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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第19章:中国・過去と未来の交錯地【2030年1月6日】
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第258話:龍門石窟

挿絵(By みてみん)


「少林寺って、どうして嵩山(すうざん)って場所(とこ)に作られたの?」

 飛行機の中で夢華に尋ねると、少し考えながらこう答えてくれた。


「洛陽に近かったっていうのが、最大の理由ね。洛陽(あそこ)は、あの頃の政治と文化の中心だったから」


 ――洛陽って地名は、世界史で聞き覚えがある。


 サラに尋ねてみると、瞬時に答えてくれた。

「洛陽は、中国の『十三朝古都』と呼ばれている。夏王朝に始まり、商、周、漢、魏、晋、隋、唐などの歴代王朝の都となった、中国随一の都市なんだ」


 唐と言えば、あの遣唐使の終着点として、『マンガ日本の歴史』にも出てきたから覚えている。


「当時は、日本だけじゃなくて、様々な国の人が集まっていたわ。今の日本や韓国だけじゃなくて、東南アジアやインド、ウズベキスタンから、さらにペルシャまで。シルクロードで遥々ね」


 今でいう国際都市の先駆けみたいなものなんだろう。


 アレクも会話に入ってくる。

「洛陽の近くに、確か、有名な石窟があったよね?確か、ドラゴンゲートかとかいう……」


「ああ、龍門石窟のことね。あそこには1400の石窟と、10万体の仏像があると言われているわ」


 ――じゅ、10万体?

 桁が違いすぎて、思わず聞き返してしまう。


「まあ、北魏から北宋まで、ざっと600年以上にわたって作られ続けていたからね」


「いやぁ、生きてたらアントニ・ガウディ―も見たがるだろうなぁ」

 目を輝かせながらアレクが言う。


 さすがにガウディ―なら知っている。

 百年以上経ってもまだ未完成の、聖家族教会(サグラダファミリア)をデザインした天才建築家だ。


 そんな彼でも、600年と聞いたらきっと驚くに違いない。


 夢華が、アレクをちらっと見て、軽く溜息を吐く。

「行ってみたいなら、素直(ストレート)に言いなさいよ。龍門石窟から少林寺は、50kmくらいの距離だから、途中で立ち寄ってもいいわよ?」


 ***********


 2030年1月7日 中国・河南省 龍門


 遠目からみた龍山石窟は、まるで巨大な蟻の巣のようだった。

 左右に伸びる石窟に、無数の空洞が穿たれ、黒点を描いている。


 けれど、そこに向けて歩を進めれば進めるほど、そのスケールを実感する。

 黒点にみえた洞穴は、腕が何とか入るくらいのものから、高さ30メートルにのぼるものまで、様々だ。


「ここに、十万体もの像が収められているんだね」


 ――それにしても、それだけの数の像を、どうやって彫り分けているんだろう。

 同じ像を、何パターンも作っているんだろうか?


 素朴な疑問に、夢華が答えてくれる。

「仏様や神様だけでも、如来、菩薩、天部などの種類があるの。仏像(それ)以外にも、獅子や象なんかの動物も彫られているわ」


挿絵(By みてみん)

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