第3章 魔界 37話 最終局面
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今回は少し短いです。
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ゼンはガレオが取って来てくれた『マッドピラエルの血』をフラスコの中に入れた。
入れた、こう聞けば簡単に聞こえるかもしれない。しかし、そんな生半可なものではない。一定のペースで一定の量を入れるという常人にはできない職人技である。
これはゼンだけではなく、調合師ならば出来なくてはいけない技であるのだ。調合師の一つ一つの作業は見た目とはかけ離れている奥深さがある。だからこそ、もしそれを知りうる機会が訪れたのであれば、それは調合師という存在が輝いて見えるのである。
そう、ガレオとダンのように.......。
◇
「よしっ、入れ終わりました」
数時間かけ『マッドピラエルの血』を入れ、オレンジ色をしていたフラスコが紫色へと変貌を遂げた。それだけではない、嗚咽をしてしまうような激臭も他の素材と合わさったことにより従来の匂いより遥かに緩和されていた。
「まさか! これで完成なのか!!??」
期待の目をキラキラと輝かせ、言ったガレオを裏切る形でゼンは言葉を紡ぎだす。
「いえ、あと一つ作業があります」
「あと一つでしょうか? もう素材は全部入れましたが..........あっ!」
ダンは気づいた。ゼンがエルフの里でお世話になった代物のことを。
「そうです、ではラスト行きます」
疲労困憊であるはずの体に活を入れ、自身の体を奮い立たせた。ガレオ、ダンも同様最後という言葉に惑わされないため気合を入れた。
失敗は許されない最後の闘いの幕が上がった。
「まずは、すり潰します」
ゼンは手に取った『善キノコ』をどうするのかをガレオらにレクチャーしていた。その光景は生徒と先生にも見えた。それほどに親しい、互いが互いを信用している存在であることを暗に意味している。
「なるほどなるほど、しっかしーゼンは手先が器用だな! まるで女だ!!」
「ぐはっ!」
「ゼンさん! 気をしっかり!!」
ガレオは決して悪気があったわけではない。単に褒めているのだが、それは疲労困憊のゼンの精神を蝕んだ。
「だ、大丈夫です.......それより、出来ましたか?」
「はい、こんな感じでしょうか?」
見本と瓜二つの状態の『善キノコ』がダンの目の前にあった。一回で同じようにできる優秀なダンとは対照的なガレオはにこっとした表情をし何も出来ていない『善キノコ』を見してきた。
「はぁ~」
ゼンは深いため息をついた。ガレオは類を見ない戦闘馬鹿であるため、細かな作業が出来ない。しかし、ゼンの手伝いがしたいがために一緒にいるという状況だ。
「では、もう一度説明します。これをですね—————————————————————————」
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