第4章 ゼンの過去 44話 過去
遅くなりすいません。ここから謎多きゼンの正体が過去を通して明らかになります。乞うご期待!!
知識とは何のために存在するのだろうか?
誰かを助けるために知識を使うのか? それとも自身をさらなる高みへ導くために知識を使うのか? それは人それぞれである。
知識とは万物においての補助の役割を果たす存在である。これは決して揺るがない真実である。
知識とはときに、武器と化す。自身を象徴する道具として、自身を示す道しるべとして、また、他人を立たせるものとして。
だが、知識とは等価交換なのだ。
時間、金、家族そして恋人と知識を交換する。
故に知識とは、危ない懸け橋になり得るのだ。
だが、もし、万物の知識を手に入るとしたら人はどうなってしまうのか? はたして何を犠牲にしなければならないのか? それは誰にも分らない。
◇◇◇◇
「お前がなんでそれを知っている!!」
温厚なゼンからは考えられないほどの怒り、いや焦りとも感じ取れるような感情が剥き出しになっていた。
「ほほほほっ、焦っておるのぉ」
まるですべてを知っているかような薄気味悪い笑みを浮かべていた。
「お前は........全部知っているのか?」
「それは言えないのぉ。じゃが、1つだけ言えることはある」
男は指をゼンに向けて言った。
「お主の思っていることは当たっておるぞ」
その言葉を聞いた瞬間のゼンの表情はなんとも言えないものであった。
歓喜、いや、不安とも受け取れるような表情をしていた。まるで思い出したくない記憶を思い出してしまったかのような。しかし、ゼンにはまだ拭えない疑問のシコリが残っている。
「お前は誰なんだ」
そう、この男の正体である。いつの間にかゼンの目の前に現れ、ゼンの思っておることすら当てるそんな存在。それはまるで神である。
しかし、
「それは答えることは出来ぬ」
男はゼンにシコリを残し続けた。だが、男は言葉を続けた。
「じゃが、お主の罪とは深く関係しているのは確かじゃ」
「あぁ」
ゼンはどこか遠くを見ているかのような表情をしていた。
「お主の過去はお主が一番知っている。そしてどうしてここにいるのかもお主が一番知っているじゃろ?」
ゼンはもう分かっていた。どうして自分がこのモノクロな世界にいるのか。どうして自分が死ぬ羽目にあったのか。その原因と過去の関係性すらも。
「どうしてお前は俺の前に現れたんだよ....
レイ」




