第1章 出会い 3話 ゼンの正体と『崋山烈火』の決心
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ゼンが自宅を空けてから3日が経った。
「おばさん、ただいま!」
「おかえりのぉ」
「何も変わったことはなかった?」
ゼンは素材の入った荷物を片付けながら、おばさんことミルさんに何気なく言った言葉だが、ミルさんが発した言葉に思わず荷物を落としてしまう。
「い、いまなんて.......」
「あのお嬢ちゃんたちは完治して、王都に向かっていたのぉ」
「ほんと?」
「えぇ、ありがとうって言ってたのぉ」
「..........ぐすっ、よかった。よがっだ.....ひっく」
「ほらほら、治ったんだから泣かないのぉ」
ミルさんはゼンを抱きしめて、号泣するゼンをあやした。その光景は『崋山烈火』のメンバーも見ていた。
賢者エリの自作の魔法である【天空眼 映像化】という神級の魔法を駆使し、『崋山烈火』の全員に見せた。
そこで『崋山烈火』の一同はゼンが誰なのかがわかった。
「わたしたちは、なんて酷いことを.......」
「最低だなわたしら」
「本当に何て酷いことをしてしまったのでしょうか.......」
「ごめんなさい........」
そう、ゼンの正体は『崋山烈火』の一同もストレスの捌け口として使っていたEランクの少年であったのだ。その少年がゼンであると気付いたときには、自分たちのやったことは許されることではないと気付いた。
ゼンに恨まれていてもおかしくないことをやってきたのに、『蘇生の薬草』まで使い、全員を1年がかりで助け、今現在、治ったということを聞いた途端、号泣してくれるゼン。
『崋山烈火』の一同は全員の顔を見合い、同じ決心をする。
「一生かけて謝ろう」
「それしか償えないよ」
「許してくれなくても、一生謝罪を続けましょ」
「賛成......」
彼女たちはゼンに全力で謝ること決心したのだ。許してもらわなくてもいい、それでも感謝と謝罪を続けたいと思ったのだ。そして、王都へと到着した彼女たちは王宮へと行くのだった。
「おいおい、聞いたか? 『崋山烈火』が帰ってきたらしいぞ!」
「マジで!? また、あの美しい女神様たちが見えるのか......」
「しかもよ、今日はそのパレードがあるらしいぞ!」
「絶対見に行こう、そして求婚しよう!」
「「「「「「「「「「「おぉぉおおおおおおおおお!!!!」」」」」」」」」」」
街では『崋山烈火』の帰還の話題で持ち切りになっていた。誰もが今夜開催されるパレードを楽しみにしていたのだが、
「ねぇ、早く帰らせろよ」
「その通りです、早く帰宅させてください!」
「ホントに無能ね」
「うざい........」
『崋山烈火』のメンバーはゼンに感謝と謝罪をしたい欲がMAXに達し、この待ち時間、そしてパレードが開催されることについてイライラしていたのだ。
「だ、だが、民が待ち望んでいるのだ。パレードはや———————————」
「なに? 何でやる必要があるの?」
怒りのボルテージが充填しそうな武神リン。今にも噴火しそうだ。
「し、しかし—————————」
「頭が悪いですね。パレードをやる真意がわかりません」
「バカ...........」
聖女マリーと賢者エリの追い打ち、そして最後に、
「ねぇ、あんたアホ? 私たちはパレードはやる気ゼロ。あんたが勝手に決める権利でもあったわけ?」
剣姫レイの毒舌攻撃。これにはさすがの王でもノックアウト。
「わ、わかった。後日に延期をしよう」
「ふんっ、当たり前よ」
「やるじゃん、おっさん」
「当然でございますわ!」
「アホ.........」
王宮をそそくさに出て行った『崋山烈火』のメンバーを見送った。
(帰還前よりも我がまま度のレベルがアップしている.......。これでは、ワシの体が持たん.......)
ストレスがさらに増える恐怖に怯えながら、胃を抑えている王は自室へと戻った。
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