これが『日本』か…
安倍元首相が殺害された事件から、自民党と統一教会の癒着の問題が取り沙汰されています。その報道をずっと見ていました。
それを見ているうちに「これが日本だったのか…」と改めて思いました。散々、言われてきた事であり、自分も書いてきた事ではありますが、ここまで腐っていたんだと、変に感心しました。
以前、東京オリンピックの開会式について書いた文章があります。それは「この開会式が今の日本を表している」という内容でしたが、あれはほんとにほんとだったんだ、と思いました。あれが全てだった。なんのかんのと、私も未だ自分の幻想を払底できておらず(そうは言っても、日本社会とか、日本の権威とかはそれなりに価値があるんじゃないのか?)と思っていた節があります。しかし、その最後の幻想ももう捨て去らなければならない時が来ました。
これが日本なんだな、と思います。政治家は選挙に勝つ為なら何でもする。その結果が、統一教会との癒着でしょうし、タレント議員の擁立だったりするのでしょう。政治家だけが問題ではありません。アーティストは売れさえすれば何でもいい。企業家は儲かりさえすれば何でもいい。倫理もビジョンもなく、短期的な結果だけを求めた今の日本は、全てがハリボテです。
少し前に、ユーチューバーの「はじめしゃちょー」が豪邸を建てたというニュースを見ました。このニュースを歴史家の目で見ると、いかにこの頃の日本人が阿呆だったかのいい証明になると思います。いかにこの頃の日本人が馬鹿だったのか。色々な事が証明をしてくれるでしょう。
ですが、こう言うとどういう反論が来るのか、もう目にみえています。彼らの言う事はいつも同じです。「お前ははじめしゃちょーに嫉妬しているんだろう」「悔しかったら結果を出してみろ」 彼らはこう言います。そうして、この論理に屈する事は、今の日本の低劣化に自分も加わるという事を意味します。それ以外の意味はありません。
低レベルなものを好む人に、低レベルなものを供給すれば成功者になれるかもしれません。しかし、それは社会の低劣化に一役買っているのです。だから、時代の流れに沿う事によって我々は静かに滅亡に向かっていく。時代の流れに逆らって滅亡に向かうのではありません。
今の世の中で「大人なら本を読んだ方がいい」なんて言えば笑われてしまう。全ては「みんな違ってみんないい」なので、ゲームもアニメも、小説も、映画もフラットです。「小説も映画も所詮、娯楽だろ」と言う人が沢山います。ちゃんとした本を読んだ方がいい、と言えば「そうやって差別するのは良くない」と言われます。今はこのフラットな人達の天下です。
今の世の中はくだらない情報が溢れかえっているので、ちゃんとした本を読まないと馬鹿になる一方だ、と私は思います。テレビをつけると、どうでもいいコメンテーターが溢れかえっています。彼らの姿は、我々自身の姿を映し出しているかのようです。
彼らは「インテリ枠」でテレビやネットに出てきます。高学歴ですが、トンチンカンな事をずっと言っています。教養がないのが話の内容から察されますが、教養とか内実とか、面倒な話はみんな嫌いなので、それでいいのです。
彼らが、既存の集団との関わりを通じて出てくる事もよくあります。自民党と統一教会の繋がりもそうですが、今の日本は落ちぶれているので、力のある集団や企業にすり寄らないと、自分の立場を作れないのだと思います。立場ができたらできたで、今までの関わりが絡まってきて、自由な発言はできません。
彼らは立場を維持する為に、出自の党派や、仕事をくれる人々に忖度します。一方では、大衆の人気も得ないといけないので、キャラクター性やセレブアピールなどで人々の歓心を買おうとする。
ここまで落ちきってしまえば、アマチュアの方が自由に発言できたり、表現できたりするのでかえって自由でいいかもしれません。そういう考えが出てきてもおかしくないと思います。賢いはずの大学教授が、メディアの依頼に応じてろくに調べもせず、考えもせず、掘り下げる事もない意見を出すのは日常茶飯事です。もう全てがあべこべです。