第2章 緑山 16話 素材採取②
遅れてすいません...
「ふぅ~、やっとここまで掘れたな」
「まだまだですね...」
「はい...」
ドウモーのミルクを採取した後すぐに、ゼンたちはエゾの長根を掘り始めた。しかし暗闇で静寂だった森が既に日を跨いでおり、鳥の囀りが森に響き始めていた。
「2日目に入ったか.....」
リロたちはなるべく早く素材を集め、ポーションをシェル様に届けたかった。そのためには、急いでエゾの長根を掘り出す必要があるのだが、その焦りが原因で現在5本目に取り掛かっている。
「水が足りないな」
「相当使いましたね」
なぜ水が必要なのか。それはエゾの長根の掘方が関係している。エゾの長根の掘方は、まず大きく穴を掘りだし、エゾの長根の末端まで掘り出す。そこから水をかけながら折らないように少しずつ少しずつ長根エゾについた土を落としていくという気の遠くなるような作業を繰り返す。この半永続的な作業がゼンたちの体力をどんどん吸い取っていった。
しかし、そうも言っていられない状況下に置かれているゼンたちは、休憩を入れずに作業を黙々と行った。そして、
「やったぁ!!」
「やっと取り出せましたね!」
リロがやっとの思いでエゾの長根を折らずに取り出せた。しかし、外は既に暗くなりつつあり、夜の静けさが訪れようとしていた。
「あと、必要なのは、『善キノコ』と『スライムゼリー』だな?」
「はい。でも、『善キノコ』は自分のカバンの中に入っているので、そこから取るのが手っ取り早いです」
「そうか、わかった」
「『スライムゼリー』も里の方が簡単に手に入りますしね」
「じゃあ、一旦里に戻ってゼンのカバンと『スライムゼリー』を取ってこよう」
「わかりました」
「はい」
ゼンたちは実に2日ぶりに里へと帰還した。ゼンは一応捕虜者という身分であるため、誰にも見つからないように牢屋についた。
そして、ウヨとリロはゼンのカバンと『スライムゼリー』を取りに行くために、牢屋を後にした。数分後、
「ゼン、持ってきたぞ」
「ありがとうございます」
リロとウヨは、ゼンのカバンと『スライムゼリー』を持ってきていた。
「ここからは俺の仕事です」
「あぁ、頼んだぞ!」
「お願いします」
「はい」
ゼンはカバンの中にはいつも器具を入れているため、いつでも、どこでもポーション作りができる環境を作れるのだ。
現在は他のエルフたちに怪しまれないようにするために牢屋の中でポーションを作っている。この異様な光景にリロとウヨは混乱していた。
「こんな場所でいいのか?」
「はい、大丈夫です」
「そうか.....」
しかし、これから行われるポーション作りに牢屋という悲惨な環境の中でもゼンの手際よく出来る確かな腕にリロとウヨは魅了されていった。
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