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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第19章:中国・過去と未来の交錯地【2030年1月6日】
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第266話:龍脈

挿絵(By みてみん)


「"Dragon(ドラゴン) Line(ライン)"、という言葉を知っているか?」

 朱飛が英語で、わたしとアレクに尋ねる。


 ドラゴンライン?

 アレクは肯いたけど、わたしにはさっぱり分からない。


「はっ、そんなのも知らないでここに来たのかよ?」

 志虎が憎まれ口を叩いてくる。


「日本語でいうと、龍脈ね」

 夢華が補足してくれる。


「風水的な考え方なんだけど、地球のエネルギーや気の流れが集中する特別な場所のこと。それを、龍脈―つまり龍の通り道―と、昔の人は名付けたの」


 わたしは、ふと過去の一シーンが脳裏をよぎった。

 かつて、三式島で突発的な地震が起きたとき、夏美さんが手を合わせ、何かに祈りを捧げていたことあった。


 ――誰にお祈りしているの?


 そうわたしが尋ねると、夏美さんは笑いながら答えてくれた。

「龍神様よ。地震が起こるのは、海底で龍神様が動いたからって、おばあちゃんから教えられてきたからね」


 そのときは、「へぇ」と受け流していた。

 でも思えば、あれもまた、龍を地球のエネルギーの象徴として捉える民間信仰だったのかもしれない。


 志虎が、まるで自分のことのように自慢気に胸を張る。

「この嵩山は、中国の五大聖山の中でも、最も中央に位置している。だからこそ、自然のエネルギーが集中してるってことさ」


「五大聖山ってなに?」

 志虎に聞くのはなんだか癪なので、サラに尋ねてみる。


「中国を象徴する五つの聖なる山で、風水的に龍脈で結ばれているとされているんだ。 東の泰山(たいざん)、西の華山(かざん)、南の衡山(こうざん)、北の恒山(こうざん)、そして、その中央に位置するのが、この少林寺のある嵩山(すうざん)ってわけ」


 ――正直仕組みはよく分からない。ただ、この広大な中国の龍脈の中心と言われると、今更ながら、なんだかすごい場所な気がしてきた。


「万物は、エネルギーを発している。太陽も、地球自体もまた」

 朱飛はそう言うと、暗闇に映し出されたままだった太陽系の3Dデータを指し、地球のそれを指で操作する。


 ぐんぐんと縮尺が縮まっていき、中国の地図が映し出されると、やがてそれはわたしたちのいる嵩山へとフォーカスされる。


「そして、自然に人間にも当然エネルギーが流れている。それを感じ、取り入れ、操ることができるかは、資質と修行次第だがね」


 朱飛はそう言って、わたしとアレクを見る。

「明日の朝、再びこの道場に来なさい。操気法の修行を始めよう」


挿絵(By みてみん)

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