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第二十話「武力王、我と在り」5/4

 =根須 あきらのお話=


 気が付いたのは、自宅のベッドの上。

 頭には濡れタオルが乗っている。

 傍で、お父さんが床に座ってぼんやりとしていた。


 僕はお父さんに問いかける。


「何があったのか、説明できる?」


「ああ、あきら。良かった、目を覚ましたんだね。学校から連絡があって、あきらが倒れていたというんだよ。それですぐに迎えに行って、ここに寝かせた。夕ご飯を、温めるかい?」


 システマティックなお父さんの回答で、とりあえずの状況は理解できた。

 にしても、学校に出たお父さんは不審がられるような行動はとらなかっただろうか。

 ある程度なら非常事態にも対応できるようにはしてあるけど、所詮は子供の工作みたいなものなのだから。


 にしても、どういうことだろう。

 流石にあれだけ暴れた後に不審な意識不明になった子供が見つかったとなれば、軍も怪しがるはず。

 央介が上手くごまかしてくれた、と考えるのが妥当かな。


 意識を集中して、央介に呼びかけようとするけど、上手くテレパシーを伸ばすことができない。

 ぼんやりするし、目も回る。

 これはアイアンスピナーが直撃したダメージだろうか、それとも全力でPSIエネルギーを駆使したからだろうか。


「あきら、熱があるのだから、まだ寝ていなさい。ご飯は運んでくるから」


 そういって、お父さんは僕の額を濡れタオル越しに撫でた。

 何かと頭を撫でるようにしてしまったのは自分だけれど、もう半年もすれば小学生も終わる。

 でも、もう修正するのはやるべくやりたくない。


「しっかり休んで、熱が下がったら一緒に遊ぼうね」


 ……あれ、何時だったか、お父さんにこんなこと言われたことあったな。

 考えるうちに、布団の中で肩に固いものが触れた。


 見ると、そこには見慣れたロボット玩具が添い寝していた。


 思考が、上手くまとまらない。

 熱のせいだろうか、混乱のせいだろうか。

 お父さんは、こんな行動するようにしてあったのか、思い出せない。


 お父さんの心を無理矢理組み替えてしまった時に、それでも残っていた部分なのか。

 それとも――。


 駄目だ、眠い。

 きっと脳の負担が大きすぎたんだ。

 簡単な事象だけが、頭の中で巡る。


 傍にあるのはブリキオー。

 父親が買ってくれた大切な玩具。


 傍にいるのはお父さん。

 大事な、大事な僕のお父さん。


 See you next episode!!

 世界最強の軍隊、米軍では独自に巨人の研究がおこなわれていた!

 そして、央介達はその成果物との模擬戦へと身を投じる事となる。

 次回『合衆国陸軍巨人機械化歩兵実験小隊』

 君達も夢を信じて、Dream drive!!


 ##機密ファイル##

 レポート:特異PSI現象『ネガティブPSIエフェクト』

 PSI現象の内で、PSIエネルギーが引き起こすPSIエネルギーの干渉を打ち消すPSI能力。

 この能力を簡単に表現するならば『超能力無効化超能力』。


 文面上では、危険な超能力を無力化できる有用な能力のように感じられる。

 だが、実態は少し違い、一定範囲内で自他に発生するPSI現象を常時無差別に停止させてしまうもの。


 この能力をもつ者は、自身の身体保護強化として微細に働いているPSIすら阻害してしまう。

 そのため、ある程度の慢性的体調不良とそれからくる精神的コンプレックスや、自分には決して加担しない“神秘”嫌悪症を抱え、対人嫌悪や暴力衝動が抑えられない人格になりやすい。

 一方で、無効化能力者は制御のきかないサイオニックの力、例としてはESPの感知過剰なども止めるため、能力に振り回される能力者にとっては不可思議な安穏や魅力を感じる人物となってしまうことがある。


 ここで問題となるのが、無効化能力者もサイオニックの一種であること。

 つまり無効化能力者というサイオニックと、無効化能力に引きつけられたサイオニックが配偶者となることで、高い確率で子にもPSI形質が遺伝し、更に両親の二種のPSI形質を併せ持った子となれば親以上に強力なサイオニックとして覚醒してしまう。


 この場合において、親のネガティブPSIを跳ね退ける出力のPSIエネルギーを持ってしまった子は、サイオニックとしての指導者を持てないばかりか、神秘嫌悪症を持つ親にとって完全な異常存在となり、しばしば家庭内暴力の対象となってしまう。


 先日、PSIエネルギーを検出・制御する手段が国内で完成したという。

 それを用いることで、ネガティブPSI能力者を特定できれば、当事者自身の体質改善や家庭問題を未然に防ぐことへの光明となるのかもしれない。

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