第2章 緑山 17話 完成
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「これはすごいな」
「はい、こんな熟練された腕を持つ調合師は滅多にいませんよ」
ゼンのポーション作りの手際の良さなどを見ていた、リロたちにはゼンの調合師としての腕の良さが瞬時に理解できた。
今回の木染症の特効薬は、複雑な手順なのだ。何時間も煎じたり、混ぜたりするものではないが、調合手順を間違えると完成しなくなる。手順さえ覚えれば比較的簡単な部類に入るのだが、この世界でこのポーションを作れたのは、ゼンだけである。
まずは、『黄金リンゴ』の汁を使用するため、汁を絞り出す作業を行う。『黄金リンゴ』なだけに汁も金色をしており、ほのかにリンゴの香りを感じられる。この絞り出した汁をフラスコに入れる。
次に、『ドウモーのミルク』を入れる。『ドウモーのミルク』と『スライムゼリー』を混ぜ合わせる。すると、先ほどまではフラスコ内が金色だったが、混ざることで桃色へと変貌を遂げる。
次に、一番苦労して手に入れた『エゾの長根』をすりおろしたものを投入する。この際に、『聖水』をかけながらすりおろすことで、効力ダウンを防ぐことができる。
そして、ゼンが牢屋に捕まる前に手に入れた『善キノコ』を投入する。このキノコにはよく有害な寄生虫が存在するため、唯一煎じる必要がある。これ工程を忘れると、治るどころではなく、寄生虫によって逆に悪化するのがオチである。
「これで完成ですか?」
「いえ、あと1つ必要な素材があります」
「まだなのか?」
ゼンは最後にあるものを投入することで、このポーションは完成すると2人に言った。
それは毎度お馴染みの治療羊であった。
『崋山烈火』のときには、『治療羊の糞』が大活躍をし彼女らを救えたが、今回は糞を使用しない。木染症はすごく厄介な病気であるため、もっと効力のあるものを使用しなければならないため、『治療羊の涙』を加える必要がある。
『治療羊の涙』はゼンですら滅多に手に入れることができない代物である。ましては、他の人では一生手に入れることが出来ないであろう代物だ。
しかし、エルフ族は緑山に住んでいるため、ごく稀に治療羊を見かけるのだ。だから、ゼンがカバンから取り出したものが、『治療羊の涙』だとすぐに理解した。
「ゼン...それって」
「『治療羊の涙』ですか?」
「は、はい」
「こんな貴重なものをどうして.....?」
「................................」
ゼンは治療羊に関して、話すことはできなかった。ゼンは治療羊の存在自体が国を動かすほどのものだと最近になって知り、治療羊がいると知れば国同士が躍起になって奪い合うはずだと踏んだゼンは、治療羊の身の安全のために他人には話さないと決めたのだ。一緒に住んでいるマリーだけは、治療羊のことを知っている。
「言えないなら、それでいい」
リロはいつもの荒い言葉遣いとは、打って変わって優しく包み込むような言葉遣いに変わっていた。
「しかし、そんな貴重なものを使用してもいいのですか?」
「はい、治すためになら惜しみません」
「っ..........! ありがとうございます!」
「ありがとう」
リロとウヨは深く深く頭を下げた。ゼンにとっては見知らぬ人、ましてはエルフ族という人族との険悪な関係にある種族に国宝級の素材である『治療羊の涙』を惜しまず使う、この優しき心にリロたちは感激した。
ゼンは『治療羊の涙』をフラスコに入れ、蓋をしてよく振った。すると、みるみるうちにフラスコ内にあった液体が少なくなっていき、最後には一口サイズの液体にまで凝縮された。
「これが特効薬......」
「では、これを持っていきましょう」
「わかった」
リロはゼンを牢屋から出し、シェルの元へと案内しようとしたそのとき、
「貴様ら!! 何をしている!!!」
豪華さが際立つ衣服を着用した、明らかにこの里の重鎮である人物が出口にいた。
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