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天使の生まれだけど下界で生活することになりました  作者: 叶音ゆい
第一章 下界へ堕ちてきました
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第一節 あなたは人間?

「うぅ......ん?」

 目が覚めた。知らない天井......ではなく、何やら大きな葉の下らしい。

「あっ! ようやく目が覚めたみたいね」

 知らないお姉さんがいる。

 きのこ食べてる。「食べる?」みたいな感じで差し出されたが断っておいた。どう見ても生なんだもん。

「君、空から落ちてきてびっくりしたよ。3日も起きなかったし」

「空から…うっ、何も思い出せない.......」

 そう呟いて頭を抱える。

「そりゃまぁ、君、頭から落ちたからね」

 空を見る。眩しい。

 一体どれだけの高さから落ちたのだろう。

 この翼も、そばにいる知らないお姉さんのことも、やっぱり何もわからない。

 唯一、自分が“人間”ではないことだけが確かだ。だって翼あるんだもん。

「あなたは......一体......誰なんですか?人間ですか?」

「あら、自己紹介がまだだったわね。私はツァラ。全く発音しにくい名前よね。だからサラでいいわ。お姉さんって呼んでくれても良いのよ」

 いたずらっぽくふふっとお姉さんは笑った。

 なるほど、このお姉さんはサラさんというのか。

「人間かどうかについては難しいわね......もう長い事魔法使いをしているの。医療魔法が得意よ。君は?見たところ人間ではないみたいだけど」

 ということはボクの身体を治療してくれたのってこのお姉さんなのかな。

「ボクは......」

 ガサガサ......

 すぐ付近からの物音に慌てて身体を起こした。お姉さんはその音には気づいていないようだ。

 クラクラする。急に身体を起こしたのが良くなかったみたいだ。頭を抱え深くため息をついた。

「無理に思い出そうとしなくていいよ。まだ少し混乱しているでしょうし。流石に私でも記憶修繕の魔法は使えないし......」

 あぁ、そうだ。記憶。少しずつ思い出してきたかもしれない。…思い出さないほうが良さそうな記憶まで。

「ねぇ......」

「うん? なぁに?」

「思い出してきたかも….....」

「あら! でもその前にご飯にしましょ! ちょうどお昼時なの」

 たしかにお腹すいてるかも。と思ったがこのお姉さんいわく3日は眠っていたようだ。そりゃお腹も空いてて当然なわけだ。

 お姉さんお手製のきのこ料理を食べながらボクは断片的に思い出した記憶を話すことにした。


 ボクはとある天使の一族に生まれた。名前はユイ・ラハシュ・マスティマ。

 家族は名前も顔もよく覚えていない。あんまり好かれていなかったんだと思う。まるで塗りつぶされた本のように、詳細な情報ばかりが思い出せない。

「――! お前のせいで......!」

 ものすごい剣幕で怒鳴る男がいる。おそらく父親だろう。名前を呼んだであろう声は何故か聞こえなかった。

 どうしてこの男は怒っているのか皆目見当もつかない。

「せめてその身体は治してやったが、あんなことをされては俺はもう......」

 にじり寄ってきたその男は息を荒げながら踵を返した。

 奥で泣いている女性が二人。母と姉かな。「赦さない」とでも言いたげな目を時折こちらに向けてくる。

「お前は大罪人だ。最高審判としてこの僕が許さない。君を下界追放の刑としよう」

 そこから少し記憶の断絶がある。

 背の高いお姉さんの前で泣いているボクがいた。

「ユイちゃん......大丈夫よ、何かあったらボクが守るからね。......それが愛よ」

 優しく抱擁してくれるこのお姉さんは一体。

「少しだけ待っててね。助けに行くから......」

 ポンっと頭を撫でてくれたあとそのお姉さんは翼を広げてどこかへ飛んで行ってしまった。3対ある。大天使一族の特徴だ。

「いたぞ!あの折翼者(しゃくよくしゃ)を逃すな!」

 折翼者。天界では下界への追放の罪として翼を折るという罰も与えられる。

 残念ながら追手の数が多すぎてとても逃げるのは不可能だ。

「フンッ! ついに逃げる気も失せたか!」

「執行人。やつにアレが発現する前に。」

「わかりました。弟よ、せめてすべて忘れさせてやろう......」

 執行人と呼ばれたソレはもう一人の兄だろうか。

 頭に手をかざされた瞬間、だんだんと意識が遠く、深く......。

「......堕ちろ」

 それが聞こえた瞬間ボクの足元の地面が消えた。


「......今思い出せるのはこのくらいです」

 静かに話し終えるとお姉さんに抱き着かれた。

 すっかり夜だった。

 焚火のパチパチという音だけが少しの間流れた。

「辛かったね......よしよし。君は大事なものを失ったんだね。まだこんなに小さな子供なのに」

 小さくはない! 7歳だもん!

「だいじょうぶ。今日からは私があなたの家族よ」

「......サラお姉ちゃん」

「そうよ。私がお姉ちゃん。安心してこのまま眠っていいわよ」

 一定のリズムで背中をトントンされる。

 その心地良さにボクはすぐに深い眠りへと落ちた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

主人公の名前はユイちゃんです

私の名前はゆいです


~ひとくちプチ情報~

ラハシュもマスティマも堕天使の名前です

興味あったら調べてみてね

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