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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第19章:中国・過去と未来の交錯地【2030年1月6日】
272/296

第272話:弓矢

 挿絵(By みてみん)


 ――まさか、ここまで歯が立たないなんて……。

 (うずくま)りながら、わたしは敗北感に打ちひしがれていた。


 わたしは剣道、アレクは弓術(アーチェリー)の使い手として、素手での格闘は門外感だ。

 それでも二人がかかりで、攻め続ければ、何かしらのダメージは与えらえると思っていた。


 ――まるで、巨岩に殴りかかっているみたいだ。


 朱飛は、避けさえせずに、わたしとアレクの攻撃を全て同時に受けきっていた。


 どこを殴っても、その体はびくともしなかった。

 むしろ打ち付ける自分の拳や脚に、ダメージが蓄積されていく。


「攻撃が当たる寸前に、その場所に”気”を集中させて、防御力を強化してるみたい」

 わたしは、同じく肩で息をしているアレクに耳打ちする。


「”気”で防御している相手に対しては、更に強い”気”を込めていない攻撃をしない限り、その壁は貫けない」


「それじゃ、気の総量が多い相手に対しては、攻撃が全く通じないということですか?」


 朱飛が首を振る。

「鋭い弓矢が、なぜ壁に突き刺さるのかを考えるといい」


「尖っているから?」

「ああ、”気”を一点に集中することで、相手の防御壁を貫くことは十分に可能だ」


 そう言って朱飛は人差し指を立てた。

 そこに、”気”の青白い炎が揺らめく。


 次に中指を立てると、炎はがそちらへと移る。

「肝心なのは、適切な量の”気”を、できるだけスムーズに移動させることだ。達人になればなるほど、そのスピードが速くなる」


 ――スピード?


 わたしは不意に、和平飯店での食事の一件を思い出す。

 神業的なスピードで、変面を行っていたあのアバターのことを。


「もしかして、”気”って、モノに込めることもできるんですか?」


 ようやく気付いたのか――とばかりに、朱飛が頷く。


「ああ、それこそが循環の本質だからな」


 ――つまり、周囲から気を吸いあげ、それを周囲へとまた戻していくことだろうか。


「話を聞く限り、君のおじいちゃんはそうしていたはずだ。でなければ、5メートル超のアバターなど、操作しようがないはずだから」


 その時。

 まるで聞き耳でも立てていたようなタイミングで、道場のドアが開いた。


 ――あれは。


 1週間前ほど前に会ったばかりの人影が目に映る。


 (ウェイ)(ジィエン)(フォン)

 世界最大のアバター企業のCEOだ。


 夢華を巡る恋敵の登場に、アレクが顔をしかめる。


 そんなことないにも介しないように、建峰は得意げに言う。


「お約束のアバターをお持ちしました。お二人用に、完全カスタマイズを施したものを」


挿絵(By みてみん)

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