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第3章 魔界 27話 奴隷

遅れてしまって申し訳ございません。


「——————————————ん? ここは.....」


 ゼンは見知らぬ天井に違和感を感じた。ゼンは立ち上がり、自分のいる場所を確認するために窓を覗いた。





 そこには、暗黒の空が広がっていた。






 太陽などの光はなく、街の明かりと月の明かりが暗黒の空を照らしていた。


「どこだここは.....」


 ゼンは自分がどうしてここにいるのかが分からなかった。最後の記憶がシェルの自室で自宅を見た記憶なのだ。


このときゼンは首元に違和感を感じた。

 

「これは.....」


 ゼンに装着されていたのは首輪であった。それはペットに着けるような甘いものではない。






 奴隷






 この言葉を聞いたら誰でもぞっとしてしまうだろう。自由を奪い、人間としての価値すらも奪ってしまう。それが奴隷だ。


 では、なぜ奴隷が存在するのだろうか? それはこの世に身分というものが存在しているからだ。これは当たり前のことであり、乗り越えられない絶対的な壁である。


 また、奴隷になって最も恐ろしいことは身分が固定されてしまうということだ。


 農民が貴族になる可能性はほぼないが、ゼロではない。しかし、奴隷から平民、ましてや貴族になるなど不可能なのだ。


 ゼンは今自分が置かれている状況を素早く理解できた。この早さ『崋山烈火』とともに行動し身に着けた一種の技であった。


 しかし、お世辞でも言えないほど酷い状況であった。この首輪はゼンを生涯の大半を奴隷として過ごすことを暗に意味していた。


「起きたかヒト族」


「な、なんで.....」


 このときゼンは驚いてしまった。


 それは無理のないことであった。ゼンの前にはヒト族と戦争を繰り広げ続けている魔族が居たからだ。


「敵対勢力の魔族がなぜここにいるのかって?」


「..............」


 ゼンは何も言えなかった。


「図星だな。まぁいい、少し面を貸せ」


「い、嫌と言ったら?」


 ゼンはどうしてかそんなことを口走っていた。


「死ぬのが怖くないなら言えばいいんじゃないか?」


 遠い昔、ある冒険者が王様に対して「貴方が一番恐ろしいと思うものはなんですか?」と問うたことがあった。王様は何の迷いもなく「死ぬことだ」と言った。どんなに最強な人物やどんなに権力を握っていたとしても『死』という恐怖は脳裏にこべりついてしまうのだ。


 その最大の脅し文句にゼンも当然、恐怖を感じた。


「行くよな?」


「は、はい」



「着いたぞ」


「ここは.....」


 ゼンは魔族の男の先導に従い巨大な門とでも言えよう扉の前に来ていた。ゼンは廊下を移動している時に自分の置かれている状況を再確認できた。


 まずは、自分が奴隷になってしまっているということ。これは、首輪が装着されていることに気づいたときに、理解していたことだ。


 もう一つ、ゼンは最も重要なことに気づいてしまった。それは自分は魔族に捕らわれてしまったということだ。廊下を行き交う数人すべてが魔族であったため、そう認識出来た。


 そして、今現在に至る。


「では、入るぞ」


‶ゴゴゴゴゴゴゴ---″


 怪獣が雄たけびをあげるが如く、地響きもとい金属音が鳴り響いた。


「ヒト族を連れて参りました」


「ご苦労、下がってよい」


「はっ!」


 ゼンの前には角が生えた女性が立っていた。シェルにも劣らないほどの絶世の美女であるが、目がつり目であるため、少し気が強いように見える。しっかりと通った鼻筋、唇は漆でも塗ったのかと思われるほど光り輝いているようであった。髪の毛は血でも表しているのか真っ赤である。


 しかし、容姿とは別にゼンはその女性から恐ろしいほどの殺気を感じていた。ゼンはこの殺気で彼女の正体が分かってしまった。
















 魔王であると。

 


 







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