復讐?or服従?『アリスト王国編』
「...ロ.....ロ.....」
「ん...」
「ゼロ...?ゼロ?」
「なんで泣いてるの...?」
「一人で無茶するからじゃない...」
「そおだったね...僕の痛みはゼロにも伝わるんだった。痛い思いさせてごめんね?」
「違う...そうじゃないの...ゼロと離れ離れになるのが嫌だったの...守ってあげられないのが嫌だったの...」
「ごめんね。」
僕はゆっくり身体を起こすと目の前にいるゼロを左手で引き寄せた。
「ゼロも初めて会った時よりすごい女の子みたいになったね」
「それはゼロが望んだから...頑張ってる。」
「頑張らなくてもいーんだよ?」
「私がそうしたい。」
「ルナもカリスもみんな元気?」
「ルナは相変わらず...ただカリスがすごい心配してる...1週間ずっとゼロから離れない。」
「1週間僕寝ちゃってるんだ...起きる前に記憶引き継ぐね。」
あの後僕が意識を失い結界と抑えていた人間の拘束がとけた。
1番に動いたのがカリスだった。
僕の方に走り僕を呼びかけていた。泣きながら。
その間に学院長が魔法で飛んで詠唱を始めた。
生徒会長も詠唱をしてるが、学院長の方が早かった。
だが学院長の魔法は何も起きなかった。
カリスの右目から赤い血が流れる。
生徒会長は生徒達に光の障壁をはっていた。
学院長がさらに詠唱を始めた時カリスに異変が起きた。
赤い血から青い血に変わり右目が蒼く輝く。
カリスが魔剣ダーインスレイブを握ると黒い稲妻がカリスを包み込んだ。
学院長がカリスに魔法を打ち込むが黒い稲妻によって消えてなくなる。
同時に魔剣から高い音が鳴り響きそれと同時にカリスを包む稲妻の範囲が広がっていく。
カリスが目にも止まらぬ速さで剣を一振りすると学院長の両足が消えてなくなった。さらに後ろの壁も剣筋と同じ形でなくなり空までも断ち切った。
黒い稲妻が光の障壁を呑み込んでいくと同時にゼロを抱えたゼロがカリスに近づいていく。
黒い稲妻はゼロを呑み込もうとするが逆にゼロに呑み込まれていく。
カリスの目の前までゼロは歩くとそっとゼロを下におろした。
「こちら側に...来てはだめ...」
ゼロは両手でカリスを優しく抱くと稲妻は一瞬にしてなくなり、魔剣ダーインスレイブは輝きを失い地面に落ちた。
カリスもそのまま抱き抱えられたまま眠りに落ちた。
学院長は隙をついて逃げたらしく、残されたのは学院長の足首2つだけであった。
障壁で守られていた生徒達は全員無事だったが、障壁で守られていなかった学院長側の先生達は一人だけ残して黒い稲妻に呑み込まれた。
生徒会長は残された一人を拘束すると、ゼロの方に近寄る。
「色々話をしたいけど今は時間が惜しいわ。私達全員ニリール王国まで転移させてもらえないかしら。その子の治療もできるわ。」
ゼロはコクりと頷くとルナを呼ぶ。
「ありがとう。その子が目を覚ましたらゆっくりお話しましょう。」
ルナは一瞬生徒会長を睨んだが何も言わずに両翼を最大限広げそしてニリール王国まで転移した。
「なるほどね...」
僕はゼロを強く抱きしめた。
「ありがと...カリスの覚醒を止めてくれて...」
「ん...」
「ゼロ...いつもありがと。」
「ん...」
「僕とゼロはずっと一緒だよ」
「ん...」
「僕はゼロを裏切らない」
「ん...知ってる...」
「心まで通じてるからゼロの事も全部知ってる。だけど...口に出して言いたい。僕は」
「私は」
「「きっと君が好き」」
その時お互いがお互いを強く抱きしめた。
「さてと...そろそろ起きようかな。」
「ルナがうるさいからもう少しこのままがいい。」
「あはは...そうだなぁ...僕ね。今とても迷ってる。」
「知ってる。」
「何が正しいのかな?」
「どんな道でもずっと一緒。」
「決めるのはやっぱり僕?」
「ん...」
「そろそろあっち側に戻るね」
「ん。」
僕はその場でゆっくり目をつむり、またゆっくり目を開けた。
そこにはゼロとカリスとルナがいた。
カリスは僕のお腹の上に頭をのせて寝ていた。
「おはよ」
ルナが小声で話しかけてきたので僕は頷いた。
(おはよ。少し用事済ましてくる。)
ゼロは何も言わずに僕を抱きしめキスをし僕の中に入った。
(行ってらっしゃい)
ルナの手を振る姿を背に僕は転移魔法を使った。
『?????の館』
コツコツコツ
誰も歩けないはずの場所に足音がなる。
コツコツコツ
コツコツコツ。
「この俺様が見えないだと?!」
コツコツコツ。
「見る必要はない。」
背後から声がするが動く事ができない。
「お前はどの神だ?!」
「僕はゼロ。ただのゼロだ。」
「始まりの終焉」
『アリスト山脈』
「くそっ。くそっ。くそ。なんでこんな事になった?!俺は神に選ばれた人間じゃなかったのか??いてえ。いてえよ。なんで足が治んねーんだよ」
なんとか逃げきった学院長ウルフはアジトでひたすら回復魔法を放っていた。
コツコツコツ
「誰だ???」
コツコツコツ
学院長ウルフは前に杖を向ける。
「お前は...あの時のウサギ野郎か!!!」
「お前は僕を怒らせた。」
「俺は神に選ばれた人間だぞ?!俺に手をだしたらあの方が飛んでくるぞ?!」
「お前の神とやらはこれか?」
学院長の目の前に何かが転がる。
「た、た、タナトス様ああああ」
学院長の目の前に生首が転がっていた。
コツコツコツ
「く、くるなくるなくるなくるなあああ」
「一つ良いことを教えてやる。神は何人もいない。ただの一人だ。」
「そんな、ば」
「始まりの終焉」
「あら?意外と早かったわね。」
「ちょっと散歩してただけだからね。」
「おかえり」
「ただいま」
僕は笑顔で返すとルナも笑顔になった。
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