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第1章 出会い 5話 『崋山烈火』の怒りと謝罪

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「ゼン様! ゼン様!」


「マリー早く回復魔法を」


「は、はい!」


 うつ伏せで倒れていたゼンをリンは仰向けにした。そして、ゼンの顔を見た『崋山烈火』の一同は今までに感じた事の無い憤りを覚えた。


「これをやったやつは誰だ」


「殺してやるわ」


「コロスコロスコロスコロス.........」


 ゼンの顔は歯がほぼなく、顔を殴られすぎて誰だかわからないレベルになっていた。ギリギリ息があり、ホッとした彼女たちであったが、ゼンにこんな惨いことをした人間を生かすという考えが微塵も残らないほどの怒りを持っていた。


 今すぐにでも殺してやりたい気持ちであったが、ゼンの治療が先決と判断した彼女たちは、ゼンを自宅へと運び、聖女マリーが極大回復魔法(マキシマムヒール)を使用した。


 ゼンの顔はみるみるうちに治っていき、歯も全部元通りになっていた。しかし、意識は戻らない。


「ゼン様ぁーーー!! うぇえええええん。ぐすんっ。ゔぇええええん」


「おい、マリー! 恩人にそんなにくっつくなって」


「だって、だっで、ぐすんっ............」


「こんなことしたやつは同じ目に合わせてやるわ、必ず」


「コロスコロスコロスコロス..........」


「とりあえず恩人が起きるまで待とうぜ」


「ばぁい。ぐすんっ」


「えぇ」


「うん............コロス」


 ゼンはそのあと2日にも及んで、寝込んでしまった。ゼンは寝込んでいる間、高熱を出しこれもゼンをボコボコにしたやつのせいだと、彼女たちは思い込み、怒りのあまり狂いそうだった。


 そして、3日目の日、


「——————————————ん、ここは」


「あ! ゼン様!! やっと起きました! やっどおぎだよぉぉ」


 泣きながらゼンに抱き着いてきた聖女マリーにゼンは困惑していた。


「え? あれ? 『崋山烈火』のみなさんじゃないですか!」


「大丈夫か?」


「は、はい! そ、その、すみません........」


「なんで謝るんだ」


「そ、その助けてもらいましたし......」


「それはこっちのセリフ........」


「ゼン聞いてくれるかしら」


 リン、レイ、エリは真剣な目でゼンを見つめた。


 ただマリーを除いて。


「本当にごめんなさい」


「すまなかった」


「ごめん.........」


「ごぶぇんなざぁい」


「い、いや何で謝るのですか?」


 彼女たちがいることに対して、それ以上に彼女たちに謝られたことに対して、ゼンは驚いたのだ。


「助けてもらった恩人に対して今まで酷いことをやってしまって」


「いや、そんな......」


「謝って許されることだとは思っていないわ、だからゼンのために色々しようと考えたの」


「いや、だから......」


「謝るずっと、ごめんなさい.........」


(おいおいおい、『崋山烈火』の全員が泣きそうになっているんだけど.......。てか、俺に抱き着いてるの聖女じゃね? てか、ヤバくね?)


「あ、あの、せ、聖女様。そ、その体を離してもらえると嬉しいのですが........」


「やだ」


「や、やだ!?」


「やだ」


「お、俺はそのEランクですし、Sランクの聖女様が触れるような人物では.........」


「関係ないです」


(おいおい、さっきよりも抱き着いてきてるぞ! てか、胸がすごく当たってる!!!!)


「マリーどきなさい、ゼンが嫌がっているわ」


「え? 嫌なのですか?」


「いや、嫌ではないですけど.......」


「じゃあ、このままです♡」


 〝ピキピキ″という壁がきしむ音が聞こえた。ゼンはどうしてこんなにきしむ音が出ているのかなと思い、『崋山烈火』のメンバーを見ると、


「マリーはやくどきなさい?」


「調子に乗るんじゃねぇぞ?」


「コロス............」


(やばいやばいやばいやばい、殺される!)


 血相を変えた剣姫レイ、賢者エリ、武神リンがそこに立っていた。


「せ、聖女様、さすがにどかないと.......」


「マリーって呼んで」


「え?」


「マリーって呼んでください」


「え?」


 この言葉が発端で『崋山烈火』での戦闘が始まった。


 


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