第3章 魔界 34話 調合②
海外出張でした、おそくなり誠にすいません。これからは毎日投稿できるように精進いたします。今日は二本連続投稿です。
ゼンはひたすら手を動かした。まるで機械の如く手を一定の早さで動かし仙王米を洗米していった。
この地獄のようなループな作業が始まってから、2週間が経過した。
ゼンたちはちゃんと朝、昼、夜と食事を取っていた。しかし、顔はやつれ皮膚も変色し始めていた。そう、これがこのポーションの恐ろしいところである。
『睡眠』それはどんな種族であろうと最も重要すべき事柄。睡眠がうまく取れないといつも通りの動きや思考が取れず、体を壊していく。それほど睡眠というものは大事なものである。
しかし、ゼンが服用したポーションはそんな最も重要される『睡眠』を強制的に封印する.......いわば呪いだ。このポーションは市場などで売っているが、服用する量というに比較して効果を発揮するものである。
「一日の摂取量はこれくらい」というように目安というものがある。それ以上服用すると危険ですとも記載されているほどだ。
しかし、あるとき一人の馬鹿野郎がそのポーションをすべて飲み干した。服用した量が多すぎて彼は一か月寝ることができなかった。一見そんな悲惨な状況に追い込まれていないと思ってしまうかもしれない。しかし、一か月寝れないということがどれほど体に負担が来るかを多くの人は知らない。
それはそうであろう。なんせどんな日常ですら離すことが出来ない存在であるのだから。だからこそ、盲点になってしまうのだ。
結果、彼は代償により体の器官を複数壊してしまった。それほど負担が大きいのだ。
しかし、この馬鹿野郎と同じことをしている人物がもう一人いた。そう.......ゼンであった。
もちろんゼンは代償のことについては十分承知である。では、なぜゼンはそんな恐ろしい代償があるのにも関わらず敵対勢力である『魔族』に対してここまでするのか。多くの者は敵対勢力に対して手を差し伸べることは絶対にしないというのが必然的な回答かもしれない。
しかし、ゼンという人物はそうは考えない。どんな種族であろうと困っている人がいたら手を差し伸べる.......それが例え敵対勢力であろうとだ。
そんなゼンの姿はダン、ガレオにとって憧れすら抱くような存在であった。
そして、遂に
「.......終わりました」
「本当ですか!?」
ゼンの呟きにダンが反応した。
数百億粒の仙王米を無洗米にゼンはなんとか仕上げた。今回のポーション作りの中で一番の鬼門である仙王米が仕上がったということは、暗にポーションが完成したと指していると同じことだ。
「.......では、ここ、から...本格的なポー.......ン作、り...です」
今のゼンは話すだけの気力すらあまり残っていない状態であった。それほど今回の鬼門である仙王米が大変であったことがわかる。
しかし、仙王米が仕上がったからといって、完成ではない。このあとの調合過程を得て、やっとポーションとなるのだ。
ゼンは今にも倒れそうな体を自身で支え、ポーション作りに励む。
ダンはゼンの姿が廃人にも見え、また英雄にも見えた。
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