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火と氷の未来で、君と世界を救うということ  作者: 星見航
第18章:モロッコ・赤と青の世界【2030年1月3日】
240/252

第240話:神の玉座は水の上に

挿絵(By みてみん)


 2030年1月5日 モロッコ・カサブランカ


「وَكَانَ عَرْشُهُ عَلَى الْمَاءِ」

 モロッコ人の運転手が前方を指差し、なにやら話しかけてくる。


 さっぱり聞き取れず、顔を見合わせるわたしとミゲーラに、前の座席の星が解説してくれる。


「『神の玉座は水の上にあった』っていう、コーランの一説だよ。あれは、その一節に着想を得て建てられたと言われているんだ」


 前方に視線を移すと、目に飛び込んできたのは、巨大すぎる建造物(モスク)だった。

 まだ相当距離があるにも関わらず、その威容がまざまざと伝わってくる。


 ――『神の玉座』というのはモスクを意味するとしても、『水の上』っていうのは……?

 ようやく車がそこに辿り着くと、そんな疑問は氷塊した。


 その巨大なモスクは、海上の人工島の上に鎮座していたのだ。


「ここがモロッコ最大のモスク、通称”ハッサン2世モスク”だよ。礼拝堂だけで25000人、広場を合わせれば10万人を収容できるといわれているんだ」


 ――10万人って、一つの小さな市の人口くらいなんじゃ……。


 わたしたちは、白大理石が敷き詰められた広大な中庭に足を踏み入れる。

 白大理石のゼリージュタイルに夕陽が反射し、キラキラとした光を放っている。


「このタイルのパターンって、マラケシュのバイア宮殿に似ているね」

 ミゲーラの言葉に、星が頷く。


「ゼリージュタイルっていって、モロッコの伝統建築なんだ。格子模様だけじゃなくて、花や星なんかあって、それを組み合わせることで、優美な幾何学文様を生み出すんだ」


 星に連れられ、これまた巨大な礼拝堂への扉をくぐる。


 思わず溜息が漏れた。


 無数の大理石柱が天を支え、シャンデリアのクリスタルが光を乱反射させている様は、まるで星々が降り注いでいるかのようだった。


床の一部はガラス製で、その下に大西洋の青が揺らめいている。

『神の玉座は水の上にある』という言葉が、体に沁みこんできた気がした。


 わたしは静かに目を閉じ、その感覚に身を委ねた。


挿絵(By みてみん)

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