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第2章 緑山 24話 修羅場

遅くなりすいません。今回は題名の通り修羅場です。同作品である少女たちを助けるために一度きりのスキルを使いました~助けた少女たちは未来の勇者だった~も読んでいただけると助かります。https://ncode.syosetu.com/n6157fu/

 地獄絵図。それは、まるで地獄であるかのような事態のことを例えてそう言う。しかし、そんな言葉を出すことは日常では滅多にない。しかし、今確実にエルフの里は地獄絵図になっている。原因は4人の女性であった。



「はぁ...はぁ...。早すぎるよ」


「私は足が速いわけではありません。愛の力がここまで私を早くしたのです!」


「そ、そういわれても」


 息を切らし、辛そうにしているゼンに対してシェルは余裕の表情。いや、もはや緩んでいた。しかし、ゼンは急がなくてはならなかった。


「シェルさん、離してください!」


「ダメです! ていうか、離れないんですよ」


 不可抗力とでも言わんばかりにシェルはゼンから一ミリも離れなかった。


 綻んでいる顔を見るにただの変態であった。


「しぇ、しぇるさん.....?」


「すきです」


 胆略な愛を言うと、シェルは自身の顔をゼンに近づけていった。







‶ちゅっ″







 軽い口づけであった。ゼンはこのとき少しだけ安堵していた。なぜなら、ゼンの予想ではもっとすごいことになると思っていたからだ。しかし、ゼンの浅はかな思考はすぐに崩壊した。


 シェルの甘い吐息が再びゼンの口元に運ばれ始めた。


 ゼンは咄嗟に顔を横に向けた。が、もはや誰にも止められない暴走機関車にはそんなことをお見通しなのかゼンは無駄な抵抗を先読みして両手がゼンの両頬を押さえつける。


「だ、だめ.....」








‶ドガーン!″







 轟音が廊下に鳴り響いた。


「手を離しなさい...泥棒猫」


 このとき、会ってはいけない2人が対峙した瞬間であった。


「ま、マリーさん!」


「はぁん、愛しのゼン様♡ 妻である私がお迎えに上がりました♪」


 すると、マリーはゼンに馬乗りになっていたシェルをどかして選手交代をした。


「きゃっ!」


 それと同時に人を蹴り飛ばすという聖女らしからぬ行動を見せつけた。


「やっと会えました.....」


「すいません、心配をおかけして」


「そうだよ、ゼンがいきなりいなくなるから私たち心配したんだよ?」


 剣姫レイが安堵しきった顔で言ってきた。しかし、その表情には呆れている顔も見られた。


「おかえりだなゼン殿」


「だたいま? ですかね」


 数日ぶりの再会が果たされた。しかし、一番するべき懸念点がまだ処理されていないままであった。


「ゼン様から離れろ.....」


 のしりと起き上がったシェルが今までにないほど恐ろしい殺気を『崋山烈火』のメンバー、いやマリーに向けていた。


「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」


 シェルはまるで呪文のように殺害予告を堂々としていた。しかし、マリーの行為がさらに油に火を注ぎ始める。


‶ちゅっ″


 そう、シェルも先ほどしたキスだ。シェルの怒りボルテージが限界値を突破した。







【古代魔法 絶風刃】







 シェルが古代魔法を詠唱すると、少しの風が吹き流れた。そして、廊下にあるあらゆるものが綺麗に真っ二つにされ始めた。


「なっ!」


 ゼンは驚きを隠せなかった。ゼンの知るシェルはか弱い女性だったのだ。しかし、古代魔法をいとも簡単に打っているだ。古代魔法はエルフ全員が使用できるわけではない。優秀なものにしか習得できないものであるため、古代魔法を使えるシェルは自動的に強者に分類されるのだ。


 しかし、人族でNo.1の強さを誇る『崋山烈火』はこの程度では驚きもしなかった。







【神級 (へき)






 賢者エリが魔障壁を高速で展開、すると魔障壁以外の廊下がまるで豆腐のようにぱっくりと切られていた。


「石の壁がこんな簡単に.....」


 ゼンは、今までに見たことのないシェルの殺気にも驚いたが、シェルの繰り出す古代魔法にも度肝を抜かれた。


「ゼン様から離れろ。私の愛しのゼン様から離れろ」


「何が『私の愛しのゼン様』ですか! ゼン様は貴方みたいな暴力女ではなく、私みたいな清楚で御淑やかな女性がタイプなんですぅ」


「え.....そ、そうなの?」


 シェルはぷるぷると体を小刻みに揺らしながら、目には決壊寸前の涙が溜まっていた。


「いや、違いますからね! 確かに暴力は好きではないですけど、シェルさんは俺に暴力していないじゃないですか!」


 ゼンの一言で、シェルの表情は次第に変貌を遂げ始め、最後には万弁の笑みを浮かべていた。


 これで解決、そう誰もが思っていたがそんなのは幻想に過ぎなかった。





 エルフの里には、ゼンの仲間として『崋山烈火』のメンバーを紹介しこの騒動は幕を閉じた。『崋山烈火』のメンバーは、謝罪の意を込めて、里の復旧作業を手伝い、1日でもとに姿に戻った。


 しかし、犬猿の仲とで言おうか、シェルとマリーは毎日喧嘩をしている。


 原因は、そう、ゼンの取り合いだ。


「じゃあ、このシェルがゼン様と婚約するという形でお願いいたします」


「ねぇ、そこのク〇エルフ。私の愛しのゼン様に触れないでくれるかしら?」


「そっくりそのまま返しますよ、ク〇野郎」


 両腕を2人に拘束されながら、ゼンの前を遮る形で罵倒が飛び交っている。


「はぁ、これからどうなるんだろう.....」


 ゼンは不安を胸にしていた。


 



 


 




 


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