復讐という名の冒険『アリスト王国編』
生徒会長は無事だったが真実を目の当たりにする事になる。
「ここは...何処なの?それになんなのこの匂い...血生臭いわ」
「ここはさっき見せた地下施設だよ」
その声に振り返るとそこには先程の小さな男の子がちょこんと座っていた。
「貴方は誰なの?どうして私だけここにいるの?!みんなはどうなったの?!」
「そんな警戒しなくても大丈夫...みんなはまだ無事だよ?ここに連れてきた理由は真実を見せたかったからさ。」
「貴方のいうことは真実だって理解したわ。だけどね。魔王に肩入れするつもりなんてさらさらないわよ。殺すなら殺せばいいじゃない!!」
「勘違いしないでほしいな...僕は無実な人間を殺したくはないんだ。」
「ふぇ?」
いきなりの発言に変な声をあげてしまった生徒会長であった。
「殺そうと思えばいつだって簡単に殺す事が出来るよ。今生きてるのが証拠さ。」
「何を企んでるの...?」
「そういえば自己紹介はまだだったね。」
少年はゆっくり立ち上がる。
「僕の名前はゼロ。そしてあの子もゼロ。」
「あの子?貴方たちは三人じゃなかったかしら?」
「僕の中にあの子がいるだけだよ。今は僕の中にあの子はいない。だから僕を殺す事は簡単だよ?ただ殺せればだけどね?」
少年はにっこりと笑った。
「貴方たちは魔王と組んで何をするつもりなのかしら?!」
「じゃあ逆に聞くけどキミ達が呼んでる魔王ってどんな存在なんだい?どうやって生まれてきたのか知ってるのかい?」
「そんなの知ってるわよ!魔王は勝手に生まれて暴れまわるのよっ!残虐非道な行為をでたらめにして暴れまわるから魔王なんじゃない!」
「ハッハッハッ。面白いね」
「何が面白いのよ?」
「そもそも勝手に生まれるってあり得る事なのかい?何もない場所で何の理由も無く生まれる。現実的にあり得ると思うかい?それに残虐非道...あの女の子が理由もなく暴れるなんてあり得ないでしょ?命を狙われたら身を守るための行動をしないかい?」
「何が言いたいのよ?!」
「根本的から間違ってるのさ!!!魔王なんていない!!!僕達は作られたのさ。人間の手によって。僕も、ゼロも、ルナも、カリスも人間の手によって作られたのさ。元々はみんな人間だ!!!」
怒り狂う怒声に生徒会長は言葉を口に出せなかった。
「人間の手によって作られ失敗作として捨てられた。それが僕達だ!!!今からキミにその真実を見せてあげる。ただ僕は今は一人だ。だから長い時間これは使えない...肉体が滅んじゃうから...それにキミもただの人間だ。処理能力が間に合う用に調整をするのはさらに負担がかかる。」
少年はゆっくり会長の方に歩いてくる。
「ち、近づかないでっ!!」
「大丈夫...安心して...?僕は嘘はつかない...」
少年は生徒会長の背中に手を回してお腹に耳を当てる。
「始まりの記憶」
「ここは...?」
生徒会長のまわりに蒼い結晶が散りばめられていた。
「ここは僕の得た記憶の世界だよ。今から必要な部分だけキミに見せていく。」
「酷い...」
僕の記憶の中に生徒会長が現れる。
「僕は人間だった。今キミが見ている物が僕の生きていた日常だ。」
「こんなの...酷すぎるわ...」
「ここであの子に出会ったんだ。あの子に出会わなければ今の僕はいなかった。」
「...」
「これはルナの記憶だよ。ルナに魔法をかけてもらった時にルナの記憶も流れてきたんだ。」
「そんなっ!!王国そのものが首謀者だっていうの?!私はそんな国に生まれてきたの?!」
「泣く事はないじゃないか。辛いのはルナだ。」
「あまりにも酷すぎるわ...」
「これが真魔王って呼ばれてる子の正体だよ。」
「本当の敵は人間だったの?」
「これが現実だ。あの子の記憶も見せたかったけど...僕にはもう限界だ...」
気がつくと目の前の少年が倒れこんでいた。
「大丈夫???」
血だらけの少年を抱きかかえ口の周りの血を袖で拭いていく。
「はぁはぁはぁ...僕ね7歳だからあの子がいないと身体が全くついていけないガハッ...んだぁ..はぁはぁ」
「どうして私なんかに無理したの?!私は貴方を殺そうとしたのよ?」
生徒会長が涙を流している頬に血がついた男の子の小さな手が優しく触れる。
「はぁはぁはぁ...どうして...かな?はぁはぁ...僕にもわからなぃゃ...ガハッゴホッ...はぁはぁはぁ...ただね。キミが誰かを守ろうとする純粋な殺意の目にはぁはぁ...惹かれたのかもしれなぃや...」
「キミはどうして殺そうとするの?」
「僕は...はぁはぁはぁ...許せないだけだょ...ゼロを。ルナを。カリスを。辛い目に合わせた奴らを...はぁはぁ...そしてそれを見ても何もしない神を...」
「私...決めたわ。貴方たちの味方になる。だけどね?貴方たちに人殺しなんてもうさせないわ!!私がなんとかする!!」
「ぁははっ..味方なんて考えてなかったよ..ゴホッゴボッ...はぁはぁはぁ...でもね...ただの人間に何が出来るんだい?はぁはぁはぁ」
「今はまだわからないわ...だけど絶対私がなんとかする!ずっと貴方たちの傍にいる。だから傍にいる間は絶対私が人殺しなんてさせないんだから!!」
「キミができなかったら僕は止まらないからね。少しはぁはぁ...キミに付き合ってあげる...」
「そうならないように頑張るわ。」
「ぁははっ..はぁはぁ...でもごめんね...すごい苦しくて...僕死んじゃうのかな...はぁはぁ...」
「まだ頑張って!絶対絶対今死んじゃだめ!!私が死なせないわ!!!」
「ぁりがと...」
僕は転移魔法で戻るとそこで僕の意識は完全に無くなった。
つまらないお話だと思いますが、それでも読んで頂けているみたいで嬉しいです。
気に入って頂ける作品を作れるように頑張ります。
アリスト王国編まだまだ続きます。