第3章 魔界 39話 再登場
海外で仕事をしていて遅れてしまいました! これからは日本にいることがほとんどなので毎日更新していきたいと考えています!
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ゼン。彼の魔界での活躍はラボだけではなく、魔界全体に広がっていた。
善人すぎる人族。種族という壁を見ていない彼の行動に多くの者が感動し、感謝し、そして慕った。のちに彼は魔界でこう言われる。
英雄ゼン.......と。
◇
「まさかここまで効力があるとはな!!」
ダレオは上機嫌で言った。それはそうであろう。同胞である魔族がゼンの作り出したポーションを飲み、傷口が嘘のように塞がり始めた。
だが、傷が塞がったからと言って、危険な状態であることは変わらない。定期的に飲み続ける必要があるのだが、魔族の自然治癒能力が人族とは比べられないほどに高く、その必要もなかった。一度ポーションを飲めば、あとは自然治癒能力で自然と回復していく。
そのため一週間もすればほとんどの負傷者が回復し出て行った。
魔族たちは敵対種族でありながら感謝の言葉を述べることは自身の恥に繋がってしまうにも関わらず、彼らは頭を下げ感謝の言葉を続けていた。この言葉がゼンに活力を与えた。既にポーションの効力は切れている状況下でありながら、未だに一睡もしていないゼンはもはや神の領域となっているであろう。
しかし、限界は唐突に訪れた。
「ごほごほごほっ!!はぁー、はぁー」
「ゼンさん?」
すごい咳とともにゼンは荒く息をした。そしてゼンの手には血がついていた。ゼンの体は限界であると緊急信号が出ていた。
「大丈夫か!!??」
「さすがに限界かもです」
ゼン自身も察していた。おそらく臓器にひどい損傷があるのであろう。ある意味混んでいたラボが今ではいい意味で過疎化しているのは、ゼンのおかげと言っても誰も反論はしないであろう。
しかし、問題点が一つある。ゼンを治すことが出来るものがここのラボにいないことだ。それは明らかなことであった。ダンはある程度の『回復魔法』は使用できるが、ゼンの今の状態を完全に治すことは不可能である。
「バゴーーン!」
すると、突然大きな音とともにラボの扉が破壊された。
そこには角が生えた女性が立っていた。シェルにも劣らないほどの絶世の美女であるが、目がつり目であるため、少し気が強いように見える。しっかりと通った鼻筋、唇は漆でも塗ったのかと思われるほど光り輝いているようであった。髪の毛は血でも表しているのか真っ赤であるーーそう、『魔王』の姿であったのだ。
コツコツーーとハイヒールが音を奏でておりそれがより一層『魔王』の威圧感を傘増しさせていた。そして、ゼンの前に着くと、
「おい、この人間を借りるぞ」
と胸ぐらを持ち連れ去ろうとしている『魔王』にガレオは立ちふさがった。
「おい、どういうことだガレオ」
「そっくりそんまま返すよ魔王様」
お互いが立っているのがやっとであるほどの殺気を出しており、殺気でラボにヒビが入っていた。
「魔王様がゼンに仕打ちをするというなら、俺様はあんたを敵とみなしぶっ殺す」
「主に向かってその言い草かガレオ」
すぐにも触発してしまいそうな両者であったが、
「この人間を治すーーただそれだけだ、ガレオ」
と魔王らしからぬ意外な言葉を聞き、ガレオ同様ダンもあっけかんとした。
「では、借りるぞ」
その言葉を残し魔王とゼンは退散した。
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