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僕の命はキミだけの物  作者: ユメのユメ
13/19

復讐?or服従?『アリスト王国編』

さてどうしよう......



僕は今浴室に裸の女の子と一緒にいた。

その女の子は今...僕の隣にいる。

「......」

「.........」

その場は静かだった。その場は......

(ゼロああいう子が好きなの?!)

(そうじゃないよ......)

(だってクルミの身体から目離さなかったじゃない!!)

(違うんだって......)

(何が違うのさ!!)

(何が起こったのか整理してたんだよ...?)

ゼロが僕の中に入ってる時にこんなに突っかかってくるのは初めてだった。

(なに?おっぱいがなんなの?そんなのがそんなにいーの?)

(違うんだって...僕には興味ないよ...?)

(最近ゼロ変わったよね?我がついてから我のこと見てくれなくなった!!人間の女ばっかり!!やれ綺麗だのなんだの!ずっと黙ってたけど私に可愛いって初めて言ってくれた言葉が嘘だったの?って思うくらいよ)

ああ...素がでてきてるし...ゼロ機嫌悪いし......なんでだろう......なんかこれ面倒だな...

(我に全部聞こえとるわ!!わざとか?わざとなのか?!)

「クルミごめん!またくる!!」

僕は転移魔法を使った。






「僕とゼロが初めて会った場所だね」

「......」


目の前には金色と銀色の髪をした可愛い女の子が数メートル先に立っている。

その左手には【神剣クラウ・ソラス】が握られていた。

そうだ。()()だ。

魔剣とかは何本でも出せる。

ただ神剣は違う......1本しかない。

そしてゼロには右手がある。

僕には右手はない。ゼロに会う前になくなっているからだ。

そしてゼロの右手には()()()()

何もないが何かがある。

そうだ。僕が一番知っているものだ。

ゼロは本気で怒っているみたいだ。


「ゼロ...?僕達はずっと一緒じゃなかったの...?」

「.........」

ゼロは左手の神剣を上にあげた。

神剣クラウ・ソラスが白く輝く。

それと同時に天から白い光が何本も無差別に降ってくる。

光が落ちた場所には音も無くただ穴があいていた。

破壊音すら消え去る威力なのは僕は知っていた。

僕は動かない。僕の左手には...何も握られていない。

ゼロが僕の中にいなくても僕は今は色々できる。身体にそのぶんの負荷はかかるが...あえて何もしなかった。

「ねぇ...ゼロ?何を怒ってるの?」

「怒ってる?我は怒ってない!!」

その言葉と同時に神剣は炎をまとった。

上に向けてる神剣は炎をまといどんどん大きくなっていく。

一瞬で炎の竜巻ができてしまった。

「やっぱり怒ってるじゃん...」

「怒ってない!!」

「怒ってるじゃん!!!」

「怒ってない!!!!」

炎の竜巻は雲を巻き込み空高くまで上りつめてしまっている。

周囲の霧が炎の霧と言わんばかりになっていた。

僕は仕方なく自分に結界をまとった。

じゃないと死んでしまうからだ。

「ゼロ...?僕が死んだらゼロも死んじゃうんだよ?」

「だから?」

「やめようよ...僕はゼロに痛い想いしてほしくない...」

「我はすでに胸が痛いんだ!!ものすごい痛い!!!ゼロが人間の女と話してる間もずっと痛かった!!!我は今までこんな痛みを知らん!!!ルナとやり合った時も痛みなんて全くなかった!!!」

「ねぇ...ゼロはなんで泣いているの?」

僕はゼロの方に歩いていく。

「我は泣いた事などない!!」

「僕ね...ゼロが痛いって知らなかった...ゼロが痛いのに僕は痛みがなかったから分からなかった...」

僕は歩く。ただゼロに向かって歩く。

「僕ね。一つ思ったことあるんだ。僕とゼロは二人で一人...だけど僕とゼロは僕であって違うんだ。ゼロはゼロだけどゼロじゃないんだよ...」

「意味がわからん!!!」

炎の竜巻をまとった神剣クラウ・ソラスを振り下ろそうとした左手を僕は左手で止める。ゼロの後ろに転移して止めたのだ。

身体の芯から焼かれそうな熱風も今は僕は痛くなんてなかった。

「ゼロ?僕もね今痛いんだ。ものすごく心が痛いんだ。ゼロが痛い事が痛い。ゼロが僕の傍にいないことが痛い。」

僕はゼロを後ろから抱きしめる。

「僕の痛みはわかる?分からないよね。僕もゼロの痛みが分からない...ゼロが考えてることも分からない。ゼロは今僕の考えてる事わかるかい?」

「......」

「分からないよね。ゼロにも僕の事が分からない時あるよね?」

「.........」

「だから僕達は僕達だけど僕達じゃないんだよ...ゼロにも心があるからなんだよ?」

僕は左手をゼロのほおから目に撫でるように涙を拭き取る。

「分からなかったら話そうよ?分かるまで一緒に話そうよ...?言いたい事があったらちゃんと言おう?ずっと一緒なんだからさ?」

さっきまで神剣にまとっていた炎の竜巻が一瞬でかき消えた。

僕はゼロをこちら側に向け僕からキスをした。

ゼロの身体から力が抜け左手の神剣は地に落ち右手のそれは無くなった。

「もう泣かないでよ...」

「我......私泣いてない...」

もう一度僕からキスをした。

ゼロの唇は少し甘かった。

「ゼロ...?僕にはゼロしかいないよ?」

「ん...」

今度はゼロから僕にキスをしてきた。

唇と唇を合わせるだけのただのキス......ただそれだけでよかった。全てを忘れられるその一時が。



何分経っただろう。刻の流れを感じさせないほど抱きしめキスをした。

「やっと笑顔になったね。」

「ん...」

「顔真っ赤だよ?」

「ん...ゼロに言われたくない...クスクス」

「僕は熱風が熱すぎて赤いだけだもん」

ゼロは僕の首に手を回しキスをまたしてきた。

「ん...さっきより赤くなった」

ゼロは可愛い笑顔で笑った。

「ずるい......」

そんな幸せな時間を少しの間堪能した。





ゼロとゼロは改めてお互いの想いを深く認識しました。




アリスト王国編まだまだ続きます。

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