第一話「ハガネのココロ」2/2
=珠川 紅利のお話=
椅子ごと私を抱えた悪人二人が廃工場の外に飛び出ると、そこに大きなトレーラーが駆け付けた。
けたたましく急ブレーキの音を立てて停まると、運転席のドアが開く。
でも、そこには誰も乗っていない。
自動運転の車なら珍しくもない動作。
けれど、こんな乱暴な動きをするものは見たこともなかった。
「呼んでてよかったダイダラボッチぃ~!」
歓喜の声をあげ、開いたドアから運転席を飛び越え、助手席に乗り込んだ小柄。
のっぽは後部座席のドアを開いて、そこに私を慎重に置いてから、運転席に座る。
「逃げるぞォ!!」
小柄の掛け声と同時にトレーラーのモーターが響きを上げ、強烈な加速と振動が体にかかった。
パパ、ママ、心配ばかりかけてごめんなさい。
足を失った日とどちらがひどいだろう。
椅子ごと転がされた私からはよく見えないけれど、助手席の方から何か機械操作の音が聞こえる。
「イぃーンビジブル・シェード! 追跡はできなぁい!! ふひっひっひ!」
小柄の邪な笑い声もする。
何か悪いことが起こっているのかもしれない。
「な、何したんだ長手!?」
「今、我々が乗ったこのダイダラボッチは! 透明化する膜に覆われている! 人間の目だろうが、軍のレーダーだろうが捉えられねぇんだよ!」
「ひょぉ! すげえな! 流石ギガントさまの科学力!」
ギガントさま……何の名前なのか、見当もつかない。
怪獣とか、怪物とか、そういうのだったかな。
「ああ! ……いいから事故るなよ!? ほかの車こっち見えてねぇんだから!」
「そんなん安心しろ、俺のドライビングテクだ! 何より周りの車そもそも動いてねえからな!」
悪人二人は高笑いしだす。
「……あん? 周りの車が動いてないってどういうことだ?」
すぐに、小柄が呟いた。
それは周囲に起こっている事への違和感だったのかもしれない。
「邪魔になりゃ蹴飛ばしながら走りゃいいだろ!? このダイダラにゃ……。」
のっぽの乱暴な提案は、小柄の悲鳴で遮られた。
「あーっ!! 非常警戒でこの辺の車に緊急停止かけやがったんだ! まずい! 走行音でばれるゥ!?」
その瞬間、窓の外を幾本かの黒い筋が奔った。
車体に強い振動と、減速がかかる。
「なん!? なんの!? なにがぁ!?」
小柄の悲鳴じみた質問に答えたのは、のっぽ。
「鎖ぃ!! 鎖だ!! 絡みついてるぅ!!」
窓の外には黒い、鉄の鎖。
それがトレーラー全体を縛り上げていた。
――その鎖の表面に、人の目が見えた、ような。
何かの、錯覚?
「……へっ。へへっ! こんなもんなぁ! カウンター・レーザー!」
小柄の声。
動じながらも、次の悪い行動を始めたみたいだった。
途端に強烈な閃光の帯が、窓の外を真っ白に変える。
「金属なんざ焼き切っちまえば……、うん?」
車の窓には鎖が横切ったまま。
小柄がとった対策は、鉄の鎖には何の影響もなかったみたい。
「え? え? あら? あれ?」
悪人らが策を失ったその時、巨大な影が車の横の窓を覆った。
車体を衝撃が包む。
続いて、金属が強引に破壊されていくひどい音。
思わず怯えて目を閉じた私の肌に風が当たる。
次に目を開けると、後部座席のドアがまるごと千切り開かれていた。
それを行ったのは、巨大な、手。
その手は、千切り取ったドアを投げ捨て、今度はドアの無くなった開口部に食いつく。
だけど、巨大すぎる手は、車の中に入るには少々大きすぎた。
「ひっ、ひえっ、ひっ、人質をっ……」
前の座席でひっくり返っていた小柄が正気を取り戻しつつあった。
このままじゃ、また捕まって――。
「助けて!」
私は叫んだ。
さっき言えなかった言葉を。
「……もう、大丈夫だよ」
巨大な手の向こうから、声が聞こえた。
あれ? この声は……。
途端に、その手のひらの表面から人間の手が生える。
――機械らしいものが何もないところから。
その現象に驚く私をよそに、生えてきた手は、私を縛る縄を掴んで巨大な手のひらのほうに引き寄せる。
そのまま私は悪人たちのトレーラーから引き抜かれた。
夕日が眩しい。
明るさに目が慣れて、巨大な手の上に転がったまま見えたものは、最初正直なんだかよくわからなかった。
陽に照らされた金属色の大きな塊。
輪郭を目で追うと、私を乗せている手が伸びる肩があって、それが大きな大きな上半身だとわかる。
じゃあ、少し見上げたところにあるのは頭。
鉄の兜に包まれた頭。
その兜の中には顔は無くて、代わりに光の塊が見えた。
そこでやっと全体像が理解できた。
今、私は鋼鉄の巨人の手のひらの上にいるのだ。
「珠川さん、ケガはしてない? 大丈夫?」
巨人から声が聞こえる。
この声は、どっちかはわからないが、さっきの双子のものだ。
「え、ええ。どこも、だいじょうぶ、みたい」
状況を飲み込めない私に、優しい声が続く。
多分、央介くんの声だろうか。
「よかった、今から縄を切るから、じっとしていてね。」
その言葉を合図に、さっきから縄を掴んでいた手の片方が動いて、その手の中で縄が切断される。
縛り付けられていた椅子の圧迫感が消え、私は思わず息を漏らした。
――でも、どういう仕組みなのだろう。
「オッケーだ、ちゃんと持ってないと彼女落ちちゃうぜ。……いや――」
声の調子が違う。
これは、佐介くんの方、かな。
「――それどころじゃ、なさそうだなぁ?」
何か大きな機械の作動音が聞こえる。
私は体をよじって姿勢を変え、音の方をうかがった。
私が体を動かした時に、義足が巨大な手のひらの表面を引っ掻く。
でも、それは硬質なものに当たった時の感覚とは違っていた。
――この大きな手、見た目は金属なのに、まるで人の肌の上にいるような柔らかさや温かみがある。
鋼鉄の巨人の体から感じた不思議さ。
けれど、それについて考える前に、視界に飛び込んできたものがあった。
あれは多分、さっきまで捕まっていたトレーラー。
その荷台から機械の足が生え、四本足で虫のように動いている。
ただの車じゃなくて、本当に悪い事をするための機械なのだと私でもわかった。
――あれ? 絡みついていた鎖は、どこへいったのだろう?
私の疑問をよそに、周囲にスピーカーごしの声が響く。
「大人げなくでっけぇロボット持ち出しやがってぇ! だがなぁ!!」
拡声された小柄の声と共に、トレーラーだったものは立ち上がった。
「こっちだってでけぇんだよ! 戦闘ぉロボットなんだよ!」
四本足に見えたけれど、四つん這いの状態になっていたのだろう。
“悪人のロボット”は、手で地面を押しのけて、立ち上がる。
そして、トレーラーに変装するための部品を振るい落とし、私を助けてくれた巨人さんに襲い掛かってきた。
悪人ロボットは、芸も技もなく殴りかかってくる。
大きさ、重さからすれば人間なんかはひとたまりもない。
それでも鋼鉄の巨人は横に少し跳んだだけでそれを躱した。
殴りつける前提だった悪人ロボットは重心を崩してつんのめる。
でも、ギリギリのところで倒れず、しかし勢いを殺すために随分向こうまでバタバタと走っていった。
目の前で起こったいきなりの戦闘に私が驚く中で、巨人が声をかける。
「ねえ、おじさんたち。さっさと手を上げてごめんなさい、ってしたほうがいいよ?」
悪人ロボットの動きが一瞬止まる。
その言葉には、私も聞き覚えがあった。
「……あっ、ああーっ! さっきのガキのバケモノ! なんでそんなロボットを……!」
「そんなのどうだっていいだろ! さっさとぶちのめせ!!」
巨人からため息が聞こえた。
多分、この巨人の中に央介くんと佐介くんがいる。
「もう周り、自衛軍が取り囲んでるよ」
双子のどちらかは、冷静に指摘する。
確かに、周囲の道路には軍の車両が集結してきていた。
ここは要塞都市、いっぱいの軍人さんがいる。
周りを幾度か確認した悪人ロボットは、少しうつむく。
でも――。
「……いや違うね! お前を倒して人質にする! どうだ!?」
自分たちで退路を断った悪人らは、一層前のめりになった。
さらに悪人ロボットのあちこちから武器のようなものが飛び出す。
それを見ても、私を手のひらに乗せた鋼鉄の巨人は怯えもしない。
「央介、あんなザコ相手じゃこっちは問題ない。けど、手の上の珠川さん。さっきのビームとか使われると、守り切れるかわからないぞ」
巨人から聞こえたこれは、佐介くんの声だろう。
自分が足手まといなのだとわかって、少し胸が苦しい。
「っと……。“中”に入れる……父さん、大丈夫かな!?」
お父さん? この巨人と、多々良兄弟の家族はどういう事になっているのだろう。
しかし、お父さんらしき声は聞こえてこないまま、次の央介くんの言葉になった。
「……十分だよ。両手使えばそんなに時間かからないし、相手は“巨人”じゃないから! ……うん!」
まるで電話してる人の話をそばで聞いているような話の抜け方。
たぶん、そういうことなんだろう。
「珠川さん! ちょっと怖いかもしれないけど、暴れないで!」
今まで私を優しく支えていた手が動き出す。
上に持ち上げられて、目の前には巨人の鎧兜みたいな顔。
そのまま巨人は大きく口を開いて、私はその中に投げ込まれた。
「っきゃあああっ!?」
一瞬の浮遊感ののち、私はどこかに落ちた。
落ちて、誰かに受け止められる。
すごく近くに人の顔。
アンテナ髪の男の子、央介くん。
私は彼に抱きかかえられていた。
小柄なのに力、あるんだ。
どきっとする。
「あ、あの。」
「ごめん珠川さん、色々あるんだけど、今は時間がないから! ……佐介、椅子とか作れる!?」
ここは、巨人の、お腹の中。
声をかけられた佐介くんは、姿が見えない。
「……あ、……ぎぎぎ……、……ノイズが。……何とか、する」
声だけは近くからする。
一体どこから?
きょろきょろしていた私に、央介くんが答えてくれた。
「今、佐介はハガネの、この巨人のシステムになってるから、見えない」
……そう言われたけれど、状況を理解しきれない。
いつの間にかそばに椅子があって、央介くんは私をそこに座らせてくれた。
確かにさっき、佐介くんに椅子を用意するように言っていたけれど。
「すぐに終わせるから、安心して」
央介くんはそう言うと、私が声をかける間もなく向き直って、戦うような構えをとった。
途端に周囲の様子が変わって、明るくなって、開ける。
見慣れた町の、見慣れない高さの景色が広がる。
今いるのが巨人の“中”だというなら、これは“外”の風景の映像が表示されているのかな?
向こうには悪人ロボットが見える。
見回してみれば、さっき“外”で見た巨人の腕と、肩も見える。
きっと巨人の頭の中から周りを見ているような状態なのかも。
私が戸惑っているうちに、央介くんが静かに宣言する。
「夢幻巨人ハガネ、速やかにギガント工作兵器を撃破します」
風景が急激に動き出した。
私たちを乗せた巨人が、悪人ロボットに向けて走り出す。
相手も慌ててそれに対処しようとする。
向かってくる巨人を殴り返すつもりだったのか、悪人ロボットの機械の拳骨が突き出された。
「あぶない!」
私は思わず叫んでしまった。
けれども、それは全く心配のいらないことだった。
突き出された機械の拳は、素早く動いた巨人の手で受け止められていた。
大きな金属同士のぶつかる音、それから、大きな物が壊れていく音。
悪人ロボットの拳が、歪んでゆく。
――巨人の手で、握り潰されてゆく。
私が乗っていたときは柔らかく感じたあの手のひら。
今は金属の機械を壊していく手のひら。
どこにそんな強さがあったのだろう?
「こわれるぅ!?」
「は、はなせぇっ!!」
悪人二人の悲鳴がスピーカーから漏れる。
悪人ロボットは、残されたもう片方の腕で振り払おうとしていた。
でも、そちらの腕も巨人に捕まれて、悪人ロボットは完全に自由を失う。
そのまま巨人は、相手の手を握る両腕を無造作に振り切った。
捕まれていた悪人ロボットの両手は、酷い音を立てて引き千切られる。
大きな機械が、粘土や紙より簡単に壊れていく。
一体、どんな力を加えたら、こんな壊し方ができるのだろう。
「――ねえ、お兄さんたち。降参、って上げる手がなくなっちゃったよ」
央介くんは、静かにしゃべりだした。
何か、さっきまでの彼と違う。
「ギガントで悪いことして、Dマテリアルをまき散らして、みんなを苦しめて」
淡々と喋る声だけど、とても怒っているような気がする。
「死んじゃえばいいのに」
――この男の子、怖い。
巨人は、千切り取った悪人ロボットの腕を振り被る。
巨人の目の前には悪人ロボットの運転席があって、中では抱き合って肝をつぶしている悪人二人がいた。
彼らの悲鳴も、スピーカーから聞こえている。
「おた、おた……、おたすけぇ!?」
「ああう、あ……あっ、脱出装置!!」
千切られた機械の腕が巨人の武器として振り下ろされる瞬間、操縦席に居た小柄の手が何かに伸びた。
次の瞬間、真っ白い煙と、盛大な爆発音がして何かが上方に吹き飛んでいった。
見上げても、空には何も見えなかったけれど――
「……ぎ、ぎぎ……。た、多分、逃がした、かな。追う余裕、ねーや……」
また、佐介くんの声。
でも何か苦しそうな感じがする。
「……こ、ここで降りるぜ。イレギュラーな……PSIエネルギーが混じってて……ぶっ壊れちまう」
「うん、無理してくれてありがとう。佐介」
それからは佐介くんの声は聞こえなくなった。
途端、私が座っていた椅子も、床に溶けるように消えてしまう。
それからしばらく、央介くんは黙ったままで、悪人ロボットの残骸を睨んでいた。
私は、彼の優しいところと、怖いところ。
その二つの姿がうまく結びつかなくて、何も言えずに彼の姿を見ていた。
どれぐらい時間が経ったのか、央介くんは携帯を手に取って、どこかと通信を交わす。
声を掛けようと思ったけれど、何を言っていいのかも分からない。
そうしたらまた巨人が動き出して、急に周りが暗くなる。
気が付くと、私と央介くんは大きなテントの中。
巨人から降ろされた、という感覚はなく、周りにあった巨人が溶けて消えたような感じだった。
そのテントが軍の物だと気づくにはそれほどかからなかった。
大勢の兵隊さんが走り回って、慌ただしくいろんなお仕事をしていたから。
途中、央介くんは兵隊さんに連れられてテントの幌の向こうへ行ってしまった。
私はそのまま取り残されて。
そういえば佐介くんは一緒に居なかったけれど、どうなっちゃったのかな。
それに……二人にお礼を言いそびれている。
兵隊さんがあっちへこっちへ走り、そのなかの一人が私に毛布をくれた。
特に寒くもないのだけれど、と思いつつ広げると、“救助”と大きく書いてある。
ここではこれを身に着けている方がよさそうだった。
――救助。
ああ、私、助かったんだ。
「大変だったわねぇ、紅利ちゃん」
横から私の名前を呼んで、あったかいコップを渡してくれたのは兵隊の、女の人。
軍隊の服から飛び出している、長い尻尾。
その尻尾には日常的に見おぼえがあって――
「――え、あ、狭山さんのお母さん?」
学校の、保護者参加の催しなどで幾度も会ったことがあった、クラスメイトの母親。
親子お揃いの長尻尾。
町の軍隊で隊長さんをしているとは聞いていたけども。
「央介君の話だと怪我はしてないみたいって聞いたけど、大丈夫?」
「は、はい。ぶつけたとかそういうこともなくて……助けてもらって……」
「ああ、よかった。町を守る者として、保護者会の一員として、被害者は出てほしくないもの……」
言葉を切って、はーっと深くため息を吐いた狭山隊長さんは軽くかぶりを振る。
何か切り替えたい気分でもあったのかもしれない。
狭山隊長さんは、私に何かを言いに来た兵隊さんに、自分がやるから、と言って追い返す。そして、私の前にパイプ椅子を立てて、きちんと座った。
「なんとなくわかるかもしれないけれど、今回の事であの子、央介君に関わることは他の人には言ってはダメ。……ああ、お父さんお母さんには大丈夫よ、軍からきちんと説明をするわ。……できるかしら?」
「……えーと、はい。その、大丈夫だと、思います」
そう言って私はうなずいた。
次に狭山隊長さんは、私の肩に手を置いて、話し始めた。
「……本当は、巻き込まれてしまっただけのあなたに、頼んではいけないことかもしれない」
直ぐ近くに、大人の人の、本当に真面目な顔。
「けれども、あの子。央介君は、今とってもひとりぼっちで、苦しいことをしているの」
――ひとりぼっち?
あれ? 央介くんの名前は出るのに、どうして佐介くんは話に出てこないのだろう?
そういえば、巨人の中にいたとき、システムになるとか言ってたかな。
それがどういうことなのか分からなかったけれど。
変なところに引っ掛かった私の戸惑いをよそに、狭山隊長は続けた。
「今回、あなたは彼の秘密を知ってしまった。だからあなただけにできることなの」
私、だけに?
「どうか、今後、学校で、彼の友達になってあげて。……ダメかしら?」
びっくりした。
何か重大なことを頼まれるのだと思った。
男の子と仲良く、というのは最近少し難しいけれど、できないことではない。
「わかりました。……央介くん達にはさっきから何度も助けられましたから」
そう狭山隊長さんに答えた。
その時だった。
「珠川さん!」
横からしたのは央介くんの声。
テントの幌が跳ね上げられて、駆け込んできた彼が押していたのは、私の車椅子。
「車椅子! 兵隊さんに持ってきてもらったよ! ……どこか壊れてないといいんだけど」
「……ありがとう!」
何より先に言葉が出た。
今まで言えなかった、お礼の言葉。
「あ……! うん……、どう、いたしまして……」
随分、はにかみながらのお礼だった。
これだけカッコいい事をしてるのに、感謝され慣れてないように。
そこは少し引っ掛かったけれど、それよりももっと気になることがある。
「佐介くんは? あの、具合悪そうな声だったけど、大丈夫?」
そう言った後で気づいた。
これも、聞いてはいけない話かもしれない。
でも、彼は答えてくれた。
「佐介ならしゅうりちゅ……、ええと、修理中。その、あいつ人間じゃないから、心配しなくても大丈夫。大丈夫だけど……」
彼も、言わなくていいことを真面目に答えてしまってから気づいたらしい。
やっぱり優しい子なんだ。
それと、佐介くんが人間じゃない、なんてことも知ってしまった。
「……えーと、大丈夫。みんなには黙っておくから」
少し離れた所で、狭山隊長さんが頷いている。
良かった、大丈夫みたい。
沢山の不思議を抱えた二人と私、これからどういう付き合いになるのだろう。
それでも私は大人からお願いされたこともあって、一歩踏み込んで彼に呼び掛ける。
「これからよろしく。央介くん!」
See you next episode!
転校生、央介と佐介がやってきた!
そして紅利は知る。彼らの秘密とは、夢幻巨人ハガネとは!
しかしその時、もう一体の巨人が街に現れた!
次回、『要塞都市の巨人と巨人』
君も、夢の力を信じて、Dream Drive!
##機密ファイル##
偽装工作車両機『ダイダラボッチ』
国際犯罪組織ギガントが運用しているトレーラー偽装型の工作ロボ。
通常時は透明化擬装、インビジブル・シェードの応用により、様々なラッピングトレーラーに化け、どこにでも潜入してくる。
搭載兵器は両腕の振動粉砕機構付き工作用アーム、全身に搭載されたイージス・カウンターレーザー、腰部両側の二連装多目的ランチャー×2、電磁誘導焼滅バリアが固定装備としてあり、さらに目的に応じた装備が追加されていることもある。
ギガントの先進的科学によって通常軍備の一、二世代先の技術で生産されており、主力戦車5~6両相手の平地戦でも圧倒的優位を誇るという。