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僕の命はキミだけの物  作者: ユメのユメ
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復讐という名の冒険『アリスト王国編』

「「会長ーーー」」


「そ...そんなぁ...」

生徒会長が消えた場所には金色と銀色の髪が混じった小さな女の子が立っていた。

無表情だがその瞳は計り知れない程深い闇に引き込まれるような瞳をしていた。


「クレア私何も出来なかった...」

「落ち着いて。会長のことを信じるのよ」

「あんな化け物相手にどうやって落ち着けっていうの?!魔法も使えない。会長も死んじゃった。もう駄目じゃない!!」

バシッ。クレアの手の平がエレナの頬に勢いよく振り抜かれる。

「しっかりしなさい。会長は一歩も引かなかったわ!それに会長が死んだのかなんてわからないじゃない。憶測する暇あるなら今を見てよ!!」

「ごめん...なさい。」

「私もひっぱたいてごめんなさい。ただ落ち着いて欲しかったの。ねぇ?今エレナにはこの状況どう見える?」

「少なくても敵は三人...先生達と学院長も味方って考えはできないから12人。ただ幸いなのが学院長と先生達は動けないって事。」

「そうね。でも最悪なのが味方も動けないって事よ。私達とロレン。それにクルミの協力も必要ね。」

「クルミなんかあてになるんですか??あの何考えてるかわからないようなやつ。」

「会長が目つけた人なんだから、今は頼りになるでしょ。今は逃げる手段を考えるのに必要よ。」

クレアは生徒達の方に歩いていく。

クレアの歩く方にいた生徒達はザザザっと後ろに下がり1本の道が出来ていた。

その先にはフードをかぶり眼鏡をかけた子が座りながら本を読んでいた。

クレアは目の前に立つと拳を強く握りながら彼女を見下ろす。

そしてハァってため息がでた後言葉を口にした。

「クルミ。お願いが」

「嫌です。」

「まだ話してないんだけど?」

「私は一人が好きなの。私の世界に入らないで」

「クルミ。この状況分かってて言ってるの?!」

クルミは本を閉じそこから立ち上がるとクレアをにらみつける。

「クルミ...今だけでいいから協力してくれないかしら?」

「協力したら謝って。それと二度と私の世界に入らないって誓って?」

「分かったわ。」

クルミはエレナ達の方に歩き出した。

「契約成立ね。あ、それと学園前に新しいクレープ屋さんできたの。そこのクレープ食べたいな!」

クルミはクレアの方に振り返ると子供みたいな無邪気な笑顔を向けた。

「私やっぱり...クルミの事分からないわ」

歩き出すクルミの後をクレアもついていくように歩きだしエレナと合流した。

「んでどうするの?」

「まずはあの魔時計をなんとかしたいわ。ただ魔王の存在がネックね...それにあの禍禍しい剣も持ったあの子。ずっと動いてないのよ。不気味だわ。しかも会長を消した女の子もやばそうだし...状況としては最悪ね...」

「魔法が使えればなぁ...」

「魔法使えたらなんとかなるの?」

「クルミ?なんか良い方法あるのかしら?」

「魔王とか私がやるわ。だから後は任せる。私の邪魔だけはしないで。」

「危険よそれは。」

「私が負けるなんてあり得ない。むしろ負けてみたいわ。」

「じゃあ魔王はクルミに任せるわね。ただ無茶はしないで。エレナは魔法が使えるようになったら魔法をお願い。詠唱時間は私が稼ぐから。」

「いくわよ。」

クルミは眼鏡を外し下に落とした。

だが落下途中で空中に眼鏡が止まる。

正確には刻が止まったのであった。

魔時計のカウントも止まり今動けるのは敵三人と私達だけであった。

「クルミ...これは...?」

「私の世界にいらっしゃい。」

クルミは笑みを浮かべながら魔王の方に走り出す。

そして何もない空間から1本の槍を取り出した。

「なっ。聖槍ロンギヌス?!クルミどゆこと??」

クルミは魔王に斬りかかる。

だが魔王は戦うどころかこちらを振り向く事すらしない。

「終わりよ」

だが振り抜いた槍は1本の剣に弾かれてしまう。

クルミはそのままバックステップで下がった。

魔王の隣に禍禍しい剣を持った少女カリスが立っていた。

「あなたたちはただ立っているだけかしら?」

クルミの言葉にエレナとクレアは詠唱を始めた。

クルミはロンギヌスの槍をカリスに投げつけた。

目にも止まらぬ速さで加速するロンギヌスの槍であったが、カリスの剣の一振りでロンギヌスの槍は弾かれ地面に突き刺さる。

「キミ面白いね」

突き刺さったはずのロンギヌスの槍が消えクルミの真上から現れた。

同時に魔王を中心に蒼い火柱が上がった。

周囲は熱風に包まれる。

クレアは召喚魔法で不死鳥フェニックスを召喚させていたのだった。

風の刃(ウィンドカッター)

エレナの魔法で魔時計が斬り刻まれ魔時計は消えてなくなる。

「やったわ。」

「ルナお姉ちゃん??」

初めてカリスが声をあげた。

エレナとクレアは笑みを浮かべクルミはカリスを鋭い眼差しで見つめる。

「カリスどうした??」

その声にエレナとクレアの笑みはなくなりクルミは逆に笑みを浮かべる。

火柱の中から無表情で魔王が出てきたのだ。

「何かしたか?」

「無傷ですって?!フェニックスっっ!」

その声にフェニックスは魔王の方に高速で飛びかかると同時にクルミはカリスにロンギヌスの槍を投げつける。

フェニックスはクレアの切り札であった。

だが今まで動かなかった少女が初めて動いた。

少女は左手をあげただけであった。

たったそれだけ。それだけなのにフェニックスは消えロンギヌスの槍は半分呑み込まれ勢いをなくしその場におちる。

カララーンとロンギヌスの槍が落ちる音が響きわたり、静寂が訪れた。

何が起こったのか、クレア達は全く分からなかったのだ。

「そんな...フェニックスが消えるなんてあり得ないわ!?」

落ちたロンギヌスが消えクルミの目の前に現れるが、無惨にも呑み込まれた先端等は消えてなくなり棒だけになった鉄の塊にクルミもまた目を丸くした。

さらに追い打ちをかけるかのようにカリスが剣を縦に振るうと空間に亀裂が入り止まっていた刻が動き出した。

「私の世界が...ハハハッ...」

クルミとクレアは終わったとばかりに膝をつく。

「こんなの無理よ...」

クレアはいつの間にか涙を流していた。

クルミも唇を噛み締め血が垂れていた。

「クレア!!クルミ!!しっかりして!!私達が諦めてたら終わりよ?!それにあの子口から血流してるわ!!きっとあれを使うには深刻なダメージがあるのよ!」

ゼロは確かに血を流していた。だがそれは別の意味であった事を彼女達は知るよしもなかった。

「ルナ。ゼロが危ない。」

その女の子は初めて口にした言葉。

透き通るような小さな声だったがその場に響きわたった。

ゼロは寝ている学院長に近づき左手を向けた。

「ひっ...た、助けて...誰か俺を助けてくれえええ」

学院長の声が響きわたるが誰一人動ける者はいなかった。

動こうとすらしなかった。

突如その場全体が白い光に包まれた。

その白い光の元には男の子を抱いた生徒会長の姿があった。

生徒会長達が現れたと同時に結界が消え、動かなかった学院長、先生達も身体を起こすがそれだけだった。

動けるが動けなかったのだ。

コツコツコツとゆっくり生徒会長達は小さな女の子の方に歩き出す。

男の子を抱いた生徒会長は女の子の前にゆっくりしゃがみ男の子を引き渡した。

生徒会長は優しい笑顔を女の子に向けた。




「後は私に任せて」

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