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第1章 出会い 11話 告白

ブックマーク10000ありがとうございます!! これからもじゃんじゃんあげます!! 誤字チェックありがとうございます!!

「....................」


「「「「....................」」」」


 今現在、ゼンとマリーたちは『シキノコ』の採取に来ている。ギルドでのガンとの騒動があり、気まずい雰囲気がずっと続いていた。


「あのぉ、ゼン様?」


「は、はい!」


「これからどこへ向かうのですか?」


 これから採取する『シキノコ』というものは、生える場所と季節が不定期であり、入手困難な品物として知られている。ゼンはそれがいっぱいなっている場所をしっているというのだ。


緑山(リョクザン)です」


「えぇええええ!! 緑山ですか!?」


「ゼン殿それはホントか!?」


「うそ........?」


「緑山なんて知ってる人いるの!?」


 彼女たちは今までにないほど驚いていた。原因は、ゼンが言っていた『緑山』だ。『緑山』とは、神話とされている山である。緑豊かな山であり、キノコや珍しい植物がいっぱいに広がっている山だ。


 そんな山をなぜゼンが知っているのか。それは毎度お世話になっている治療羊のおかげだ。『崋山烈火』のメンバー全員を助けられたのも、治療羊のおかげであるし、色々とゼンを助けてくれるのだ。そして、この間もゼンの裾を引っ張りながら『緑山』を案内してくれたのだ。


 ゼンは最初は目から火が出るような衝撃であったが、今では『緑山』の常連客である。


「はい、知っています」


「ゼン様はすごい人です!」


「....................」


 しかし、その場には先ほどのまでの気まずい雰囲気が再び流れていた。


「ゼン殿、何か私たちに言いたいことがあるよね?」


「い、いえ...大丈夫です」


「ゼン様?」


「言ってほしい........」


 ゼンは首をふるふると横に振った。しかし、彼女たちも食い下がらなかった。


「話してください。お願いします」


 頭を下げるマリーに思わずゼンは頭を上げさせる。そして、重い口をゆっくりと開けた。


「何で皆さんがそこまで俺に尽くしてくれるかがわからないんです......」


「それは命の—————————————」


「黙っててレイ」


 リンがレイの口を封じた。


「俺は一回の命を助けたまでです。でも、皆さんは今までに何百、何千もの命を助けていますよね? 昔との対応も違うし...正直戸惑っているんです」


 ゼンと彼女たちとの間には数秒の沈黙が流れた。しかし、その沈黙もマリーによって破られた。


「私はゼン様のことが好きなんだと思います」


「なっ!?」


「図々しいですよね...ゼン様に暴言をあんなに吐いてたのに...」


 マリーは続けて言う。


「助けてもらったときに自分のやってしまったことの重大さに気づいたんです。ほんとバカですよね」


「だから、ゼン様に近づくべきではないとも思ったんです」


「でも...それでもゼン様の近くにいたかった」


「加護の契約の話をしたときは、まだ好きという気持ちがよくわかりませんでした」


「でも、日を共にしていくうちに、ゼン様に対するモヤモヤした感情は、好きという感情だと気付きました」


 『崋山烈火』の他のメンバーはマリーがゼンが好きだという感情にはとっくに気づいていた。逆に、なぜマリー自身が気がつかなかったのかが不思議でしょうがなかった。


「私はまだゼン様の横に立てるような立派な人間ではありません。ですが、ゼン様の横に立てるような立派な人間になりたいです」


「そ、そんな俺は立派な人間じゃないし...」


 『崋山烈火』の一同はゼンほどの良人を見たことがなかった。彼女たちは強くなりすぎたことで最も重要なことを忘れてしまっていた。それは、どんな人でも助けることである。これは当たり前のことである。それを再認識させたのは、他の誰でもないゼンであった。


「私たちはゼン様のようになりたいと、この数週間をともに過ごしてきて思いました」


「私も........」


「私もだわ!」


「私もだな」


「だからこそ、これからもゼン様とともに過ごしたいのです」


「お、俺も...手伝ってはほしい...です。でも、本当にいいんですか? 俺、Eランクですし...その、皆さんの評判とかが...」


 ゼンはランクの低い自分と一緒にいると、『崋山烈火』の株が下がってしまうのではないかと危惧していた。


「評判とか関係ないな」


「そう思う........」


「私はゼンを目指しているんだから、株なんてどうでもいいの!」


「私たちをゼン様とともにいることを許してくれますか?」


 彼女たちは頭を下げた。


「こちらこそよろしくお願いします」


 ゼンも同じく頭を下げた。社交辞令みたいであったこの行為に、ゼンだけではなく、彼女たちも笑っていた。








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