復讐という名の冒険『アリスト王国編』
魔界を消滅させたゼロはルナと共にアリスト王国に転移する。
それとは裏腹に魔界消滅に気付いた者達がいるのだが、そんなことはまだゼロ達には気付く事も無かった。
むしろ気付いたとこでゼロ達には関係ないのかもしれない。
アリスト王国編スタートです。
『異次元の間』
「奴らが動きだしたか。」
「珍しい事もあるのねなのね」
「名無しの王が動くのは異例だな。
魔界消滅は真魔王が消滅したって事で間違いないか?」
「真魔王無くして消滅はあり得ないでしょう。
ただ300と52年動きが無かったのに今動き出す理由がわからい。
それに名無しの王の存在までも把握できていない。
警戒はしておくべきかと。」
「えー。めんどいぢゃん!何それ。私ぱす」
「邪魔をするなら殺ればいい。
しばらくは警戒を怠るなよ。
俺の計画は邪魔させない。」
『アリスト王国』
僕は魔界を消した後転移魔法でアリスト王国に転移した。
ゼロは普段は僕の中にいる。
僕自身は7歳ということもあり、世間上は子供であり右手もないため不審者になってしまうので認識阻害魔法をかけている。
ルナは魔王なだけあって世間に認知されてるため、同じく認識阻害魔法をかけている。
周りからは僕達が見えなくなり触れる事すらも適わない。
無意識のうちに避けているのだ。
例えこの状態で魔法を撃たれても魔法自体が僕達を認識できないためとても便利である。
神という存在以外は認識できないだろう。
「右手直さなくてもよかったの?」
「ああ。無くても全く問題ない。
むしろ僕とゼロが出会えた大切な思い出になる。
」
(...)
「そう。一つ聞いていいかしら?」
「ん?」
「なんで目的の場所に飛ばずに歩いているのかしら?」
「僕は今生きてるって事を実感し」
「....て」
「実感した」
「....けて」
「実感したいんだ。」
「たす...けて」
僕はそのまま右の店の中に入った。
表向きは果物屋だが奥に行くと地下に降りる階段がある。
(助けるの?)
(なんで僕が助けないといけないの?)
(そう...)
「奥になんかあるの?」
「なにかあるといーね」
僕はゆっくり階段を降りる。
階段を降りた先に1枚の鏡があった。
僕はそのまま鏡の中に入っていく。
この鏡は転移魔法を組み込んだマジックアイテムで、転移魔法と違い同じ魔法を組み込んだ同一の鏡を二つ用意しないといけない物だ。
尚且つ形、大きさ、重さ全く同じ鏡を用意しないといけないだけではなく、傷一つついても転移魔法が完成しないという繊細なアイテムであった。
さらに、転移魔法とは違い同じマジックアイテム同士が15メートル以上離れると使えなくなるが、転移魔法自体使える者が魔王クラスではないと使えないため劣化品ではあるが、転移魔法を持てない者には貴重な物だった。
鏡の先に繋がっていたのは建物の地下であった。
この広さを考えると、周囲半径15メートル以内に当たる建物は一つしかない。
「魔法学院だな」
中には檻に入った生き物達がたくさんいた。
「やっぱり助けるの?」
(助ける...?)
僕はルナに笑顔を向けると認識阻害魔法をといた。
すでにこの空間に誰も立ち入れないように結界を張ったからだ。
「たすけて?」
「俺を連れ出してくれえ」
「ここから出してくれ。頼む。」
「金ならいくらでもくれてやる。欲しい物はなんでもやる。俺だけでも逃がしてくれ」
僕はゆっくり一人一人檻に入れられてるのを見てまわる。
「コロスコロスコロスコロスコロス」
一人の檻の前に僕は止まった。
その中には銀色の髪の小さな人間がいた。
右目は失明したのか、瞼に切り傷が見え開いていない。
だが左目は僕の好きな目をしていた。
「誰を殺したいんだい?」
「僕の親を殺した奴等。僕を痛めつけた奴等。」
「殺すって事は殺されるってことだぞ?」
「殺せるなら殺されてもいい。」
「よし。よく分かった。」
僕はその子の入ってる檻を魔法で破壊する。
「出してくれてありがとう」
「名前は?」
「カリス」
「カリスか。」
「オリンピア」
僕は魔法を使うと、カリスの前に1本の剣が現れる。
「これは?」
「それは魔剣ダーインスレイブ。僕が召喚した。さぁ剣をもて。」
カリスは迷わずに剣を取る。
剣を握るとカリスの周りに黒いオーラが現れた。
オーラがカリスを包みカリスの怪我を取り除いていく。
そしてカリスの右目も開かれた。
「すごい。痛くない。それに目も見える。力が湧き出てくる」
「...」
「ありがとう」
カリスは涙ながらお礼をした。
「ありがとう?何を勘違いしてるんだ?お前は今から死ぬんだよ。言ったろ?殺す側になるなら同時に殺される側になるんだって。死にたくなければ俺を殺すんだな。」
僕はニヤリと笑う。
カリスは僕をやっと敵と認識したのか睨みつけてきた。
僕はオリンピアで1本の槍を召喚する。
そして槍を掴むと軽く一振りした。
一振りしたと同時にカリスの剣を握っている右腕が宙に舞う。
「どうした?殺すんじゃなかったのか?」
カリスは無言で左手で剣を握る。
右腕の出血は未だに止まっていない。
「弱いやつは所詮弱い」
僕は槍を一振りし剣を握った左腕もとばした。
カリスは尚僕を睨みつけてくる。
口で剣を挟むと僕の方に走りだしてきた。
「ん。合格。」
僕は指をならすとカリスは檻に戻されていた。
幻術をかけていたのだ。
「あ...れ?」
僕は目の前に座るとカリスに
「合格っていったろ?」
と笑顔をかけた。
僕は目の前の檻を破壊してカリスを抱っこして檻からだした。
カリスは抱っこされた瞬間に身体の傷が全て無くなっていく。
そして右目も開かれ僕と目があう。
「勘違いはするなよ?助けたわけではない。ただ復讐は手伝ってやる。強くなるためなら協力しよう。ただ自分の身は自分で守れ。」
「...はぃ...」
涙を流すカリス。
「泣くな。泣いてるは弱みを見せてるのと一緒だ。」
「はい...」
(優しいね。ゼロの心は全部聞こえてるよ...)
(なんのことだかわからない。面白いからそうしただけだ。)
(そうね。うん。そうだわ。楽しくなるわ。)
「さてと。オリンピア」
目の前に魔剣ダーインスレイブが現れる。
「これはカリスの武器だ。カリスの相棒になる。カリスの心に反応して力を引き出すから強くなれ。」
「ありがとうございます...」
「僕はゼロ。そしてこの子はルナだ。仲間だと思わなくていい。むしろ敵と認識して構わない。ただ判断を間違えるなよ。これからしっかり考えて行動してくれ。」
「ルナお姉ちゃんて呼んでくれていーよ?」
ルナはカリスを翼で包み顔をすりすりしてる。
(ゼロ、ルナっていつもこんななん?)
(...くすっ)
「さてと。カリス。その剣を思いっきり真横に振ってくれ。」
カリスはルナの翼からゆっくりでてくると魔剣ダーインスレイブを握った。
「真横に...振るだけでいーの...?」
「ああ。」
カリスは軽く真横に剣を振るうと、カリスが振るった剣先から綺麗な斬撃が飛ぶ。
斬撃が真横にとぶにつれ加速しながら黒い稲妻が走り出した。
稲妻が走る斬撃に触れた物、人、何もかもその斬撃にのみ込まれていく。
厚みにして2.5mmだが、その2.5mmの斬撃が当たった場所は2.5mm分何も無くなっていた。
静寂が5秒程訪れる。
誰も斬られた事に気づかなかったからだ。
檻という物体ですら崩れ無かった。
そして斬られた人達もまだ生きていた。
そして檻が崩れると同時に斬られた人達も絶命した。
「これが殺すって事だ。」
僕が話すとやっと現状を理解出来たのかその場に座りこんだ。
全身が震えている。
「カリスはこれをこれからずっと繰り返していくんだ。
これが復讐って事だぞ。もう戻れない。」
カリスは泣きそうになりながらも必死に耐えている。
「でもたまたま運がよかったみたいだ。
生きている人達もいるぞ。」
「まぁまぁ口が上手いこと。ァハハ」
「悪い人達は死んじゃうんだ。でも悪い事をしてない人達は死ぬ道理がないんだ。だから助かったのかもね。」
僕は記憶を読み取り結界を特定の人達にはっていたのだ。
「カリス。復讐を諦めるなら今だぞ」
「ん...全然だいじょうぶ...私は迷わない。」
「そうか。」
僕は何も言わずに生きている人達を回復させ転移魔法で飛ばした。
「あの人達は...?」
「転移魔法で飛ばしたんだ。別に助けたわけではない。うるさかったから飛ばした。」
(そういうとこ好き...クスッ)
(...)
ゼロにもルナにも僕の心が読まれているから何も言えなかった。
「ゼロ兄様先ほどの斬撃に黒いバチバチしたのが見えたんだけど、あれはなあに?」
「ん...カリス見えたのか!面白い目をしてるな。良い目だ。
さてと...面白い事を考えた。今から上に行こうか」
僕はわくわくしながら転移魔法を使った。
「狩りの始まりだ」
ゼロ達はこれから何をするのか。
ゼロは何がしたいのか。
まだまだ謎なとこが多いです。
次話もアリスト王国編続きます。