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Novitus

作者: Cadav

自分が今見ている世界が正常であると証明出来る人は誰もいない。


Novitus(ノビツ)


それは人間の世界に存在してはならない、奇妙な物体、物質の事である。

Novitusは人間に大きな損害を与えるとされており、破壊しなければ、世界が滅びると言われている。

それを破壊する為に、私達、IO(アイオー)が存在する。

IOとは I[nteritus] O[rganization] の略称で、直訳すると破壊組織だ。

なかなかに名前のセンスがないのだが、チームメイトに気に入っている変わった奴もいる。


IOにも階級があり、下から、[im(アイム)] [ad(アド)] [pro(プロ)] [cadav(カダーヴ)]の4種だ。

実績を重ねると、階級が上がり、作戦を失敗したりすると、下がったりもする。


さぁ組織の話も終わったことだし、次はもっと詳しくNovitusを解説しよう。

Novitusは様々な形を持っており、それぞれの個体番号はアルファベット順につけらている。

現在A〜AAAAAの少なくても、130種が確認されている。

そして、個体番号に小文字が使われているものは、未破壊ということを、表している。

反対に、大文字のみの個体番号を所持しているNovitusは、破壊済み、もしくは無力済みを表す。

例えば、個体番号 AAE は、小さなヘビだ。

全長15cmの白色の綺麗なヘビで、毒素が強く、噛まれると、めまい、頭痛、吐き気などを引き起こす危険なヘビだ。だが、破壊方法を簡単で、ただ踏み潰すだけだ。

靴底に、1週間消えない程の死臭が染み付いたのはかなり不快だったが。


今日は、私がcadavまで上り詰めた話をしよう。

最後まで話を聞いてくれ。



私が、cadavに昇進するきっかけになったのは、IOに入って15年後、37歳の時だった。

20XX年 8/7 渡米していた時、私が散歩をしていると、ある穴を見つけたんだ。

深さ2m程の穴。不思議な穴の様に見え、覗いていると、穴から声が聞こえたんだ。


「あなた!IOの方ですよね」


驚いて、さらに穴を覗く。だが、誰もいない。空耳だったのだろうか。


「私です!穴の中にいる私です!」


だが、空耳ではなかった。

穴の中には何も存在しないのに声が聞こえている恐怖に、こいつはNovitusなのかと疑問を抱いた。


「姿を見せてくれ。お前はNovitusなのか?」


「はい!私はNovitusです。AAAAZです」


「っな!?」


現在確認されているのはAAAAYまでのはず ....

Novitusにはホラ吹きもいる。念の為、本社にアメリカで2mのしゃべる穴の前例はあるか尋ねてみたが、全くその例はないようだ。アメリカのみならずで検索しても、そんな前例は全くないらしい。


「あなた達人類はNovitusを殺そうとしてるんでしょ?」


「当たり前だ。お前も時期に殺すからな」


「oh!no!そんな物騒な!私はあなたにいい情報を教えようと思ったところなのに」


焦った詐欺師のように、誘惑をこちらになげかけた。


「いい情報?」


「はい。この世界に現在存在しているNovitusは...3種類です」


3種類...!?2種類は心当たりがある。

1つ目は個体識別番号 A 100mを超える大きな老龍だ。

こいつは特殊な製造方法をした鍵がないと殺せない厄介なやつだった。

そして2つ目、それは自称AAAAZのこいつ、喋る穴だ。

それにしても3種類目は...?全く心当たりがないぞ。


「そして3種類のうちの一人。Aが存在するでしょう?」


「あぁ。現在の状況ではどうしようもないあいつだな」


「そいつの居場所と、鍵の製造方法を教えてあげます」


私はその穴にクギ付けになった。


「本当か!?ぜひ教えてくれ!」


「いいでしょう。まずAの現在位置は北太平洋です。中心あたりにいますよ。そして鍵の製造方法なのですが、10万人の心臓を個体識別番号AAeの死骸に捧げてください。そうすると鍵が手に入ります」


少し疑わしかった。本社にAの現在位置を調査するように依頼をした。

30分ほどで返信が来た。

よく分からない英語と共に添付された写真には、剛鉄のような鱗を持った巨大龍が海に沈んでいる様子を示した写真だった。

そしてこいつの情報は真実だと気づいた私は、鍵の製造方法も伝えた。

すると、本社はGoodと返信した後、何も反応しなくなった。



錆びた金を集めた様な鍵が生まれたのはAAAAYを発見した1週間後の話だった。

鍵が製造されたことにより、個体識別番号Aの破壊作戦が頻繁に立てられるようになった。

Aの破壊作戦が決まった日はさらに1週間後だった。

20XX 8/21 天空船と戦闘機、億の海兵で、北太平洋に向かった。

万年ぶりに目を覚ましたAは世界が割れるほどの雄叫びを上げた。

天空船に乗っていた私はその光景を、神話のようだと感じた。

そしてその龍は重い腰をあげると、4足歩行で地面を踏んだ。


「打て!!!」


その合図でAに銃弾が浴びせられていく。

だが、Aはそんな攻撃を痛がる様子もなく、Aの黒いからだに、赤い斑点が浮かび上がった。

全員が危機を感じた時にはもう遅く、Aは溶岩に似た粘性の液体を激しく吹いた

これにより、8つの天空船と300万以上の海兵が即死した。

本社の判断は、"攻撃してAを殺す"から"鍵をさして封印する"に方針を変えた。


そして天空船は龍の上へ進んだ。

その時、時空が歪むような感覚と共に、激しい頭痛が襲い、天空船が真っ二つに裂け、周りの水が一瞬で蒸発した。

私は、為す術もなく、砂利の上に落ちた。

私は、喉の以上な乾きに、死を覚悟した。

その時、目に映ったのはあの鍵だった。

私はまだ死ねない。


私は鍵を掴むと、まだ残っている戦闘機へ来るよう申請した。

戦闘機は30秒で到着し、私はその上に乗った。

そして、戦闘機を龍の鍵穴まで行かせた。

背中にある鍵穴にこいつをさせばいいだけだ。

そして、決死の覚悟で、戦闘機ごと龍の体に衝突させた。

背中にある鍵穴をみつけ、私はそれに向かって走り出す。

その時、また体に斑点が浮かんできた。

温度が上がるのを直に感じながら、私は鍵穴まで走った。

そして、溶岩を吹き出そうとした時、鍵穴を掴んだ。

鍵をさし、それを回した。


龍はまた雄叫びをあげると、体を崩した。

このままだと私も死んじまう!

そう思った時、天空船が私の近くまで来た。

私は飛び乗るようにして乗ると、龍は体制を崩して封印された。

こうしてAはaとなり、Novitusは残り2種類となった。



あれから2ヶ月後。

また渡米し、私はまた穴に行った。


「よお」


「こんにちは、cadavのIOさん。どうされましたか」


「残りのNovitusについて教えてくれ」


「そんなことですか...」


そういうと、穴は、ある物を渡してくれた。

個体識別番号AAAAAのいる場所を記した紙を渡してくれた。


「...!?」


それを見た私は目を疑った。

なんと世界中、埋め尽くすように存在しているからだ。


「おい!どういうことだ」


「まだお気づきでないのですか...何故あなたたちは殺人を罰するのですか?」


「...は?」


「"人"を殺すことはそんなに行けないことですか?"人"はこの地球に必要ですか?」


「さっきから何を言ってるんだ」


訳が分からず、質問する。


「個体識別番号AAAAAは..."人間"です。殺人を起こさないのがまともじゃないんです、"仲間だから殺したくない"のが本当の考えです。殺人をする人達はまともな人です。何故なら自分達がNovitusだと気づき、人間を殺すべきだと判断したからです。自殺願望者もそうです。最近の人達は『死にたい』が口癖の人が多いです。それは何故か、ネットが発達したからです。インターネットで悪い情報を流せるようになり、批判できるようになったからこそ、現実、人間の本性を知ってしまえるのです。」

「あ...ぁ..」

「今まで正義ぶっていた気分はどうですか?貴方がしていたことは...ただのNovitus同士の殺し合いです。Novitusじゃないなんて誰が証明できるんですか?人間が異常じゃないことを誰が証明できるんですか」

そして、AAAAzは最期にこう言った。

「伝えたい事を伝えれて良かったです。AAAAAが滅びるも滅びないもAAAAA次第です。」

そして、AAAAzは消滅する寸前に、姿を見せた。

その姿はアメリカで100人以上を殺した、連続殺人犯の美しい顔だった。









自分が今見ている世界が正常であると証明出来る人は誰もいない。

なぜなら、人間の本質をまだ、誰も知らないからである。

それを知ってしまった私は、Novitusが存在しない偽りの世界で生きていくしかないのだ。

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