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第3章 魔界 32話 ガレオ将軍

魔王→四天王→八将軍という順番で魔界は強さが決まっています。

「ガレオ様! どうしてここに!?」


「ガレオってあのガレオなのですか!?」


 ゼンはガレオについて知っていた。いや、おそらくヒト族なら知らないものは誰一人としていないだろう。


 ガレオ将軍。魔王軍四天王のうちの一角をなし、魔法武術の使い手。四天王の中でも人柄がよく、魔界の中で最も慕われていると言っても過言でもない人物である。


 ヒト族の間では、あまりの強さ故に魔王2世とも呼ばれている。そんな化け物がなぜこんな偏狭な場所にいるのか? その疑問がダンとゼンの頭に残っていた。


「貴様がゼンとやらか?」


「はっはい!」


「ははははは、そんなに腰を低くしなくていいわ! 俺様は貴様の手伝いをしに参上したのだ!!」


「本当なんですか?」


「あぁ! しかし、条件がある!!」


「条件ですか?」


 ゼンは条件という言葉に敏感に感応してしまった。相手はヒト族と敵対している魔族、その四天王が出す条件などゼンにとって不利になることは目に見えていた。


 しかし、ゼンの思惑はすぐに打ち砕かれた。


「俺様に協力をしてくれ!」


「え? ど、どういうことですか?」


「貴様のことは魔王様から聞いている。貴様がエルフ族の姫の不治の病を治したということも聞いた。俺様は貴様らヒト族とは敵対勢力、そんな俺様の言うことなんか聞いてくれないかもしれない.....。だが、俺様の頼みを聞いてくれないだろうか! この通りだ!!」


 四天王がゼンに頭を下げた。ゼンはもちろん、ダンも驚いていた。 

 

 当たり前だろう、この状況をヒト族で例えるなら、公爵家レベルの貴族が一介の平民に対して頭を下げると同じ状況なのだ。


「あ、頭を上げてください!」


「それはできない! 俺様の頼みを聞いてくれるまで!!」


「俺に出来ることなら聞きますから、どうか頭を上げてください!」


「本当か!?」


「はい」


 ガレオは深刻そうな顔のまま話を続けた。


「俺様にはガーミルという妻がいるのだがな、ある日突然倒れたんだ。もう、5年以上目を覚まさないのだ。魔界にはいい腕の医師がたくさんいるから、妻の状態を見てもらったんだ。だが、誰も妻の倒れた原因が分からなかった。エルフの姫の不治の病を治した貴様らな妻を助けられるんじゃないか? だからお願いだ、妻を助けてくれ.....」


 敵対勢力であるヒト族に助けを求めることは、魔族にとって大きな恥であろことは違いない。しかし、ガレオは何の躊躇もなくゼンに頭を下げ、助けを求めた。それほどまでに妻を愛していることがゼンにしみじみと伝わってきた。


「俺に任せてください、必ず原因を突き止めてみせます」


「ありがとう.....ありがとう」


 ガレオはゼンの手を握りしめ、何度も感謝の言葉を囁いた。


「ですが、現在多くの魔族の方が大変危ない状態です。ですから、まずはこの仙王米の栽培に協力をしてはくれないだろうか?」


 ガレオは握りしめていた手を離し、ゼンの正面に立った。


「お安い御用だ!」


「ダンさん、お願いします」


「よっしゃ!」


 ダンが再び【念力】を使用し、種を水につけた。そして、






獄炎拳(ヒートナックル)


 その詠唱とともにガレオの拳には周りの大気すら焦がすような炎を纏っていた。その拳を水につけた。


"ジューーー!!”


「嘘だ.....ろ」


 湖にあった水が一瞬で消え去ったのだ。


 あまりの温度に水が一瞬で水蒸気になってしまったのだ。おそらく、その水蒸気すら焼かれてしまったかもしれない。


しかしこの予想をしていなかった事態は、ゼンたちに幸運をもたらした。






「これ全部仙王米じゃないか?」







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