第2章 緑山 15話 素材採取①
ブックマークありがとうございます! 特効薬の採取編です! ゼンの身長は160㎝後半に設定しております!
「とりあえず『黄金リンゴ』から探すか」
「そうですね」
「はい」
ゼンたちは最初に黄金リンゴを探すことにした。黄金リンゴはリンゴが実る木には、実る可能性は十二分にある。しかし、その可能性は小数点以下である。
ここ緑山でも、数は少ない。だが、緑山だからこその見つける方法をエルフ族は知っていた。
「これを使うんだ」
「これですか!?」
リロはある道具をゼンに見せた。それはどこにでもありふれている道具であり、裏を返された気分になるものでもあった。
それは、
「コンパスですか?」
「あぁ」
リロ曰く、黄金リンゴはなぜか磁場を発生させているらしく、コンパスも持った状態で黄金リンゴが実る木に近づくと、コンパスの針が急に暴れだすのである。それを活用して黄金リンゴを素早く採取するという作戦である。
「さすがエルフ族ですね...」
「いえいえ、私たちも最近知ったことですから」
「じゃあ、行くぞ」
先頭のリロが片手にコンパスを持ちながら、ゼン・ウヨを先導した。
◇
探索して数時間経って、日が傾き始めたころ
「む! コンパスが狂い始めたぞ」
「では、ここの近くにあるということですね?」
「あぁ」
「ここからはここ周辺を手分けして探しましょう」
「「はい(おう)」」
ウヨの提案により3人で手分けして周辺の捜索に当たった。
「ありました!」
ゼンが軽く20メートルを超す木に光っていて一際目立つリンゴを見つけた。
(でも、この高さではどうにも....)
ゼンは諦め半分で他に当たろうとしたが、その必要はなかった。
「ほいよっと」
ゼンの悩みなどが意味をなさず、リロは軽くジャンプをしてあっさりと黄金リンゴを取った。
「これで1つ目だな」
「はい.........」
「おい、どうした? 具合でも悪くなったか!?」
((いやいや、あんたのせいだよ))
内心ではそう思っていたゼンとウヨであった。
◇
ゼンたちの次のターゲットはドウモーのミルクである。
「ドウモー発見しました」
ドウモーは夜行性であり、夜は獰猛な時間帯である。ドウモーは夜と昼とで取るミルクの効力には大きな差があるのだ。だから、現在夜であるこの時間にゼンたちはミルクを採取しようと決意した。
しかし、夜のドウモーは獰猛であるため、ミルクを採取するのは凄腕冒険者ですら、至難な業である。ゼンはいかにドウモーを傷つけずにミルクを採取できるかを考えていて、最近になって発見した方法があった。
「青色の布?」
ゼンが取り出したのは、ゼンの腰当たりまである大きな青色の布であった。牛というのは、赤色に興奮して突進してくるのが一般常識であり、多くの冒険者は赤色の布を使用して興奮させて木に角を刺させ、その間にミルクを採取するという方法を使用している。この行為は、ドウモーを傷つけるだけではなく、自分への危険性が拭えない方法である。
しかし、ゼンはあえて精神安定を促す色でもある青色をチョイスしたのである。これを目にしたドウモーは精神だけが安定して大人しくなる。そして、ミルクの性質は落ちないという究極なコンビネーションをゼンは発見してしまったのだ。
「本当に大丈夫なんですか?」
「はい、信じてください」
‶モォォォォオオオオオオオオオオオ!″
ドウモーの激しい雄たけびが静寂な夜の緑山に響き渡った。そして、突進してくるドウモーに対して、ゼンは青色の布をドウモーの目の前で大きく広げた。すると、
‶もぉぉう″
先ほどまでのドウモーからは想像できないほど大人しく、さらに声も可愛らしくなっていた。
「嘘だろ...」
「凄いですね」
今置かれているこの状況を信じられないと言わんばかりに動けないリロとウヨであった。
「今ですよ、採取をお願いします」
「あ、あぁ」
ゼンに催促され、言われるがままにリロとウヨはドウモーの乳からミルクを採取した。
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