしくは捕獲されたようだ」


 ――え?

 わたしは驚愕する。

 山籠もりのとき夢華とアレクがやったことを、今度は逆に相手からやられた形だ。


 ただ、あれには夢華とアレ(二人)クの、相当高度な連携と技術があってこそだった。

 わたしたちを見張っている相手もまた、かなりの腕前なのかもしれない。


 梨沙さんは、緊張で固くなったわたしの肩を叩くと、妙に断定的な口調で言った。

「安心していいよ。あたしの推測が正しければ、向うに危害を加えるつもりはないはずだ」


 ――ん? 

 梨沙さんには、既に相手の目星がついているのだろうか……。


 問い返そうとしたわたしに、梨沙さんが言う。

「さすがに喉が渇いてきたな。ホテルに戻って一杯やりながら話そうか」


挿絵(By みてみん)

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