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第1章 出会い 2話 『崋山烈火』の復活

 1年の月日が経ったある日、ゼンと治療羊はポーションの材料を取りに行っていた。その間、王都で仲のいいポーション屋のおばちゃんに家を預けていた。


「メェーちゃん! 待ってよ~」


 メェーちゃんとは治療羊である。なぜゼンと治療羊が探索に出ているのかというと少し時が遡る。


「メェーちゃん、ホシピッピの爪はいつもどこから持ってきてくれるの?」


 この何気ない一言が治療羊を動かした。治療羊はゼンの服を口で引っ張って、ホシピッピの爪がある場所へと誘導したのだ。誘導された場所はいわゆる寝床であった。


「こ、これはヤバいんじゃない.....?」


 そんなことをゼンは思っていたが、治療羊は何事もないかのようにホシピッピの寝床に入り、落ちている爪を咥えて、ゼンの元へと再び戻ってきた。


「こういうことだったのか.......」


 何かうれしいような申し訳ないような色々な感情が混ざっていた。



「—————————————んっ。こ、ここは?」


 見知らぬ天井に『崋山烈火』のうちの1人剣姫レイはつぶやいた。


「ここで、治療を行ってもらっていたのよ私たち」


 そう言うのは聖女マリーであった。彼女もついさっき起きたのだが、この状況をすぐに理解できた。


「でも、私たち死んだんじゃなかったの?」


「えぇ、みんな死んだ..........」


 賢者エリも同様に起きていた。しかし、『崋山烈火』のメンバーは3人はほぼ同じタイミングで起きたから、なぜ生き返ったのかが理解できていなかった。しかし、1人だけ1日前、武神リンはゼンが家を預けたときにちょうど目を覚まし、ゼンとはすれ違いの形となっていた。


「じゃあ、どうやって.......」


「こっちに来て」


 リンは他3人をある部屋へと誘導した。


「なによ、これ.......」


「どれだけ私たちを.......」


「すごい........」


 レイ、マリー、エリは目を奪われた。そこにはびっしりとポーションが並んでおり、資料や本、また材料が溢れかえっていた。そして、聖水の中にある、薬草にみなの目が行った。


「これって、まさか!」


「そうだよ、これ『蘇生の薬草』なの」


「嘘ですよね......?」


「ほんと.......これ『蘇生の薬草』........」


 レイたちは驚きを隠せなかった。『蘇生の薬草』がどれだけの価値を示しているのかが知らないはずがない。どの国も喉から手が出るほど欲しがる代物だ。それをなぜ誰かもわからぬ自分たちに使ったのか、それが不思議でたまらなかったレイたちは、すぐに治した本人に会わせてほしいとリンに言った。感謝の気持ちとこれを使ってしまった理由を聞き出すために。しかし、


「その人は今いないよ」


「え!? なんで!?」


「お礼もできないなんて......」


「悲しい........」


「じゃあ、わたしが説明しましょうかのぉ」


 腰が曲がり切ったおばあちゃんが扉から出てきた」。


「ま、まさかあなたが!!!」


「違いますぞ、貴方たちを治したのはゼンという少年だのぉ」


「「「ゼン?」」」


「まぁ、知らないのも無理はないのぉ。ゼンくんはEランクの冒険者だからほとんど知らないかものぉ」


「「「「Eランク!!??」」」」


 『崋山烈火』のメンバー全員が驚いた。リンもゼンについては名前だけは聞いたが、それ以上は他の人たちが起きてからということだった。『崋山烈火』の全員はてっきりSランクの冒険者でダンジョン攻略商品でゲットした戦利品が『蘇生の薬草』なのかと思っていたのだ。


「しかし、調合師の腕は国でおそらくゼンくんを超す者はいないだろうのぉ」


「そんなすごいひとが......」


「でも、『蘇生の薬草』だけでは、内臓が治りません! これでは私たちは一生眠ったままのはずです! いったいどうやってゼン様は私たちを完全回復させたのですか!!??」


 聖女のマリーはさすがと言うべきか、ポーションについて詳しく知っていた。だから、どうやって治したのかが気になっていたのだ。


「その答えはこれじゃのぉ」


 そしておばあさんが取り出したのは、あるポーションだった。しかし、みんなはそのすごさがわからなかった。


 ある1人を除いて....。


「なんなんですかこのポーションは.......」


 驚いて、腰を抜かしながらマリーが言ったためみんな何事かと思った。


「どうしたのよマリー」


「なにこれ.........」


「マリーがここまで驚くってことは、ヤバいのかこれ」


 マリーは、コク、コクと頷いた。マリーは世界でたった1人の聖女であり、回復に関しては彼女の右に出るものはいないのだ。その聖女にここまで言わせるのだから、そうとうヤバいのだろうと思った。


「こ、これ、フルポーションの5倍は回復力がある.......」


「「「え」」」


「ゼン様はこれを作っておられたのですか!?」


「そうのぉ、毎日貴方たちに飲ませていたらしいのぉ」


「「「「毎日!!??」」」」


「ゼンくんは時々、うちの店に来ては泣いておったのぉ、これで起きなかったら自分のせいだって」


「ゼン様はなぜそこまで......」


「わたしも知らないけど、ゼンくんは困っている人がいたら助ける人だからのぉ」


 『崋山烈火』の全員は感謝のあまり全員が泣いていた。見知らぬ自分のために泣いてくれるゼン、そして、良質なポーションを作り毎日飲ませていたことすべてに関して感謝であった。


 そして、既に、彼女たちの心の中にある感情が芽生えだしたことに、彼女たちはまだ知らない。


 


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