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天使の生まれだけど下界で生活することになりました  作者: 叶音ゆい
第一章 下界へ堕ちてきました
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第七節 邂逅、獣人と人間そして

作品要素に異能力バトルと入れていたのですが、その手前段階ですよ


 下界に堕ち、獣人の里に来てから1年くらいが経ってようやく長老が帰還するという情報が入ったので挨拶に行くことになったのだが。

「人間国から宣戦布告だって?」

 驚きを隠せないのはボクだけじゃないようだ。

「一体俺たちが何したってんだ?え?」

 ミドリ兄さんがカンカンに怒っている。

「宣戦布告にしても此処って結界張ってあるじゃない?ボクは何でか入れたけど」

「私が覚えている限りここ数百年という単位で人間国はどことも戦争をしていないわ。それがいったいどうして......」

 大人たちがみんな黙りこくって考えている。事態はボクが思っているよりも深刻らしい。でもボクには戦えるだけの力はない。

「安心せい。人間どもはお主らに指一本触れさせんわい」

 その声はとても深く渋かった。声の主は大老の狐。2000歳は優に超えるという盲目の剣豪で本当の名前は誰も知らないという。

「長老!ようやくお帰りですか」

「うむ、今しがた。ところでそちらの天界出身のお二方は味方かね?」

 ドキッとした。何も見えないはずの彼の目がまっすぐボクとヒカリさんに向けられている。まるで何かを見透かすようにその目は透き通っていたが、次に確認したときに彼は目を閉じていた。

「へぇ、妖術で全盲をカバーしてるんだ~」

「ふぉっふぉ、さてはお主かなり腕っぷしじゃな?」

「はい!ボクはヒカリ・エルトライト、大天使だよ!」

「ちょっとヒカリさん!?長老に対してそんな言葉遣い失礼よ!」

 あー、またサラお姉ちゃんとヒカリさんの喧嘩が始まった。ミドリ兄さんが「はいはい喧嘩するならあっちでよろしく」と森の中へお姉さん2人を連れて行った。

「えっと、ボクはユイです。あの人たちは出会ってからずっとこの調子なのでどうか気にしないでください......」

「ミドリがいつも生意気だからあまり気にしておらんよ。天使様が二人も()るとは頼もしいな」

 普通頼られると嬉しいのだろう。ただ僕には頼られるだけの力はない。

「お主、神力(しんりょく)を持ってないのぅ?」

 バレている。天界では皆が等しく持っているはずの神力。その量に差はあれどボクのように全く持たない者は天界ではお荷物、出来損ないだとか劣等生だとか言われて嫌われるだけの存在。幸か不幸か、ニョタイカダケの効能か弱い魔法が少し使える程度だ。

「あなたも、ボクのことを役立たずって思うんですか?」

「ほう?それは面白い質問じゃな?答えは(いな)じゃよ。ユイ。お主には数千年に一度の力が宿っておるからの」

「数千年に一度の力......?」

 そんなものは聞いたことがないしボクにそんな力があるとは思えない。どんな力か分からないがソレがあったら天界から追放されることもなかったはずだもん。

「長老さん、それをユイちゃんに話すにはまだ早いよ」

 ヒカリさんが急いで帰ってきて言った。

「まだ、その時じゃないの!」

「ヒカリさん?どういうこと?」

 なんで?どうして?ヒカリさんがボクの知らないボクを知っている?

「長老っ!人間......たちがっ......!」

 偵察から戻ってきたアオイ兄さんは髪とどっちが青いのか分からないほど真っ青な顔ボクたちの目の前で倒れた。とてつもなく息切れしてる。

「アオイ(にい)!?あんたまた無茶に走っただろ?」

「ミドリ、アオイを療養所に連れて行ってはくれぬか?」

「俺は戦う方が」

「ミドリ?」

 呼ばれたわけではないボクまでもが背中の凍り付くような圧のある声だ。この里の住民が長老には頭が上がらないと言っていたのを聞いたことがあるが、なるほどこれはなかなか逆らおうとは思えない。

「チッ、分かったよ」

 ミドリ兄さんだって従う程の圧だ。

「あやつが戦うと被害が拡大するんじゃよ」

 長老がコッソリ耳打ちしてくれた。

 アオイ兄さんにも少し聞いたことがある。なんでも爆弾魔だとか。この前人間の国に行った時にも火薬を盗ってきたという噂まで流れているほどに。

 程なくして里の空気が変わった。風が強くなり純度の低い魔力が感じ取れた。

「里の結界を破りおったか、人間(やつら)

「これが人間の魔法力...」

「人間の魔力なんぞ儂からしたら雀の涙じゃよ」

「ボクも手伝うよ!人間達と一緒に僅かな神力を感じるの」

 それってつまり天界出身が一緒に進軍してきてるってことだよね?

「ほっほっほ、まこと面白い連中じゃのう?油揚げを断ったのがよほど気にくわなかったようじゃな」

「え?」とボク。

「そんなことで?」とヒカリさん。

「最近油揚げは味が濃くってのぉ、温かいお茶の方が好みなんじゃがそう告げたらカンカンでな?『獣人風情が俺たちに要求するな』と宣戦布告してきたというわけじゃよ」

「はぁ、あのニンゲン達も懲りないのね」

 サラお姉ちゃんが戻ってきていた。ミドリ兄さんやヒカリさんと比べて大分遅いけど何していたんだ?

「騒ぎを聞いて高い木から見てきたの。森の方向から天使が3人、平原方向からニンゲンが500人」

 いつの間にそんなことを......

「長老、どうしますか?先頭の部隊は間もなく森へと侵入してきますが」

「儂がどうにかしよう」

 えいっ!っと歩行杖(木刀が仕込まているらしい)を地面に突き付けた。

 どがああんっ!というすさまじい爆発音に次いで人間たちの悲鳴も聞こえてきた。

「かっかっか!愉快愉快じゃ!」

「さすがです長老!私は前線に向かいます。ヒカリさん、ユイちゃんを頼んでいいかしら?」

「言われなくても!ボクの愛で守るよ!」

 発言の内容だけ切り取ればいい感じなのだが、言い方や目線表情まで取るとやっぱりこの2人のやり取りには裏の意味がありそうだ。大喧嘩に発展しないことを願うしかない。

 突然ヒカリさんとは別の神力を近くに感じた。そしてボクの中の全細胞が恐怖と憎悪で溢れかえった。

「「「死ね!ジョセニア!!!」」」

 ぴったり重なった3人分のその声などとても耳に入らなかった。

 ぐいっと腕を引かれ、真っ黒な翼に包まれた。

「【障壁】、【転移】」

 冷静で、且つ、怒りに満ち溢れたヒカリさんの声はしっかりと聞こえた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

次回は戦争回になるか、それとも人間達と天使族が手を組むところの話を書くか

悩みますねぇ


~ひとくちプチ情報~

現状1話につき2000と数百文字ですが、これは半日で書いています

途中で止めたらわからなくなっちゃいそうで

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